第十二話 朝食バイキング part4〜………ん?ラルクさん、なんか顔腫れてね? なんかやらかした?
………マジで鳴り止まないな、ガルさんのお腹の音。
正直、引くんだけど。
スピーカー越しに、地響き?地震?雷?火山??……地震きとか地震が近いか……。
まぁ、災害のような「グゴゴゴゴゴ……」というとんでもない低き音が響くたび、モニターが揺れてる気がする……いや、実際は揺れてないんだろうけどさ。
揺れてると思うほど、ヤバい音してるんだよね……
………ほら、後ろにいる冒険者のお仲間さんも引いてるよ…………
モニターの向こう、レストランの前のガルさんの後ろにいる、昨日のもふもふちゃんたちのケアで、ツヤツヤのピカピカで美貌が上がってる女性陣。
そんな女性陣は朝、お部屋に迎えにきてくれた、もふもふちゃんのエスコートでニコニコしながら、レストランに向かって来てたんだけど、レストランの前で、まるで戦闘中みたいな顔でレストランが開くのを心待ちにしてるガルさんを見て、もれなく全員が引きつり、ドン引きした顔をした。
女性陣は明らかに数歩分、ガッツリと距離を取っている。
…………いや、なんで戦場顔???確かにバイキングは戦場って言う人もいるけども。
覇気が違うんよ…………。
そして、後ろからやって来た男性、ガイルさんもレオンさんもラルクさんも、顔を引きつらせ、ガルさんを見る。
………ん?ラルクさん、なんか顔腫れてね?
なんかやらかした?
くっきり、両頬に肉球の跡ついてるけど。
肉球の形がワンコっぽいから、あれ、太郎ちゃんと二郎ちゃんだな?
ラルクさん、両方からガッツリ叩かれたな????
「…………祥ちゃん、あの、ラルクさん、あれ。」
「…………事情聴取必要そうだな。
殴らないでっつー叫びは聞こえたけど、あの後、絶対なんかあっただろ。」
「………そうだね。」
昨日殴られたんか、やっぱり。
あの前足引っ込めてってそういう………。
そう思い当たって、思わず脱力する私と祥ちゃん。
………ミスターゆりかごから墓場まで、ブレないな。
(――………さて、画面を見ながら深く脱力しているルナと祥だが、2人が知らない、裏事情をお話させていただこう。
皆さんもご存知の通り、ラルクはあのタイミングで殴られたのではない。
あの深夜2時のこと、ラルクが太郎と二郎に叫びながら、布団に潜ったあのシーン。
確かに布団を被り直し、眠りについていた。
泣きながら。
………ただ、この男、あの後寝ぼけて、何を血迷ったか、女性陣がいる、シティホテル風ビジネスフロアへと突撃しかけたのである。
予測動作なしに、半分以上、ほぼ寝ていると言っていい、ラルクがとんでもない勢いで、最上階へと、突撃していくのを太郎と二郎は慌てて追いかけ、粛清したのだ。
結局、青年誌を見なくても同じオチになった。
太郎と二郎の気持ちを無碍にしてしまった、ただのアホである。)
────なんてマヌケなラルクさんの話をナレーターがしていることを、知る由もない私たちは、再びジタバタしているシロちゃんたちに目を向けた。
「……じゃ、俺は行ってくるわ。
マジでそろそろ、シロとガルさんがヤバい。
ラルクの話も聞かなきゃだし。
ルナ、お前はここにいろよ。」
「あ~い。いってらっしゃ〜い 。
ガルさんとシロちゃんの暴走止めんの、ガンバ!!」
「………止まんのかな、あれ…………。」
「…………ガンバ!!!!!」
祥ちゃんは私の言葉に引きつった苦笑いをし、遠い目をした。
あれは止められないって顔してるね。
うん、私も止まんないし、多分レストランのバイキング、全部食い尽くされる予感はしてるけどね!!!
マジで頑張れ祥ちゃん!!
遠い目をしつつも、私と祥ちゃんが食べた空になったトレイを重ねて持ち、祥ちゃんは部屋を出て行った。
バタンとドアが閉まる。
それを見送りつつも、私はストックしてあった、ポテチとコーラをだし(朝食食べたばっかだろという声は聞かない。)、視線をモニターへ向ける。
「………ちょっと、ガルさんのお腹の音うるさすぎるから、音小さくするか………?
でもそうなると、祥ちゃんたちが話してる音聞こえなくなるし………。
仕方ない、祥ちゃんがレストラン着いて、開店させるまで我慢するかぁ。」
余りのうるささに、一瞬、音の小さくすることを考えるけど、それじゃあ、冒険者さんたちの様子がわからないから、断念。
さて、冒険者さんたちにバイキングは通用するのかな?




