第136話 初詣
帰省から一夜明けた1月3日。俺は屋敷のリビングで父さんに着付けをされていた。
理由は明解、初詣に行くためだ。
「初めてこの世界で初詣を行くのなら、着物でしょう?」
という母さんの発言が発端だ。
セレスとアリシアは別の部屋で母さんに着付けをしてもらっている。
「こんなもんか」
父さんのその一言で俺は解放される。
姿見で確認してみると……うん、馬子にも衣装だな。
「中々様になってるんじゃないか?」
「そう?」
「いいじゃんお兄、馬子にも衣装だね」
「実の兄にかける言葉じゃないだろそれ」
そんなことを言い合っていると、隣の部屋の扉が開く。
どうやら二人の着付けが終わったようだ。
「セレス」
「カズヤさん!」
俺たちは互いに見合う。
俺は黒の紋付きの羽織袴と少し気合が入った服装。セレスは赤の京小紋。
エルフ……外国人であるセレスだが、とてもよく似合っている。
「手前味噌だけど、よく似合ってるよ」
「カズヤさんも、素敵です」
「お父様、似合っていますか?」
アリシアは紺色の振袖だ。
「ああ、よく似合っているよ。アリシア」
「それでは参りましょうか」
「はい!」
「あう!」
ちなみに、今回は渚沙も一緒だ。
なぜかというと、せっかくのこの世界での初めての初詣だ。家族皆で行こうと言う結論に至ったのだ。
俺たちは電車で一駅圏内にある神社にやってきた。
「お父様、ネットで調べたのですが、作法があるそうですね」
「ああ、鳥居っていう門の前で一礼、手水舎で心身を清め、拝殿へ。鈴を鳴らし、賽銭を入れた後、二礼二拍手一礼だ」
しっかりと鳥居前で一礼した後、手水舎で手を清める。セレスとは交代で清める。
さすが三が日。拝殿に向かうとそれなりの列ができていた。
「転ばないように気をつけてな」
「カズヤさんこそ」
「慣れない下駄だろう?本当に気をつけてな」
しばらく待つと俺たちの順番になる。
鈴を鳴らし、賽銭を入れ、二礼二拍手一礼。
「さすが神様がいる場所と言われるだけありますね、空気が澄んでます」
「そうかな?俺にはわからないけど……」
「お母様の言うとおり、ここは空気が澄んでいるように感じます」
俺には知覚できない何かがあるようだ。
それはさておき、初詣は終わった。
だが、醍醐味をまだ味わっていない。
「あれはなんでしょう?」
「あれは出店だな」
「夏祭りの時に見たあれですか?こんな時にもあるのですね」
「ラインナップは夏祭りと似たようなものだけど、こう言うところででしか食べれないからな」
「わたあめ!私、わたあめ食べたいです!」
「気に入ってたもんな。いいぞ」
渚沙もいるので長居はできないが、存分に初詣を楽しむ俺たちであった。
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