第146話 第三回女子会
広く澄み渡る空、傾き出した太陽。
よく晴れたこの日に、私は二子山さんと葛西さんと一緒に喫茶店に来ていた。
渚沙がいる手前、参加は遠慮しようかと思ったが、カズヤさんが世話を買って出てくれたので私はこうしてここにいる。
「――でさ、それでね? あの子今度告白するって」
「え、そうなの!?いいなぁ春で」
女子会ともなれば話題は恋愛。毎度毎度違う話を持ってくるので感心しつつ傾聴する。
「なんかさ、あれだよね。セレスティーナさん、紅茶を飲む姿が絵になるよね」
「え?」
「それね! なんだろ、所作が綺麗だからかな?まるで貴族の令嬢みたい」
「ありがとうございます。褒めても何も出ませんよ?」
「そうそう! セレスティーナさんに聞きたかったんだけどさ、和也くんと結婚してるじゃない?」
「はい、そうですね」
「付き合ってた頃はどうだったんだろうなぁって思って」
「それ気になる!」
「付き合ってた頃、ですか」
考えてみると、恋人である期間というものはあまり長くはなかった。
市井の民での結婚へのプロセスと、貴族の結婚のプロセスが違うこともまた起因しているのだろう。
貴族では、お見合い、婚約、結婚と、恋人である期間というのは無い。強いていうのであれば、婚約から結婚までの間がそれに該当するのだろう。
ともかく、カズヤさんとの恋人期間というのは改めて考えると、なかったのかもしれない。
戦時中、互いに好意を持っていることは知っていた。口にもしていた。
けれど、互いにこの戦いが終わるまではと考えていたので、恋人というには少し違うのかもしれない。
結婚も早い段階で決まった。私たちが望んでいたよりも早いスピードで。
互いに結婚の意思を出してから早急に決まった結婚は、戦後の復興のプロパガンダとして大いに活用されたからだ。
私とて王女だったのだ、そうなることも織り込み済みで結婚した。カズヤさんとも意思確認をしたのでそこは問題ではない。
ただ、恋人に憧れがなかったと言うには嘘となる。
市井の民が恋焦がれ甘く純粋な恋というものを体感してみたかった気持ちも多少なりとある。
もしかしたら異世界ではあるが市井の民であったカズヤさんの方がそう思っているかもしれない。
「どうだったの?」
「そうですね、互いに距離もありましたし、それほど期間を設けずに結婚したので、あまり思い出というのはないかもしれませんね」
「そっか、すっかり馴染んでるけど、セレスティーナさん元々外国の人だもんね」
「せっかくだし、制服デートとかしてみたら?」
「いいじゃん! 制服デート! たかが服装って思うかもしれないけど、結構楽しいよ!」
デート、渚沙が生まれた今、もうしばらくしないとそうした時間は作れないかもしれない。
お義母様やケインに頼りきりというのはあまり良くはない。
……思案してみるが、やはり難しそうだ。
「そうですね、考えてみます」
そうして話題は移ろいゆく。お二人との会話を楽しみながら紅茶を一口。
今日も平和だ。
読んでいただきありがとうございます!
下にある☆を★★★★★にしていただけると嬉しいです!




