第十二話 朝食バイキング part9〜 「…………ガルちゃ、シロちゃ、そりぇ、たべる、ないない、のんでる…………。」
一方、こちら女性陣。
女性陣は男性陣とは違い、こちらは、食欲を刺激されつつも、しっかり吟味して食べる料理を選んでいた。
「………何かしら、このスープ………おすいもの?
香りはソバとかうどんに似てるけど。
美味しいのかしら……?」
エルダがある鍋を開け、覗き込みながら首を傾げると、すかさずその足元から、ミケ柄のケットシー────昨日からエルダについているミケが前足で器用に木のお椀を「どじょ!」と差し出してきた。
「ん!めちゃくちゃ、おいちい!!
エルダちゃ、おそば、おいちかった?
なら、おいちい、みゃ!!」
「そう?じゃあ、飲んでみようかしら………。」
トラの可愛いお勧めにエルダが微笑みながらお椀を受け取る。
その横では、エルマが緑色のみずみずしい小鉢をじっと見つめていた。
「………これは、何かの薬草でしょうか………?」
「ほうれんちょう!!おちょーゆ、かけたら、おいちい!!エルマちゃ、たべりゅ、みゃ?」
「トラちゃん。
そうですね、食べてみましょうか。」
トラが醤油のボトルを両前足で大事そうに抱え、ほうれん草の横にコトッと置いてニコニコと笑う。
それにエルマもトラに微笑み、醤油を受け取った。
その横ではサラが黄色くて白い丸と黄色い丸が綺麗な料理の前で足を止めた。
「なんかこれ、お月さまみたいね。
可愛い。」
「めだまやき、だよ。」
目玉焼きの前で立ち止まるサラを見上げ、彼女をエスコートしているフェンリル───三郎が言うとサラはギョッとした顔をした。
「目玉?!」
「おめめみたいでしょ?」
驚くサラに三郎は、大きな瞳をパチパチさせコテンあざとく首を傾げた。
驚くサラを不思議そうに見つめる。
「あ、そういうこと。」
「サラちゃ、たべりゅ?」
「………そうね、ちょっと考えさせて。」
サラが目玉というワードに少し引きつつも楽しそうに悩んでいると、隣からソラのはしゃいだ声が上がった。
「わぁ、何このオムレツ!!
四角くて面白ーい!!」
「たまごやき、らよ。
おいちいよ!ソラちゃも、たべよ!!」
楽しそうに言うソラに、ソラにくっついている、フェンリル────四郎がトングで自分にも卵焼きを盛りながら、勧める。
各々自分の食べるものを取りながらも、こちらのもふもふたちは、男性陣のもふもふたちと違い、日本の朝食を説明しながら、ゆっくりと選んでいく。
「わぁ、これ、サーモンかな?」
「しょうだけど、そりぇは、しゃけ。おいちい。ミーナちゃ、すき?」
「うん、私サーモン大好き!!うちの食堂の看板メニューもサーモンなんだ!!」
そう言うとミーナが嬉しそうにトングで鮭の塩焼きを皿に盛る。
それを横にいた黒い毛並みのケットシー────クロが楽しそうに見て、自分の皿にも器用に鮭を大量に重ねていく。
…………さすが。猫型魔獣、魚には目がないようだ。
「………このライスが入ってる釜……なんであったかいの?!
保温魔法でも付いてるの?!?!
うちの実家でもこんなのって……………。」
「…………マイナちゃ、ちょっと、ちあう…………。ちょうじゃない…………。」
お米のコーナーをみた瞬間、マイナが巨大なステンレス製の釜の前で声を上げた。
さすが鍛冶屋の娘、注目どころが違う。
関心すべきところなのだが、今このタイミングではないだろうと、彼女についているシャム猫のようなケットシー、シャム(昨日付いていた二郎が男性陣のところに行ってしまったので、交代で付いている)が困惑したように、つぶやいた。
────さてここで怒涛のもふもふを紹介させていただいたが、このホテルのもふもふは十匹。
ケットシーはシロ、シャム、ミケ、トラ、クロ。
シロ以外は全員女性陣についているもふもふ。
フェンリルは太郎、二郎、三郎、四郎。
そして、前のページで不手際で紹介できなかった、五郎である。
男性陣には太郎、二郎、五郎、シロがついて、男飯を盛っている。
以後お見知りおきいただきたい。
「…………なんか、ナレーターに誰かの人格入ってないか……?」
「ショウさん、何か言ったか?」
「いえ、なんでもございません。
さぁ、お料理も揃いましたし、お席へと参りましょう。
………ボソッ)お一人は既に座られておりますが。」
ボソリと呟く祥に、ガイルが振り返りつつ声をかける。
それに祥は誤魔化すように言い、そして冒険者一同をテーブルへと導く。
祥の言葉(最後小声なのが気になるが。)に促され、お互いの色鮮やかなトレイを見せ合いながら、女性陣はテーブル席へと移動した。――が、自分たちの席に着いた瞬間、女性陣の笑顔が、もれなく全員引きつる。
その視線の先、そこにはカレーを大皿から、特大皿に溢れさせながら、スプーンを高速往復させて、山のように盛り付けたカレーを食べている、いや、吸引しているガルの姿があった。
その横では自分よりも大きいのではないかと言う大皿をゴッゴッゴッと飲み物を呷るって飲むように食べているシロがいた。
「……ちょっとガル、あんたそれ何杯目よ……」
「覇気が怖くて近づけないんだけど……」
「というか、みんな、茶色すぎない?」
「身体に悪いよ…………。」
「…………ガルちゃ、シロちゃ、そりぇ、たべる、ないない、のんでる…………。」
ガルとシロの相変わらずの食い意地と、男性陣と男性陣サイドもふもふたちの茶色一色「ザ・男飯」に、女性陣と女性陣サイドのもふもふたちは一瞬でジト目になるのだった。
そんな様子を自室のベッドの上で、ストックのポテチを齧りながら、見ているルナは呟く。
(……ガルさん、やっぱりお腹に何か飼ってんな……… 。
というか、
女性陣と男性陣の皿の対比がヤバい。
まぁ、私も選んだら、ローストビーフむさぼり食って、祥ちゃんからチョップされてるだろうけども。
吸引してるガルさんとシロちゃんの絵面が凄い。
…………祥ちゃん、カオスだけど、ガンバ!!!)
祥には見えないと理解しつつも、ルナはグッ!!と親指を立てた。




