第十三話 夢の設計図①
「オスカー先生!先生、ちょっと相談に乗ってくれよ!」
突然、扉を開けてドカドカと入ってきた子供たちに、さすがにオスカーはだじろいだ。
アレクは片手にポスターや広告の紙を持っている。
少し前の選挙のポスターに日付のたった広告の紙。どれも裏が白い紙で、何かを書くには最適だった。
「なんだ、なんだ、一体」
「先生、こんにちはー」
「先生、お願いします」
後からアルとデイジーが入ってくる。
「なあ、オスカー!オスカーって設計とかってできる?」
「お前なぁ、先生をつけろ!オスカー先生!」
目を輝かせているジャックと隣であきれ顔のエース。
一体、何なんだ……
「サーカスのテントをみんなで作ろうと思うんだ!それで設計しなきゃいけないんだけど、どうしたらいいのかわからないので、先生相談に乗ってくれよ!」
アレクがそう言った。
オスカーは子供達にぐるっと囲まれて、おしくら饅頭のようにおされている。
「ああ、昨日話していたやつか」
「うん、バイクで台車に乗せて引っ張って行くんだ!それでサーカスをしたいところに行って組み立ててみんなでロミオとジュリエットとかお芝居をしたり、歌ったりするんだ!だからそのためのサーカスのテントを作りたいと思ってる」
「……なるほど、お前たちはどういう風に考えているんだ?まず紙に書いてみなさい。自分たちがどういう風にサーカスをやりたいのか、どんなテントがいいのか。まず紙に書いてイメージして見なさい」
「はい!」
アレクは元気に返事をした。
子供達はそれぞれ鉛筆や折れて短くなったクレヨンを持ってチラシの紙を広げ裏に自分たちのイメージを書いていく。
それからこれはとても大事なことだが、あのバイクで引っ張っていけるのはせいぜい100キロぐらいまで。あまり重たいものは運べないぞ
「うーん、100キロかぁ……」
アレクは考え込んでいるようだった。
「オスカーできた!」
ジャックが勢いよく立ち上がる。
「あのな、これ俺!テントの中に海賊船があって、それからみんなでカリブの海賊のなんだっけ?ジュリエット? とかいう子が出てくるやつのお話をするんだ!」
「観客席がいっぱいあって!あと空中ブランコもあるんだ!」
コールが呆れたような顔をする。
エースが口を開いた。
「あのなぁ、お前。先生の話、全然聞いてないだろ!重さを100キロ以内にしなきゃダメなんだぞ。一体何メートルぐらいのテントを想像してそれを書いたんだ」
「んーー。20メートルぐらい?」
「そんなバカデカいテント100キロ以内の重さにならないだろ」
「えー、でもでかくなかったらお客さん入れねえじゃん!」
「そうだけどさ」
「ジャック一度アルミパイプと木材の重さを量ってみるんだ。そうすれば何がどれぐらい必要になるのかわかる」
とオスカーが言った。
「分かった!ところでアルミパイプとか木材とかってどこにあんの?」
「一旦外に出て50メートルぐらい先のビルの一階のガレージに廃材を扱ってる資材屋があるだろう。聞いてきなさい」
「分かった行ってくる!」
そう言うとジャックは扉を開けて勢いよく階段を降りて行った。
「あいつ当分戻ってこねえな……」
コールはそう言った。
「コールは何かアイディアとかあるのか」
とアレク が聞く。
「そうだな。別に無理にテントにしなくてもいいんじゃないか?ちょっとそれっぽい舞台を作ってそこでみんなでサーカスをすれば」
アレクはまたしばらく考えているようだった。
そして何か思いついたらしく一気に鉛筆を走らせる。
「こんな感じはどうかな!」
そこにはサーカスのテントの横に四角が左右についている絵だった。
「サーカスのテントはそんなに大きくなくてもいいと思うんだ。正直に言ってサーカスのテントの中でみんなで公演をするんじゃなくてサーカスのテントを中心に左右に大きく舞台の幕を広げて。下はビニールシートを引いてここから先は舞台ですっていう風に分かりやすくして、左右に天幕を広げているから舞台が広 くみんなから見えるようになるだろ?」
「確かにそれならばテント自体はちっちゃくてもいいかもな」
「だろ?」
アレクはちょっと得意そうな顔をした。
「テントの大きさは4メートルぐらいでどうかな?」
「4メートル?さすがにそれは小さくないか?」
横からエースがそう言った。
「だから!左右に幕を3メートルずつぐらい広げるんだ。お客さんはテントに入らないで前の方に座るんだ」
アレクは鉛筆を持つとテントのところに4メートルと書いた。
そして指さしながら説明していく。
