第十一話 それぞれの夜 part8〜「俺がお前の側を離れねぇってこと。」
その後しばらくアイアンクローされてた私。
あの馬鹿力。
もっとバカになんじゃんかぁ…………。
私女子ぞ?????
「いたた………容赦ないなぁ………祥ちゃん………。
もっと優しくしてくれてもいいじゃんかぁ。」
「俺は優しいだろ。」
「そりゃ、優しすぎるくらいだけどさ、アイアンクローのお仕置きが優しくないんよ………」
「お仕置きが優しくてどうすんだ。
つーか、お仕置きって、俺はお前の親じゃないんだけど?」
そうやな、祥ちゃんは親じゃない。
オカン気質だし、スパダリだけども。
第三の目がついてるばりに、強くて頼もしい世話焼きの自慢の幼馴染、私が忘れてた、幼稚園の約束を守って、私のずっと側にいてくれる、大好きな幼馴染。
本当にずーっと。
あの時の誓い通りに。
有言実行にも程がある。
…………そんな祥ちゃんにとって、私ってなんなんだろう………?
あれこれ世話を焼いて、側にいてくれて、守ってくれて、悪いことしたら怒ってくれる、でも親じゃない。
………あ、分かった!!!
「…………ペット?」
「は? なんて????」
「じゃあ、今のアイアンクローって、躾?調教?
祥ちゃん、ご主人様???」
「ブッッッッ!!!!」
思い浮かんだ言葉をそのまま口にしたら、祥ちゃんが勢いよく吹き出した。
……なぜ????
「……お前、頼むからそういう誤解を招く言葉、他の男にすんなよ、絶対……!」
「え?誤解?? なんで????
祥ちゃん、耳、真っ赤。顔も。
熱でもあるの?」
「……誰のせいだと思ってんだよ、バカ。
ほら、お前はもうポテチとコーラ禁止。
全部没収!!」
そう言って、手際よくお布団の上の私が食い散らかした残骸を回収しつつ、祥くんは呆れたようにため息を吐く。
………いや、ごめんて…………
「はぁ…………お前のことだから、『なんで、祥ちゃん世話焼いてくれるんだろう。
祥ちゃんにとって私ってなんなんだろう?
あれこれ世話を焼いて、側にいてくれて、守ってくれて、悪いことしたら怒ってくれる、でも親じゃない。』
………から飛躍してそうなったんだろうけど………」
「祥ちゃんエスパー?????」
「そこまで頭が回っといて、なんでそこが着地点になるんだろうなぁ………。」
「祥ちゃん?」
そう言って祥ちゃんが、私をじっと見た見た。
とても優しい目だ。
仕方ないなぁとも言いたげだが、なんか宝物を観るような目にも感じてソワソワする。
前から優しい目してくれるけど、なんか異世界に来てから違う気もして居心地悪い。
そんな私を見ながら、祥ちゃんは口を開いた。
「お前はバカだけど愚かじゃないんだよ。」
「なぜ、いきなりの罵倒????」
一気にソワソワする雰囲気が四散した。
いや、なぜ????
困惑する私を気にせず祥ちゃんが続ける。
「本当は分かってるはずなんだよ、おまえは。
俺の気持ちも、お前の本当の気持ちもな。」
「祥ちゃん………?」
「でも、お前は頑なに、そこだけは難聴になる。
昔の鈍感ヒロインみたいにな。」
「………?」
「ま、生まれた時からあんな環境だったんだ。
そういう風に防衛本能が働いても仕方ねぇ。
お前は優しいしな。
俺をそんな枠組みに入れたくねぇんだろ。」
「祥ちゃん?何言って………?」
「これを言ってるのが俺の兄弟で、それを言われてるのが、お前の姉妹だったら、すぐ話の意図が分かるはずだよ。
本来のお前なら。」
「え………?」
「ま、いいよ、気長に待つさ。
分かんなくても、支障はない。」
「?」
「俺がお前の側を離れねぇってこと。」
そう言うと祥ちゃんは私から視線を離し、私の隣に腰掛けて、監視モニターの画面へ視線をやった。
…………意味わかんなかったけど、祥ちゃんがいてくれるならいいか。




