第141話 魔力
「赤ちゃん直近で見たことあんまりなかったけど、ほんと可愛いわ〜」
「う〜あ!」
「確かにこれは癒されるな」
渚沙の手足を使って遊んでくれる二人。
渚沙もだいぶ慣れたようで、朗らかな笑みを浮かべている。
「今、何ヶ月なんだっけ?」
「今三ヶ月ですよ」
「そっか、確か三ヶ月だと聴覚と動く物の認識ができるようになるんだっけ」
「よく知ってるな」
「さっき、遊びを調べてる時に出てきたの」
生後三ヶ月はクイーキング、発声ができるようになるほか、手のひらを合わせたり、足の裏をこすり合わせたり、自分の手を舐めたりしたり。親などの声に反応を示すなど、生後一ヶ月の時よりもより豊かな感情表現ができるようになる。
「お〜握れるの!すごいね〜!」
「う!う!」
「おうおう、結構容赦なく振るな」
渚沙がラトルを手にブンブンと振りまくる。
ガラガラと音が鳴り、握るという動作が刺激になるようで楽しいそうだ。
渚沙はまだ言葉を喋れない。なのでこちらがその行動や表情で彼を窺い知る必要がある。
「じゃあ私はこのクマさんで……」
「あー!あー!」
「え?どうしたの?」
「あーあ!」
葛西さんがテディベアを持つと渚沙が激しく泣き出す。
その様子に葛西さんはオロオロとしてしまう。
「あ、葛西さん。そのテディベアは渚沙のお気に入りなんだ。アリシア以外が触るとこうしてぐずっちゃうんだよ」
「そうなんだ、ごめんね〜渚沙くん」
「不思議なんですよね、まだ個体の認識はできないと聞いているのですが、アリシア以外が触ると泣いてしまうのです」
「あれじゃない?匂いとか」
「それもあるかもしれないが、もしかしたら魔力かもな」
「魔力?」
「ああ、渚沙は魔力から産まれた存在、精霊だからな」
「確かにそうかもしれませんね」
俺たち3人が納得してもしょうがない。説明しないと。
「人間は誰しもが魔力を持ってる。多かれ少なかれな。今の地球人たちは一切魔術を使わないから本当に極々少量だけだがな」
「もしかしたらこの子は人より魔力に敏感なのかもしれませんね」
「はへ〜そうなんだ。じゃあ、私も魔力を持ってるってこと?」
「ええ、確かに葛西さんも魔力を持っていますよ。ただ、簡単な魔術一回分程度ですけど」
「え、そんだけ?」
魔力は生来の量と扱いの才能はあれど、努力と魔術の行使で成長するもの。
遺伝が関係しているかは研究中だったが、それでも基礎量は地球人と比べて圧倒的にあった。
「今の地球人の平均の3倍といったところでしょうか?もしかしたら魔術師の才能があるのかもしれませんね」
「そうだったんだ……!」
目を輝かせる葛西さん。
「簡単な魔術と言っても本当に簡単な物ですよ?」
「たとえば前見せた【トーチ】とかかな」
「それでも、使えるんだ!くぅ〜……!セレスさん!」
「ごめんなさい、神様との契約でこの世界の人々に魔術を教えることは禁じられているんです」
「そうだよなぁ……前言ってたもんな〜」
「う!う〜う!」
「ありがとう、渚沙くん……」
そんな午後の一幕。今日もまた、平和だ。
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