第一話 好々爺な神様とスキル名【オタク】part1〜失言とバスターゴリラと私
目を覚ますと、私の部屋じゃなかった。
見渡す限りの真っ白な空間。
………?………何処だ?ここ。
知らない空間なんだけど…………???
………誘拐??わたしを?
今日祥ちゃん泊まってたのに??
………え?まさか、祥ちゃんがいるのに、私を誘拐したんか?!
マジで?!あの武力チートがいるのに?!
どんだけ命知らずなんだよ、無謀にも程があるだろ?!
死にたいの??
………あ、でもここに私が居るってことは、無事に誘拐完遂できたってことだよね………?
祥ちゃんがいて、私を誘拐出来るなんてあり得ない、祥ちゃんの身に何かない限り…………
え?…………祥ちゃんは?
ヒュッと息が止まる。
目の前がチカチカして、思考が定まらない。
歯がカチカチ音が鳴って、震えが止まらない。
怖い、怖い、怖い、怖い、こわい、こわい、怖い、こわい、こわい……………。
こわいよ、ヤダ、ヤダよ………しょーちゃ………
──────わたし、しょうちゃんが、いないと……………。
ドサッドテッ
「ッいってぇぇぇぇえ!!!!」
頭が真っ白になりかけた、私の後ろから、聞き覚えがある声と気配が降ってくる。
祥ちゃん。
途端に、目の前の景色が正常化して、震えが止まり、呼吸が楽になった。
………?私、今何考えかけたんだ?
落ち着いた呼吸を整えるように息をしながら、首を傾げる。
???本当、何考えた???
「いってぇ、なんだよ………ん? 何処だ……? ここ……?
………!!!ルナ、お前無事か!?」
祥ちゃんの声に振り向くと、痛そうに腰を擦りながら、周りを見渡して、怪訝な表情を顔に浮かべている。
そして私に気づくと慌てたように、私に近づいた。
「おはよー、祥ちゃん。」
「おはよーじゃない!
お前、ちょっとは危機感持てよ!!
ここ、お前の部屋じゃないよな?
こんなわけの分からない空間に連れて来られてるのに、そんな暢気なこと!!
お前誘拐されてんだぞ?!
自分がどこにいるか分かってんのか!?
俺に気付かせずに、お前を連れ出せる、そんな人間のテリトリーにいるんだぞ?!」
さっきの反動でいつにもまして、ほわほわした言動をしつつも、ヘラリと笑って祥ちゃんに挨拶すると、祥ちゃんにオカンスイッチが入った。
……………そんなに危険かな?
だって祥ちゃんがいるし、大丈夫でしょ?
ねぇ、バスターゴリラさん?
なんて言ったら、祥ちゃんが蹲った。
耳赤い。
祥ちゃんたら照れてる珍しいー……
……あっちょっと待って、待って、照れてるからって、暴力はいけない、またアイアンクローする気か貴様!!!
…………私がバスターゴリラなんて失言するから悪い?
せやな!!!!!
「はぁ………で?ここって結局なんなんだ?」
「分からん。でも変態がいないから、ここが天国ってやつかな。
やったね、祥ちゃん、変態バイオハザードからの脱却だよ!!
もうバスターゴリラしなくていいよ!!!
極楽だよ!楽園だよ!!!」
「もう一回、アイアンクローくらいたいのか、お前。」
「サーセン。」
何とかアイアンクロー回避したのに、それは勘弁。
というか、昨日のアイアンクローでも思ったけど、祥ちゃん、怜さんと仁平さんに似てきたね!!
あの二人、わかりやすく、想い人溺愛してるけど、教育的指導するもんね!!
似なくていいよ、そんなとこ!!!
「─────目が覚めたかね?」




