第十一話 それぞれの夜 part5〜新キャラロボ太(イセカイジン、コレボドタベルノカ………)
こんな時間に起き出して、食べ物や甘味を求めることに罪悪感を抱きつつも、小さな共犯者を得たガルは静かにベッドを抜け出した。
シロをそっと太い腕で抱き上げると、深夜の静まり返った廊下へと滑り出る。
目指すは、ガルの腹でさえ満たしてくれる、24時間営業のコンビニ、別名ガルにとってのオアシス。
そのオアシスに向かうために、一階へと階段を音を立てないように降り、コンビニの前へと向かう。
ガルは器用に、開いた自動ドアに滑り込み、先ほども選んだ、プリンやエクレアなどのスイーツを大量に手に取り、カゴに入れる。
(………この時間だ………これだけあれば、朝までは十分持つだろう………。
………ふむ、何か、チャーシュー麺のような辛いものがあれば、それも食べたいが……………。)
そんなことを考えつつ、ガルは周りを見回す。
そのタイミングでシロから声がかかる。
「ガルちゃ。こちもおいちいよ?」
かけられた言葉に思わず、ガルが腕の中にいるシロを見下ろすと、小さな手でどこかを指さしていた。
その小さな手が指さす方へと視線を向ける。
「ガルちゃ。あまいにょ、ばっかり、お口、あまあま、みゃ。
ありぇ、ちゃべちゃら、あまいにょ、もっちょ、おいちくなりゅりょ?」
「…………あれは、確かガイルが買った、唐揚げという肉か?」
シロが小さな手で指差したのは、レジのすぐ横で、ほんのりと白い湯気を立てながら明かりが灯っている、ガラス張りの温かいケース。
その中にはガイルが買った唐揚げなどのホットスナックが入っていた。
(なるほど、確かにあの唐揚げという肉は食欲を唆る匂いがしていた。
あれを食べてこの甘い菓子を食べれば、さらに互いの旨味が増すだだろうな)
「そうだな、唐揚げもいいかもしれんな…………。」
納得しつつも、そちらに向かう。
─────この男無限ループをするつもりだ。
そんなガルに腕の中のシロが首を横に振った。
「ちがうよ?からあげ、おいちい、でも、もっちょ、おちゅちゅめ、ありゅ。
ありぇ。にくまん。」
「にくまん???」
「そう、ありぇ。」
そう言って再びガラスケースを指さすシロ。
指さしたガラスケース、それを覗けば、その中で、真っ白でふかふかとした謎の球体が、いくつも並んでいる。
「………パンか?」
「んー?おにゃかま?
でも、おにく、はいちぇる、おいちい。」
「そうか。」
不思議な食べ物だが、先ほどチャーシュー麺を教えてくれた、シロの考えに間違いはないだろうと、ガラスケースの中にある肉まんをあるだけ頼んだ。
「ゴ、ゴチューモン、アリガトウゴサイマス…………。
テンナイデ、オメシアガリ、デスカ?」
心なしか、もふもふたちのためにルナが作った夜間店員AIロボット、通称ロボ太も引き気味に見える。
(イセカイジン、コレボドタベルノカ………)
戦慄しているロボ太。
学習AIなので、必死に覚えようとしているのだろう。
………いや、これだけ食べるのはガルだけで、他の冒険者一同からしてみれば、遺憾の意どころの話ではないだろう。
「ああ……」
そんなロボ太に応えつつも、視線はロボ太が包んでいる肉まんに釘付けだ。
しかし、ふと思いだしたのか、シロを腕から降ろし、レジカウンターにドンとカゴを置いた。
「コレも一緒に頼む。」
…………先ほど取った、大量のスイーツである。
戻さなかったようだ。
「ガルちゃ、シロのこりぇもかっちぇ。
いっちょ、たべりゅ、みゃ!!」
トテテと足音を立てながら、ガルが肉まんを頼んでいた間に、商品を取りに行っていた、シロが戻ってきた。
頭にカゴを抱えて走る姿は、とても可愛らしいが、そのカゴの中身は可愛くない。
そのカゴはスイーツやスナックでいっぱいで、量はガルと変わらない。
実はこのもふもふ、シロはここのホテル1の大食いで、シンパシーを感じたガルに色々入れ知恵していたのだ。
「あ、ロボ太ちゃ!シロにも、からあげ、ちょうらい!!いっぱい!!
ガルちゃとわけっこ、ちゅるの!!」
「…………そうだな。にくまんも一緒に食べよう。」
ニコニコ笑うシロはとても可愛らしく、ガルは頬を緩ませるが、シロのカゴの量をみているのだろうか?
「…………カシコマリマシタ………」
恐らく、無限ループして足りないだろうなぁと、状況を的確に理解していたロボ太が、遠い目をしつつも、会計を始めた。
─────その後、案の定、ドハマリしたガルとシロが、買ったスイーツと肉まん、唐揚げを無限ループで食い尽くし、おかわりとして肉まんをロボ太に作らせたのは言うまでもない。
ロボ太にはぜひとも追加報酬をあげてほしいものである。




