第十一話 それぞれの夜 part3〜マッサージテロ
不意の特攻コールに女性陣が呆気に取られた瞬間、一斉にもふもふ達が女性陣に飛びかかった。
そして繰り出されたのは、本日二回目となる、全力の【もふもふマッサージinボディバージョン(口封じ)】だった。
「え!? ちょっ、嬉しいけど、まだショウさんの話聞いてな………!?」
「もふもふちゃんまって…………あっ」
不意の特攻に驚きつつ、抵抗しようとするも、熟練した手つきで、肩や腰を撫でると擦るの間くらいの力で、服の上から撫で擦る。
コレだけでも相当気持ちいいのだ。
日々の冒険者稼業に疲れ切った、女性陣は成すすべもなく陥落する。
「あ、そこ、気持ちいい……っ」
「こんな天国が……………」
気持ちよさげな声を上げる女性陣。
そんな女性陣に構うことなく、十分に撫で擦った後、女性陣のツボを的確に突き、もみほぐしていく。
「あ〜〜〜………」
「もう、きもちよくて、ねそう…………」
十分に、肩、背中、腰を揉みほぐした後は(特に肩や背中を念入りに。ここにいる女性陣は全員ナイスプロポーションなため、相当負担がかかっているので。)
顔、腕、足へと移行する。
顔や腕、足などの部分、特に顔はデリケートなので、肌を傷つけぬよう、いい香りのするマッサージオイルが塗り込まれ、じっくりとオイルマッサージをするように、リラックス出来る力強さで、揉みほぐしていく。
顔は優しく丁寧にリンパを流すように、肌を傷つけないように、先ほど浴室で頭皮は解しているから、その名残ごと、リンパのゴミ箱へ。
腕は、手の指の1本1本から揉みほぐし、手のひら、手の甲のハンドマッサージ。
あくまでも滑らかに、手のひら全体で包み込むようにして、手首から肘、そして二の腕へ、上へ上へとリンパ節に向かって老廃物をなぞり上げていく。
優しく、かつ的確に。
剣を握り、日々盾を構え、武器を取る、冒険者としての職業病ともいえる、腕の張りが、もふもふ達の神業のようなマッサージによって、みるみるうちに解きほぐされていく。
そして仕上げは、歩き疲れた足へのアプローチだ。
太ももからふくらはぎ、そして足の裏のツボに至るまで、いい香りのオイルと共に、足先から、上へとじっくりと押し流していく。
湯上がりのポカポカとした血行の良さも相まって、全身の老廃物がすべて、ゴミ箱へと流し去られていく感覚。
「ひゃんっ、そこ、もうダメぇ……っ」
「んあぁ……脳みそまで、とろけちゃう……」
先ほどまで「ショウさんの好きな子は誰!?」と目をぎらつかせていた肉食女子6人は、今や一人残らず、キングサイズのベッド上で、ふにゃふにゃの液体と化していた。
もはや事情聴取どころか、思考をすることすら面倒なレベルの極楽へと突き落とされ、眠りの淵に沈み込んでいる。
(ふぅ………しゃくちぇん、だいちぇいこう、みゃ!!!!)
ルナたちのプライバシーと、あのジレジレな恋模様を見事に守りきったトラと、もふもふ達は、互いにアイコンタクトを交わすと、ふっと満足げに冷や汗を拭った。
そして、完全に意識を失って動けなくなった彼女たちを、それぞれの本来の客室のベッドへと、その身に合わない怪力で、送り届けていくのだった。
「…………私………ギルドに帰りたくなくなっちゃったかも。
一生ここで、お姫様みたいな生活をしていたいなぁ……」
「………そうね………」
途中でぼんやりと覚醒したソラは、自分と姉のサラの部屋のふかふかベッドへと無事に運ばれ、ベッドの上で至福の表情のまま、うっとりと寝言のように呟き、もうほとんど意識のないサラがボソリと答えた。
もふもふたちのマッサージに溺れた彼女たちの顔は、幸福そのもので、そのまま極上の安眠へと落ちていった。
―こうして、女性陣が泊まる最上階エリアには、平和と安眠が訪れた。
しかし、時を同じくした午前二時。
ホテルの別エリア、ビジネスフロアエリアでは、また別の厄介事が動き出していたのである。




