閑話 甘える
閑話 甘える
一方その頃、アリシアは友人たちとカフェに集まり、課題をこなしつつ雑談を楽しんでいた。
「でさ、聞いてよ! うちのお兄ちゃん、またノックなしに私の部屋に入ってきてさぁ」
「え~それはないよ~」
「うちのお父さんなんて最近干渉激しくてさ、ほっといてほしいんだけど」
「わかる~」
課題もそこそこに愚痴大会ともいえる雑談に花を咲かせる。
私は皆大変なのだなぁと思いながら紅茶を飲んでいた。
「そういえば、アリシアちゃんはそういうのないの?」
「そういうのというのは……愚痴みたいなものですか?」
「そうそう、アリシアちゃんの口から聞いたことないなぁって思って」
「特にそう言った不満はありませんね」
「すご、即答」
改めて考えてみてもそう言ったことは思い浮かばない。
「弟君生まれてからの不満とかないの?」
「それも特にありませんね。渚沙……弟が中心の生活になることはわかっていましたし、私としても兄弟が増えることは喜ばしいことなので」
「すごいなぁアリシアちゃん。私もそんなできた人間になれたらなぁ」
「美人で謙虚で、おまけに成績優秀」
「私はそんなにすごくないですよ?」
褒めてくださる友人たちをそうやって宥めてみるが彼女たちは止まらない。
「凄いと思うよ? 少なくとも学生が持ってる尺度じゃもう満点」
「それに家族思いだし」
「もう、やめてくださいよぉ」
「大丈夫?ご両親弟くんにばっかり構ってない?」
「渚沙はまだ5か月なので、当然かと思いますが……」
その答えに友人たちは指を振る。
「だめだよその思考、ちゃんと自分も見てって言わなきゃ」
「ですが……」
「言いづらいかもしれないけどさ、アリシアちゃんしっかりしすぎ。今までもそうだったんじゃない?」
うまく言葉がまとまらず、押し黙る。
確かに、渚沙がうちにやってきてからは渚沙が中心だった。
けれど、お父様たちが私を蔑ろにしているなんてことはない。食事だって共にするし、何気ない雑談だってよくする。
……しかし、甘えるというのはしばらくなかったのかもしれない。
「思い当たる節、あるんでしょ?」
「ええっと……」
「今日帰ったらさ、思い切り甘えてごらんよ! 話に聞くご両親なら全然大丈夫だって」
揺らぐ心のままに返事をする。
「……そうですね、やってみます」
「うん、それがいいよ!」
「そういえば、アリシアちゃんからご家族の話ってあんまりしないよね。写真だって見せてくれないし」
「それは、その。私スマホにあまり馴染がなくて、写真を撮るって行為をあまりしないんですよね」
「でも、あるんでしょう? 見せてよ~」
「うう……渚沙の写真だけですよ?」
根負けした私はスマホの写真フォルダから渚沙の写真を用意する。
「やった」
「どれどれ……え~! かわいい~!」
「身近に赤ちゃんいないから新鮮かも~」
最早課題そっちのけで喋る午後であった。
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