第十二話 朝食バイキング part14〜(…………こっちにも、もんだいじ、いたかも、ちれない……………。)
そんな賑やかな(あるいは祥の不憫な)やり取りを余所に、女性陣のテーブルの一角では、何かを真剣に考え込み、固まっている少女がいた。
アウステル国一の鍛冶屋、その鍛冶屋の娘――マイナである。
彼女の瞳は、自分の皿に盛られた料理ではなく、遥か遠くの――お米のコーナーに鎮座する、巨大な炊飯ジャーの姿を、まるで親の仇か、ライバルでも見るかのような鋭さでじっと見つめていた。
(……本当に、あんな釜、一体どうやって鍛造したの!?)
マイナの頭の中は、席に着いてからもその疑問一色で埋め尽くされていた。
昨日の鍋焼きうどんの鍋もそうだった。
あれだって、アウステル国ではありえない、鉄じゃないけど、鉄のような鍋だった。
しかもあれには、職人の手による溶接の継ぎ目がどこにも見当たらなかったし、不純物だって見つけられなかった。
全て、未知のものだったのだ。
その上、あんな巨大な釜を作れるなんて……。
そこまで考えてマイナは唇を噛む。
昨日の鍋焼きうどんの鍋は、やろうと思えば、自分の実家でも錬成できる。
それは確信している。
だが、あれほど巨大な金属の塊をどう使って、釜を作ったのか。
あれを作るだけで相当な技術がいるはずだ。
何年かかるかわからない大仕事。
……なのに、あの釜はその上で、ずっと、釜の中のライスを炊きたての状態に保っていた。
熱を閉じ込める魔法を付与するにしても、あの巨大な釜に均一に魔導回路を組み込んだり、永久にかけるなど、並の付与魔術師にできる芸当ではないのに…………。
(魔導回路は?魔法陣は?
どこに刻まれてるの……?
底? それとも二重構造の隙間……?
それとも、永続的に効く魔法をどこかの魔術師か魔法使いに掛けてもらってるの?
………もしも、あの釜の仕組みさえ分かれば、再現も夢じゃ……っ!)
「……マイナちゃ。マイナちゃってば。」
「ひゃいっ!?」
脳内で熱い金属加工の設計図を、ぐるぐる組み立てていたマイナは、足元から響いた声に、驚き、現実へと引き戻された。
見下げれば、彼女の横にちょこんと着席していた、シャム猫のようなケットシー――シャムが、自身の皿に乗った角煮を前足の箸で器用にツンツンと突きながら、口を膨らまし、ジト目でマイナを咎めるように見上げていた。
「マイナちゃ、ごはん、あったかいまんまなの、しゅごくて、きににゃる、わかる。
れも、のんびりしちぇたら、マイナちゃ、おしゃらのごはん、ちめたくなる、みゃ。
ちぇっかく、おいちいまんま、だいなち。」
「あ、あはは。
……ご、ごめんね、シャムちゃん……」
シャムからの真っ当すぎるお叱りに、マイナはバツが悪そうに頬を掻いた。
職人の娘として、技を盗もうと考えていた。
それについて、シャムは咎めない。
ただ、考え事をして、食事が疎かになることを咎めているのだ。
職人の娘としての矜持、それを考えるタイミングを間違えていた。
後で考えればいいし、咎めれてないのだから、観察させて貰えばいい。
考察は後だ。
せっかく用意してくれたご飯なのだから、シャムの言う通り、一段と美味しいタイミングで食べるべきだろう。
そう思い、マイナはようやく手元のカトラリーを握り直し、自分の目の前にある皿に目を向ける。
そこに並んでいたのは白米と角煮だ。
圧力鍋に入っている角煮が、気になって仕方なく、立ち止まってしまったマイナを回収するために、仕方なくシャムが注いだのだ。
………正直、昨日のガイルについてた時の方が楽だったなぁとシャムは思う。
………しかし、昨日マイナについていた二郎は、問題児のラルクを兄と見張るためにそっちに、行ってしまったのだから仕方ない。
遠い目をしつつ、シャムも角煮へとかぶりついた。
うん美味しく出来てると、自画自賛していると、マイナの悶える声が聞こえた。
「〜〜〜〜〜美味しい!!!なにこれ?!肉厚のお肉なのに、口の中でほろっと崩れて、溶けて…………。
これがあの鍋の力なの?!
ますます、秘密を探らなきゃ…………!!!」
(…………こっちにも、もんだいじ、いたかも、ちれない……………。)
そう思い、シャムは深いため息をついた。
昨日の案内や夕食パート、マイナに付いていたのは二郎でしたが、今日はシャムになってます。
そのことに対する描写が抜けていましたので、該当ページに追加と、こちらのページに描写しました。
至らなくて申し訳ありません。
追記、
レオンに付いているのは五郎でした。
レオン→ガイルに訂正致します。
話の流れがぐちゃぐちゃで申し訳ありません。私の文章力不足です。申し訳ありませんでした。