「テントの下にビニールを広げて、ここが俺たちの舞台。お客さんとの距離も近いしいいんじゃないかなって思ってる」
「なるほどなぁー、テントは舞台なんだね」
アルがニコニコしながら、アレク が書いた図を見てそう言った。
「うん、客席は少し離れたところだったらいいんじゃないかな。公園でみんなでサーカスしようと思うんだ。そこだったらお客さんも見に来てくれるし、邪魔にもならないと思う」
「お客さん、いっぱい見に来てくれるといいね」
とピィが言った。
「後はバイクにつけて走る台車を舞台のちょっと高いステージみたいにできないかな。台車自体の幅はそんなに大きくできないし。ちょっとセリフを言ったりする時に目立つように立つステージなんだ」
「……それは、いいんじゃないか」
コールは考え込んだような顔をしてそう言った。
「公園だったらビニールシートを広げた客席にお客さんたくさん座ってもらえると思うな」
とアル。
「そうだな、テントの中にお客さんが入らなくても、これだったら舞台が広く取れてそれに昼間明るいから見やすくていい」
エースもそう言いながら頷いた。
子供達が話している様子見ながらオスカーは腕を組み少し笑った。
こんな風に自分で考え行動してゆくのは子供達にとってとても良いことだ。自分たちで考えるということは、何か問題に当たった時対処する力を養ってくれる。
「あのね!ピィも描いたの」
そう言って彼女はクレヨンで書いた絵をみんなに見せる。
「テントのところにね。いっぱいお星様とかお花とかかざったら素敵だと思うの!それから舞台のシートの前のところにも いっぱいお花 作ってかざりたい!」
コールが呆れ顔でピィの方を見る。
「はー……、まずはテントができてからな」
「うん!」
「あら可愛くて素敵じゃない!私も一緒に飾り付けするわ」
ダリアがパッと華やいだ表情でそう言った。
「布の花の飾りだったら軽いしいいんじゃないか。持って行くのも大変じゃない」
「アレクもそう思うでしょ!」
ピィは嬉しそうにそう言った。
「あとねー。三角形の旗!サーカスのアニメ にいっぱい 飾られてたの!あの旗を作りたいな!」
「ピィ、一緒に作りましょう。テントの大きさの設定が終わったら私、縫うわ」
デイジーがそう言う。
「オスカー先生!先生、ちょっと相談に乗ってくれよ!」
突然、扉を開けてドカドカと入ってきた子供たちに、さすがにオスカーはだじろいだ。
アレクは片手にポスターや広告の紙を持っている。
少し前の選挙のポスターに日付のたった広告の紙。どれも裏が白い紙で、何かを書くには最適だった。
「なんだ、なんだ、一体」
「先生、こんにちはー」
「先生、お願いします」
後からアルとデイジーが入ってくる。
「なあ、オスカー!オスカーって設計とかってできる?」
「お前なぁ、先生をつけろ!オスカー先生!」
目を輝かせているジャックと隣であきれ顔のエース。
一体、何なんだ……
「サーカスのテントをみんなで作ろうと思うんだ!それで設計しなきゃいけないんだけど、どうしたらいいのかわからないので、先生相談に乗ってくれよ!」
アレクがそう言った。
オスカーは子供達にぐるっと囲まれて、おしくら饅頭のようにおされている。
「ああ、昨日話していたやつか」
「うん、バイクで台車に乗せて引っ張って行くんだ!それでサーカスをしたいところに行って組み立ててみんなでロミオとジュリエットとかお芝居をしたり、歌ったりするんだ!だからそのためのサーカスのテントを作りたいと思ってる」
「……なるほど、お前たちはどういう風に考えているんだ?まず紙に書いてみなさい。自分たちがどういう風にサーカスをやりたいのか、どんなテントがいいのか。まず紙に書いてイメージして見なさい」
「はい!」
アレクは元気に返事をした。
子供達はそれぞれ鉛筆や折れて短くなったクレヨンを持ってチラシの紙を広げ裏に自分たちのイメージを書いていく。
それからこれはとても大事なことだが、あのバイクで引っ張っていけるのはせいぜい100キロぐらいまで。あまり重たいものは運べないぞ
「うーん、100キロかぁ……」
アレクは考え込んでいるようだった。
「オスカーできた!」
ジャックが勢いよく立ち上がる。
「あのな、これ俺!テントの中に海賊船があって、それからみんなでカリブの海賊のなんだっけ?ジュリエット? とかいう子が出てくるやつのお話をするんだ!」
「観客席がいっぱいあって!あと空中ブランコもあるんだ!」
コールが呆れたような顔をする。
エースが口を開いた。
