第195話 ホワイトデー
195話 ホワイトデー
今日、俺は友人たちと遊びに行くという名目で、街の方に来ていた。
理由はもちろんホワイトデー。
何を贈ろうか迷いながらも、こうして店へと足を運んでみる。
少し調べたが、どうやら、贈る物によって意味があるらしい。
キャンディーは溶けるの時間がかかることから「長続きさせたい」という意味があるだとか。
チョコをそのままお返しとしても良いらしいが、意味があるのならそれになぞらえたい。
「何かお探しですか?」
「ホワイトデーのお返しを探していまして」
「それはそれは、贈りたいお菓子とかは決まっていますか?」
「バームクーヘンを考えています」
「ご家族ですか?いいですね。ご案内します」
ホワイトデーのおかげか少し広い売り場を歩き、いくつかのバームクーヘンが売っている場所に案内される。
バームクーヘンにも色々種類があるようで、普通のものから、味のバリエーション、チョコレートが掛けられたものなど多種多様だ。
今回は個人に贈る物なので、そのあたりを考慮しつつ、贈る相手の好みに合わせて選んでいく。
贈った時の様子を想像しながら、俺はレジにそれらを持って行くのだった。
◇
時は過ぎ夕方、夕飯時。
今日は家で夕食を食べる日。既に夕食は食べ終わり、食後の団欒といった空気だ。渡すなら今だろう。
「そうだ、はいこれ」
「お兄覚えててくれたの? ありがとう!」
「流石に覚えているさ。母さんも」
「あら、ありがとう」
皆にバームクーヘンを渡すと、何やら視線を逸らす人が一人。
「あら、お父さんどうしたの?」
「……てた」
「え?」
「忘れてた……」
「あらら」
バツの悪そうな顔をする父さん。それを笑いながら慰める母さん。
うん。今日も平和だ。
◇
夜、屋敷の自室にて。
「セレス」
「はい?」
俺はもう一つ買っておいたものをセレスに渡す。
「もう頂きましたよ?」
「これはセレスだけの特別さ」
「まあ、……開けてもよろしいですか?」
俺が頷くと、セレスはその箱を開ける。
中にはカラフルなマカロンが詰められていた。
「まあ、可愛らしいですね。こちらのお菓子は何という名前なのですか?」
「これはマカロンっていうんだ」
「これが……嬉しいです! 食べても?」
「もちろん」
セレスがその小さな口でマカロンを食す。
「んっ! おいしいです」
「それはよかった」
すると、セレスは立ち上がり、俺の方へやってくる。
「食べた後ではしたないかもしれませんが、私の精一杯の感謝です」
そういって口を合わせた。
一瞬だったが、今日のセレスはいつもより甘い味がした。それは確かだろう。
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