第十二話 朝食バイキング part11〜 「しょうちゃ、メタ、ないない。」
さて、こちら、ラルクを死んだ目で見ているサラとソラがいる女性陣サイド。
不穏な気配を感じるが、まぁそれはさておき。
彼女たちの優雅な実食を見ていこう。
タッパもあるゴリゴリの冒険者たちのむさ苦しい男飯よりも、見目麗しい女性陣の食事の風景の方が、一部需要ありそうである。
「……なんか、今ものすごい偏見をナレーションしなかったか………?」
「しょうちゃ、メタ、ないない。」
祥の横で聞いていたトラが即座にツッコむ。
相変わらず、ツッコミも出来るもふもふである。
「……いや、トラ、ナレーションをツッコめよ。」
祥が口うるささは置いておくとして、いよいよ、女性陣のテーブルでは、優雅な朝食が始まった。
「いや、無視すんな、聞けよ。」
まずは、お吸い物の小鍋を開けて覗き込みながら、首を傾げていたエルダだ。
昨日食べたうどんやソバの出汁にどこか香りは似ているが、中には透き通った美しい汁と小さなお麩、そして三つ葉が上品に浮かんでいる。
「いない者扱いすんな、かまえよ。」
「エルダちゃ、おいちいから、のんれ!!」
祥を無視したミケに勧められて、エルダは微笑みながら、トレイに乗せた木のお椀を持ち上げ、エルダはそっと口をつけた。
「ミケすら無視かよ、このまま進めんのかよ。」
「――――っ……! なに、これ……。
美味しい……っ」
エルダはあまりの優しく奥深い味わいに、うっとりと目を細めた。
昨日食べたソバの汁は、シンプルに見えて、濃厚な味わいに感じる味だった。
だが、このお吸い物はそれとは全く違う。
雑味が一切ない透明な汁の中に、鰹と昆布の上品な出汁の香りが極限まで凝縮されており、一口飲むたびに五臓六腑へじんわりと染み渡っていく。
この世界、肉や野菜を煮込んだ濃いスープとは真逆の、素材の引き算で作られた極上のスープに、エルダはただただ感動に打ち震えるのだった。
「………だから、聞けって。」
「ソバの汁も衝撃的だったけれど……これは具材の味を引き立てるための、本当に繊細な味ね……。朝の身体に、信じられないくらい優しく染み込んでいくわ……」
エルダが贅沢な和の旨味に魂をとろけさせていると、隣から「おいちい、みゃ!」とミケが嬉しそうに自身の鮭をつまみ、場がさらに温かな空気に包まれていく。
「エルダさんすら無視ですか………?
ミケ、お前いい加減にしろよ。」
「ああ!ごめんなさい、ショウさん。
………でも、私貴方が何言ってるか分からなくて………。」
「え?!」
「しょうちゃ、エルダちゃ、きこえちぇない。」
「メタ、ふつう、きこえない。
しょうちゃ、ひとりごと、いっちぇる。」
((※モニタリング中のルナ)祥ちゃん、どんまい)
もふもふからも無視される祥。
不憫だが、ルナにメタ発言が酷いと言いつつ、祥も大概である。
「…俺とお前には聞こえてたよな、レオン。」
「それは言わない約束だよ、ラルク。」
お前らが特殊なのである。
ごめんなさい。
エルダに付いていたのはミケだったので、描写を追加し、修正しました。




