↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
97/120

第十三話 それぞれのホテルの楽しみ方part2〜「カラだけに。」  「やかましいわ。」

やっとアイアンクローから解放された私。

祥ちゃん、マジで容赦ねぇ………。

まぁ、祥ちゃんの握力全力だったら、私の頭潰れちゃうので、手加減してんだけどね。

私が一言多いのもあるし、ほぼじゃれ合いのコミュニケーションですよ。うん。

痛いけどな!!!!!


なんて、心の中で呟きつつ、私はリモコンを操作して次の録画を再生する。


そのモニターに映し出されたのは、コンビニの棚の前で、その棚を鋭い眼光で見つつ、固まっている一人の男の背中だった。


「?これ、ガイルさんだよな?

何やってんだ、この人?

固まってるけど…………?」


祥ちゃんが怪訝な顔をして呟く。

それに答えるように、視点がかわり、ガイルさんの正面の映像へときり替わった。

映し出された、画面の中のガイルさんは、商品を手に取り、眉間に深いシワを刻みながら、大真面目に商品を見つめている。


「私もなんで、固まってんだろ?って最初思ったんだけど、ガイルさんね、奥さんのカラさんへのお土産を探してたみたいだよ。

めちゃくちゃ健気でしょ?」


「あー……めっちゃ愛妻家みたいだったしな。

仲が良いのは結構なことだな。

………ん?なんで画面がズームに………って、おい………。

あの人が手に取って、真剣に吟味してる、あれって…………。」


モニターの映像がズームされ、そのことに祥ちゃんが一瞬不思議そうな顔をしたけど、ガイルさんの手元が映された瞬間、祥ちゃんの顔が引き攣った。


祥ちゃんも気づいたらしい。


画面の向こうで、手に持ち、真剣に吟味しているもの。

それは、泣く子も黙る地獄の閻魔が描かれた獄激辛やきそばだった。


うん、ペ◯◯グだね。


「……おい待て、待て待て。

ガイルさん、なんでそのチョイスした???

あれ、地獄だぞ?!」


「 …………祥ちゃん、あれだけじゃないんだよ。

ガイルさんの持ってる買い物カゴの中、よーく見て………。」


私が手元のリモコンを使い、ガイルさんから、ガイルさんが持っているカゴの中身に視点を移すと、そこには日本のネットを幾度となく震撼させてきた「最凶激辛兵器」たちが、山のように入っていた。


「黒と赤のパッケージで狂ったニワトリが火を噴いてる不穏にも程がある袋に、スープの上が真っ赤な唐辛子の粉の山になってるヤベェパッケージのカップ麺……。

おい、真っ赤に燃えてる『北極』って書かれたやつまで入ってねぇか!?」


うん、ブ◯◯ックに、辛◯麺、蒙◯タ◯メン◯中◯)だね。

商標登録に関係に引っかかるから、伏せ字にするけどさ。


ネットで、絶対手を出しちゃいけないってまことしやかに囁かれてるやつだね。

んで、祥ちゃんたちのトラウマだね。


「あれ、ネットで食べたらお尻が爆発するって大騒ぎされた激辛カルテットだよね。

将暉が食べてみようぜって言って、乗った神藤兄弟全員、次の日トイレの住人だったやつ。」


「人の黒歴史バラすなや。」


「祥ちゃんたち、いなかったから、私その時のまともな担任の先生(愛妻家)から、お前、神藤いないなら学校来るなって言われて、姉ちゃんや妹たちも同じく、まともな先生たちからお達し来てさ、学校禁止令出たよね。

お前を守るヤツがいないっていうこの状況は、危ないから来るなって言われて、自宅学習だったもん。

あの後、祥ちゃんたち、おじさんとおばさんにめちゃくちゃ怒られたよね。」


「だからやめろって」


「祥ちゃんのお家、豪邸で良かったよね。トイレいっぱいあるもん。

じゃなきゃ、間に合わなかった人も……「マジ、やめろ。」」


「お尻大丈夫だった?」


「お前、なんかあるたびにそれ、言うよな。」


ガチで、マジで嫌そうな顔で耳まで真っ赤にする祥ちゃん。


しょうがないじゃん。

祥ちゃん含めて、神藤兄弟イジれんの、これくらいしかないんだもん。


完璧ボーイズだもの。


そんなやり取りをしている最中も、モニターの中のガイルさんは、激辛商品を吟味して、片っ端から入れていた。


「……いや、マジであの人、何考えたら、あんなカゴの中身になんのか????

あの人、あんな奇行するような人なのか??

あの人も癖強冒険者だったのか?????」


「それがね、祥ちゃん。

ガイルさんの奥さんのカラさんって、めちゃくちゃ辛いもの好きな激辛マニアなんだって!」


「は?マジ?」


「うん、さっき、ピンチヒッターのロボ太(本来なら夜間店員)が聞いてた。

もしも、気づいてなくて、買うなら、えらいこっちゃって思ったんだって。

そしたら、激辛マニアだって言ってたよ。

なんかね、この世界の香辛料、マジで高いらしいんだけど、どうしても食べたいからって高い香辛料、買うために冒険者やってたんだって。

多分私たちの世界だったら、七味ラーだったかもね。

実際、ガイルさん、七味とか一味とか、シンプルに唐辛子とか、タバスコとかも入れてるし。

安さに目ん玉ひん剥いてたよ。」


「……じゃあ何か? カラさんはあの劇物、笑顔で完食するってことか??

俺たちのトラウマを???」


自分たちのトラウマ兵器を笑顔で完食する異世界の女性(カラさん。顔は見えない)を想像したのか、祥ちゃんの顔が別の意味で引き攣った。


ガチのトラウマになってんだね。


「うん、『うちの嫁さんはこのスパイス(一味)をこの絵(山盛りの唐辛子)くらいかけるから大丈夫だ!!』って言ってたよ。

本当に辛いのに強いんだね、カラだけに。」 


「やかましいわ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。