「あのなぁ、お前。先生の話、全然聞いてないだろ!重さを100キロ以内にしなきゃダメなんだぞ。一体何メートルぐらいのテントを想像してそれを書いたんだ」
「んーー。20メートルぐらい?」
「そんなバカデカいテント100キロ以内の重さにならないだろ」
「えー、でもでかくなかったらお客さん入れねえじゃん!」
「そうだけどさ」
「ジャック一度アルミパイプと木材の重さを量ってみるんだ。そうすれば何がどれぐらい必要になるのかわかる」
とオスカーが言った。
「分かった!ところでアルミパイプとか木材とかってどこにあんの?」
「一旦外に出て50メートルぐらい先のビルの一階のガレージに廃材を扱ってる資材屋があるだろう。聞いてきなさい」
「分かった行ってくる!」
そう言うとジャックは扉を開けて勢いよく階段を降りて行った。
「あいつ当分戻ってこねえな……」
コールはそう言った。
「コールは何かアイディアとかあるのか」
とアレク が聞く。
「そうだな。別に無理にテントにしなくてもいいんじゃないか?ちょっとそれっぽい舞台を作ってそこでみんなでサーカスをすれば」
アレクはまたしばらく考えているようだった。
そして何か思いついたらしく一気に鉛筆を走らせる。
「こんな感じはどうかな!」
そこにはサーカスのテントの横に四角が左右についている絵だった。
「サーカスのテントはそんなに大きくなくてもいいと思うんだ。正直に言ってサーカスのテントの中でみんなで公演をするんじゃなくてサーカスのテントを中心に左右に大きく舞台の幕を広げて。下はビニールシートを引いてここから先は舞台ですっていう風に分かりやすくして、左右に天幕を広げているから舞台が広 くみんなから見えるようになるだろ?」
「確かにそれならばテント自体はちっちゃくてもいいかもな」
「だろ?」
アレクはちょっと得意そうな顔をした。
「テントの大きさは4メートルぐらいでどうかな?」
「4メートル?さすがにそれは小さくないか?」
横からエースがそう言った。
「だから!左右に幕を3メートルずつぐらい広げるんだ。お客さんはテントに入らないで前の方に座るんだ」
アレクは鉛筆を持つとテントのところに4メートルと書いた。
そして指さしながら説明していく。
「テントの下にビニールを広げて、ここが俺たちの舞台。お客さんとの距離も近いしいいんじゃないかなって思ってる」
「なるほどなぁー、テントは舞台なんだね」
アルがニコニコしながら、アレク が書いた図を見てそう言った。
「うん、客席は少し離れたところだったらいいんじゃないかな。公園でみんなでサーカスしようと思うんだ。そこだったらお客さんも見に来てくれるし、邪魔にもならないと思う」
「お客さん、いっぱい見に来てくれるといいね」
とピィが言った。
「後はバイクにつけて走る台車を舞台のちょっと高いステージみたいにできないかな。台車自体の幅はそんなに大きくできないし。ちょっとセリフを言ったりする時に目立つように立つステージなんだ」
「……それは、いいんじゃないか」
コールは考え込んだような顔をしてそう言った。
「公園だったらビニールシートを広げた客席にお客さんたくさん座ってもらえると思うな」
とアル。
「そうだな、テントの中にお客さんが入らなくても、これだったら舞台が広く取れてそれに昼間明るいから見やすくていい」
エースもそう言いながら頷いた。
子供達が話している様子見ながらオスカーは腕を組み少し笑った。
こんな風に自分で考え行動してゆくのは子供達にとってとても良いことだ。自分たちで考えるということは、何か問題に当たった時対処する力を養ってくれる。
「あのね!ピィも描いたの」
そう言って彼女はクレヨンで書いた絵をみんなに見せる。
「テントのところにね。いっぱいお星様とかお花とかかざったら素敵だと思うの!それから舞台のシートの前のところにも いっぱいお花 作ってかざりたい!」
コールが呆れ顔でピィの方を見る。
「はー……、まずはテントができてからな」
「うん!」
「あら可愛くて素敵じゃない!私も一緒に飾り付けするわ」
ダリアがパッと華やいだ表情でそう言った。
「布の花の飾りだったら軽いしいいんじゃないか。持って行くのも大変じゃない」
「アレクもそう思うでしょ!」
ピィは嬉しそうにそう言った。
「あとねー。三角形の旗!サーカスのアニメ にいっぱい 飾られてたの!あの旗を作りたいな!」
「ピィ、一緒にテントを作りましょうね。きっと楽しいわ」
デイジーがそう言う。
その時、扉がギーっと開いた。




