第142話 三学期
三学期。高校2年生の三学期は3年生0学期ということもあるそうだが、うちの学校ではあまりそのような風潮を見られない。
来年特進クラスへ進む子達は別だろうが、概ねそんな感じだ。
「あけおめ〜」
「あけおめ〜」
学生たちの軽い新年の挨拶が聞こえてくる。
「和也くん、セレスティーナさんあけおめー」
「あけましておめでとうございます」
「あけおめ」
俺たちも例に漏れず、新年の挨拶をしながらの登校だ。
「おはよ〜和也くん、セレスティーナさん!」
「おっす和也、セレスティーナさん」
葛西さんと遼が声を掛けてくれる。
「おはようございます」
「おはよう」
「そういえば気になったんだけどよ。あの子、どうしたんだ?」
あの子とは多分渚沙のことだろう。
◇
「そう言えば、学校の間、渚沙ちゃんはどうするの?」
冬休みが残りわずかになった頃。ふと、母さんが聞いてきた。
「今のところ、俺とセレスが代わり代わりで休むつもりでいるよ。それでも母さんには頼ることになるかもしれないけど……」
「ダメよ」
まさしく即、返答が返ってきた。
「……そっかじゃあ……」
「二人はちゃんと学校に行きなさい」
「しかし、その間渚沙は」
「私が見るわ」
「しかし!」
「確か昔の貴族に乳母っていたわよね?それよそれ。異世界にはいなかったの?」
「確かにいましたが、けれど」
「二人はまだ学生なんだからしっかり学校に行って、勉強してくること」
否と口を開こうとして止まる。
「心配はわかるわ。親としての義務も。この子を育てたいという気持ちも。私だって親だもの。けど、あなた達には学生というやることがあるでしょう?」
「……」
「さっきいったみたいに乳母だと思ってくれればいいわ。セレスさんはわかるでしょう?」
「……わかりました。少し話し合っても?」
「もちろん」
俺たちは長い時間をかけて今後について話し合う。
そして結論に至る。
『――ケイン』
『はっ、すぐに』
ものの数分でケインはやってきた。
「お呼びでしょうか」
「ああ、お前に任せたいことがある。もう部下でもない。けど、頼まれてくれるか?」
俺の声にケインは騎士の礼を持って返す。
「お前に俺たち不在の間の渚沙の世話役を頼みたい」
「はっ!しかと拝命仕ってございます。――ああ、この喜びを如何様にして表せば良いのか」
ケインは喜びに震える。
上司部下という立場なくこうして頼めるのは本当に嬉しい限りだ。
仔細を伝えた後、改めて問う。
「お前は乳母となる母さんと協力して世話を頼みたい。もちろん今の生活もあるだろうから無理のない範囲で、だ」
「わかっております。何年隊長のもとで働いていたと思っているのですか」
「決めたのね」
「うん、俺たちは一人じゃないから」
「お義母様、ケインと共に渚沙をどうかよろしくお願いします」
「もちろん!任せてほしいわ〜」
「けど、俺たちも週のどこかでどちらかが休むことにしたから」
「……まあ、許容範囲ね。わかったわ」
◇
「大丈夫、家の人に預けてるから」
「ご心配ありがとうございます」
「そう?ならいいのだけど」
「俺はてっきり、二人のうちどっちかが休んでくると思ったんだけどな」
「鋭いな遼、週のどこかでどちらか二人が休むことになると思う」
「ですので、お二人と過ごす時間が減ってしまうのですが……」
「わかってる、大丈夫だって」
「すみません」
「代わりにまた渚沙くんに会わせてね?」
「はい、もちろん。また遊んであげてください」
そうこう話していると、久々に聞く始業のチャイム。
また、学校生活が始まる。
読んでいただきありがとうございます!
下にある☆を★★★★★にしていただけると嬉しいです!




