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勇者として召喚された俺(17)嫁と娘を連れて帰宅します!  作者: 雪代ゆき


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第145話 陽だまりの中

 渚沙が我が家にやってきて二週間が経った。

もうそろ四ヶ月になろうとする渚沙は日々目まぐるしいほどに成長を遂げている。


「あう!あう〜ぶ!」

「どうしたんですか〜渚沙」

「あ〜ばっ!あぶ〜」

「おしゃべりしたいんですか?いいですよ〜」


渚沙はよく喋るようになった。

少し前までは「あ」と「う」で構成された声だったが、そこに「ば」や「ぶ」といった舌を使った発音が加わった。

調べるに、これを喃語(なんご)というらしい。


「『こんにちは、渚沙くん!今日はご機嫌だね』」


アリシアがテディベア越しに話かける。

それに対し渚沙は、テディベアの方を向き、目を輝かせながら喋る。


「あう、だう!あ〜ぶ!」


ご機嫌に話す渚沙にテディベアはうんうんと頷いて返す。


「『もうすぐご飯の時間だけど、楽しみかい?』」

「ばう!」

「は〜い渚沙、ミルクですよ〜」

「あ〜う!」


ニップルも丸穴タイプの小さいものから、Y字の少し大きいものに新調。

渚沙も哺乳瓶に慣れたのか、ガンガン飲んでいく。


「んくんくんく……」

「慌てなくて良いですからね〜」

「んくんくんく……」


渚沙は無心でミルクを飲む。

ただ食事をしているだけだというのに、どうしてこんなにも癒されるのだろうか。


「カズヤさん?渚沙のおくび、手伝ってあげてくださいな」

「おう」


ミルクを飲み終わった渚沙を抱き抱え、数度背中をポンポンと叩いてあげる。


「けぷっ」

「うん、上手」

「『渚沙くん、遊ぼう!』」

「だう〜!」


うごうごとする渚沙をアリシアに渡し、遊ばせる。

この時期の子供は遊ぶに限る。

アリシアもそれをよくわかってか、拙いながらよく遊び相手をしてくれる。

俺たちとしても嬉しい限りだ。


しばらく遊んでいると、ふと、音が止む。

きっと渚沙が寝たのだろう。

渚沙はミルクを飲んだあと、30分少し遊んでから眠るというサイクルで生活している。

俺たちは哺乳瓶と俺たちの昼食の後片付けをする。


「……あら?」

「どうした?」

「……あれを見てくださいな」

「あ……」


セレスに促されるまま視線を移すと、陽だまりの中、渚沙とアリシアが眠っている。

ついさっきまで一緒に遊んでいただろうに。今は健やかに寝息を立てている。


「……私たちもお邪魔しましょうか」


本来ならベッドに移すところですけど、と付け足したセレスはアリシアたちの隣に横になる。


「ほら、カズヤさんも」

「……ああ」


俺もまた横になる。

太陽の陽気とは恐ろしいもので、全く眠くなかったつい先ほどとは考えられないほどの穏やかな眠気を誘う。


今は少しだけ。そんなことを思いながら微睡の中に意識を飛ばす。

俺も随分平和ぼけしたんだな。


そんなことを実感する昼過ぎだった。

読んでいただきありがとうございます!



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