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第九話 実食part4〜出汁飯テロ

あまりのガルの食べっぷりに、ドン引きしている男性陣のテーブル。


そのシュールなテーブルは置いておいて、少し時を戻して、女性陣の座るテーブルへと、視線を移すとしよう。


エルフのエルダとエルマをはじめとする女性陣の前には、太郎が主導し、ケットシーたちが本能と手塩をかけて生み出した至高の出汁を使った、蕎麦やうどんが並んでいた。

男性陣と同じタイミングで手を伸ばした女性陣。

まずは、サラとソラ、ミーナとマイナが自身の注文した料理を口に運んだ。


サラが頼んだのはざる蕎麦。

普通パスタと言えば、白い色をした細い麺だ。

なのに、グレーに近い色した麺というのが、目新しく、面白く思えて、思わず選んでしまったのだ。


口に含んだ瞬間、広がる出汁の風味と香り。

新食感な感触と口に広がる旨味にサラは頬を緩ませる。


「〜〜〜美味しい……!」


パスタとは全く違う、蕎麦独特の心地よい歯ごたえと喉越し。

そして何より、冷たいつゆの中に凝縮された、お出汁の旨味が、噛むたびに口いっぱいに広がっていく。


「こんなに美味しい麺料理、食べたことないわ……。

このグレーの麺、ただ珍しいだけじゃなくて、このスープとの相性が良すぎるのね!」


サラが美味しさにうっとりとした表情をしてざる蕎麦を口に運ぶ。


その横では、きつねうどんを頼んだソラがウキウキした顔で、お揚げにフォークを突き刺した。

うどんとおあげの白と茶色のコントラストが気になって頼んだのと、きつねという言葉にもしかして、海を渡った遠い国にいるあの聖獣かな?と思い、何か関わりがあるのではないかと思って、注文したのだ。


いつか見たいと思っている聖獣に思いを馳せながら、ソラはフォークで持ち上げた分厚いお揚げを、おそるおそる口へと運んだ。


ジュワァァァァァーーーーーッッッ!!!


「――っんんんんんんんんーーーーーーーっっっ!!!???」


お揚げをひと口噛み締めた瞬間、ソラの頭の中で何かが激しく弾け飛んだ。

お揚げの繊維の奥の奥までシミシミに染み込んだ、もふもふ達が本能のまま取った出汁の旨味と、みりんや砂糖が織りなす、甘みが噛んだ瞬間に口内で混じり合い、至福のマリアージュを起こす。


「な、何これっ……!? 噛むたびにお出汁が、溢れて、止まらない……! この茶色い四角いもの、噛めば噛むほど、信じられないくらい甘くて、でも辛くて、とっても美味しい!!!」


さらに、太郎たちが一生懸命、茹で上げた真っ白なうどんをフォークで口に運べば、そのツルツルとした極上の喉越しと、噛むたびに弾むような強烈なコシの強さに、ソラはほっぺを押さえて悶絶する。


「スープも、パスタも、茶色の四角いのも、全部、全部美味しーい!! 最高!!!!!」


そう機嫌よく言い、きつねうどんをもぐもぐ食べるソラの横では、かけ蕎麦を頼んだミーナもキラキラした瞳で口に運んでいた。


彼女が頼んだかけ蕎麦、具材はシンプルにかまぼことネギ、天かすのみ。

しかし、実家が定食屋のミーナ、この料理が一番この見知らぬ料理たちのポテンシャルが分かるのが、この料理だと思ったのだ。


(何かうちの定食屋のヒントになるかもしれない…………!!!)


定食屋の娘としてのプライドと期待を胸に、ミーナはフォークを使い、蕎麦に出汁を絡めるようにすくい、おそるおそる口へと運んだ。


――その瞬間、ミーナの手がピタッと止まり、目が見開かれた。


「ん~~!!!!!!」


ミーナの口の中に広がったのは、雑味が一切なく、喉を通る瞬間に海のような豊かな香りが鼻腔へと突き抜けていく、どこまでも透き通る純粋で芳醇な旨味。

シンプルな麺と出汁だからこそ、その出汁の圧倒的なポテンシャルが、ミーナの舌へと突き刺さる。

さらに天かすがスープに溶けることでコクを足し、シャキシャキのネギが完璧なアクセントになって、ミーナの口いっぱいに広がる。


「美味しい……っ! 美味しすぎる!

具材がこんなにシンプルなのに、スープ、お出汁だったよね?

それがこれだけ複雑だけど、調和されてるから、物足りなさなんて全然ない!

ねぇ、太郎ちゃん、この出汁、どうやって作るの?!」


バッと太郎の方をミーナが振り向くと、太郎は首を傾げて答えた。


「ミーナちゃ、ちりたいの?いいよ?

おちえたげる、にゃんにゃんたちにもこえ、かけりゅから、ちゃべたら、こち、きちぇ。」


「「「「「「え??」」」」」」


「う?」


太郎の返しに思わず声を出す女性陣。

そんな女性陣に太郎は首をコテンと傾げる。

女性陣が驚くのも無理はない。

このように上手い出汁など、この世界、どんな店でも秘伝のものだし、門外不出のものなはずなのだ。


しかし、太郎や祥からしてみれば、使う具材を教えるくらい、驚くことではないという感覚だ。

そもそも、和食の出汁は使うものは大体同じ。

それを抽出時間、分量、掛け合わせ方を無限に駆使して、作り上げるのが、地球の出汁の取り方である。

それはラーメンであろうとも、スープであろうとも同じである。


作り方を細かく教えなければ、秘伝の出汁の情報が漏れることもないのだ。


まぁ、そもそも、人間よりも鋭い嗅覚を持つケットシーの感覚で作られた、出汁を人間が真似できるかという話だが…………


まぁまず無理だろう。

昨日の更新で、おかげさまで本作が【12万字】を突破いたしました!

初投稿、初の作品で、右も左も分からないずぶの素人なのですが、毎日たくさんの方に読んでいただけて、本当に嬉しくて震えています。

いつも貴重な時間を割いてお付き合いいただき、本当にありがとうございます!

4話ほど前にも少し書かせていただいたのですが、もし「毎日19時半の更新、楽しみにしているよ!」「スローライフに癒やされた!」と思っていただけましたら、画面最下部にある【ブックマーク登録】や、評価の【☆☆☆☆☆(星)】で応援していただけると、毎日の執筆の物凄い励みになります……!

皆様の応援が本当に力になっています。


これからも毎日、のんびり楽しいお話をお届けできるよう頑張ります!

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