第十一話 それぞれの夜 part1〜エコノミーフロア&シティホテル風ビシネスエリアの場合
ホテルの設備、食べ物、浴場に驚愕し、楽しんだその日の夜。
夜も更け、ホテル全体が心地よい静寂に包まれる中、十人十色のリアルな夜が幕を開けていた。
一階のエコノミーフロア。
「いやあ、やっぱり、すごいなぁ………
来た時に案内してもらったし、その時、機能を教えてもらったけどさ。
実際にこうして横になったら、余計凄さがわかるよねー………」
一人用に区切られた未来的なカプセルの中にすっぽりと収まったレオンは、天井近くに配置されたコントロールパネルを指先でいじりながら、ニコニコ笑い、独りごちていた。
調光スイッチをタップするたびに、カプセル内を照らす光が近未来的なブルーから、温かみのあるオレンジへと滑らかに切り替わる。手の届く位置にあるコンセント、自分専用の小さな画面、そしてこの柔らかい布団の絶妙な包まれ感。
レオンは思わず、ぐで~っと力を抜いた。
「これで、俺たちみたいな新人が泊まるような宿のお値段なんでしょー?
で、エルダさんたちいわく、王城の客室以上の寝心地、おまけにこの男心?少年心?をくすぐる秘密基地感。
たまらないよねぇ…………
ねぇ?兄貴?」
「……………」
「兄貴?」
あまりの心地よさにすぐ隣のカプセルにいる兄のガイルにレオンは声をかける。
しかし返事はなく、レオンは首を傾げ、「あ」と気づいた。
「そっか、これ、この天幕みたいなの降ろしてたら、声聞こえないんだっけ?」
そう言い、自身のカプセルのカーテンを開け、すぐ横の自分の兄のカーテンを少し開けて覗き込んだ。
そこには、地球産のマットレスの誘惑に一瞬で敗北してしまったガイルが、すでにマットに泥のように沈み込み、爆睡していたのだった。
「………おやすみ、兄貴。」
しばらくその様子を眺めたレオンは、口元に優しい笑みを浮かべながら、そう言い、クスリと笑うと、カプセルに身体を引っ込め、自分もマットに身体を沈め、眠りへと誘われていった。
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一方、一番豪華なシティホテル風ビジネスエリアを紳士的な男性陣に譲ってもらった女性陣。
3つの客室に分かれて泊まっている彼女たちだったが、夜が更けると自然とエルダたちの部屋へと集まり、今日1日の話に花を咲かせた。
エルダたちの部屋で女性の華やかで楽しげな声が響いている。
最初の客室案内でベットの質に驚いたカプセルホテル。
それを始め、ガルやラルクが泊まる予定の、ビジネスホテルエリア、シティホテル風ビシネスエリア。
大浴場、食事と本当に素晴らしかった。
その上、王城以上のこの部屋、自分たちでは一生かかっても、泊まれないかもしれないこのシティホテル風ビジネスエリアの部屋にタダで泊まれている、その事実に彼女たちは夢見心地で、自然と部屋の賞賛の声が集まる。
「本当に、素晴らしい部屋よね……。」
「私、夢見てるみたいです。」
「私、明日ギルドに帰りたくなくなっちゃいました。一生ここで、お姫様みたいな生活をしていたいです……」
などと口々に言う。
本当にコレが、普通の平民が工夫すれば、泊まれるなど、信じられない。
ここのオーナーと祥の故郷はどうなっているのだろうか。
そんなことを全員が考えつつも、大浴場で可愛いもふもふたちに、髪も肌もピカピカにケアしてもらい、さらに、もふもふたちの最高の料理でお腹も心も満たされた彼女たちの瞼は限界だった。
部屋に戻ろうかと、エルダとエルマ以外の者たちが思う。
しかし、寝てしまうのはもったいない気がする…………。
「…………そう言えば、ショウさんが好きなオーナーの女の子ってどんな子なのかしら……?」
ふと思い至ったという感じのエルダのその唐突な呟きに、限界を迎えかけていた女性陣の目がキランと一斉に光った。
そうだ、ずっと気になっていた。
あれほどの極上の男があんな顔をして、自分たちに白旗をあげさせるほど、想いを満ち溢れさせていた、そんな顔をさせる女、気にならないわけがない。
どの世界も女性というのは恋バナが好きなのである。




