第一話 好々爺な神様とスキル名【オタク】part2〜言ったもんがち!!
「誰だ!!」
謎の声が辺りに響き、そちらの方へと振り返ると、何もそれこそ私たち以外、誰もいなかった、真っ白な空間のど真ん中に、ぽつんと一人の【おじいちゃん】が座っていた。
長い白髭を蓄え、いかにも優しそうな、テンプレ通りの『ザ・神様』といった、なんとも人の良さそうなおじいちゃん。
そのおじいちゃんは私たちを、まるで盆や正月に里帰りしてきた、孫をみるような、慈しみのある優しい笑みで微笑みかけている。
私はその微笑みを見て、悪い人に思えなかったけど、おじいちゃんを認識した途端に祥ちゃんが神速の勢いで私の前に立ちはだかった。
厳しい表情と鋭い目つきで、祥ちゃんはおじいちゃんを見つめる。
「………どなたですか。」
「………すまんのう、驚かせる気はなかったんじゃ…いつものように時空パトロールしておったら、ルナちゃん、祥くん。お主たちの切実な願いが聞こえてのう……
今、ちょうどわしがやらねばならん案件にもぴったりじゃし、人助けがてら、手伝って貰おうと思ったんじゃよ。」
心底済まなそうに、私たちを見るおじいちゃん。
この流れ、知ってるぞ。
「祥ちゃん!祥ちゃん!
これ、あれだよ!!
なろう系にありがちの異世界転生!!
あれ、でも私たち死んでないよね?」
「死んでないぞい。」
「じゃあ、転移か。
異世界転移!!
そんななろう系みたいなこと出来るのか!!
おじいちゃん!!
異世界転移なら、誰も私の顔に狂わない、静かな島に飛ばしてください!!
スローライフ系のスキルがいいです!!
できれば家族も一緒がいいです!!
一生だらだら暮らしたいんです!!」
「 初対面の人?神様??にいきなり限界引きこもりな物乞いをすんな!」
私の言葉を聞いた瞬間、祥ちゃんのオカンチョップが私の頭にドスッと炸裂する。
「怜さんたちと似たようなことしないでよ!!
いいじゃん!!
こういうのは最初が大事なんだよ!!
神様に勝手に決められて、困りまくる主人公なんかもいるんだから!!!
暫定神様、しかもマトモで優しそうなおじいちゃんだったら、言ってみるもんでしょ!!
言ったもん勝ち!!!」
私が全力の正論(?)を叫ぶと、祥ちゃんのオカンチョップが再び頭にクリーヒットした。
そんなドスドスチョップしないでくれる?!
バカになったら、どうすんの?!
え?もうバカになってる?
遺憾の意!!遺、憾、の、意!!!!!!
「そもそも本当に神様だったら、失礼すぎるだろ!」
「バカになってるとかいう発言よりはマシやろ!!」
なんて、ギャーギャー騒いでいると、私たちの横から、ふわりと温かい笑い声が響いた。
「フォッフォッフォ、よいよい、元気があるのは素晴らしいことじゃよ。
甘えたい盛りじゃろうし。」
「いや、もうこいつ、そんな年じゃないですよ……」
「なんか、3歳くらいの幼児扱いされてるけど、チートスキルもらえるなら、どうでもいいわ。」
「お前は少しは気にしろよ。」
「そしてじゃ、ルナちゃんの言う通り、本当に【言ったもん勝ち】になったぞい。」
「そして、この人のスルースキルは凄いな。」
「祥ちゃん、黙って。あんまりにも話が進まなかったら、この小説誰も見て貰えなくなっちゃう。」
「お前のメタ発言もヤバいな。」




