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第七話 異世界ギャップ〜レジ編 part9〜「ラルクちゃ、きずつく、こころあっちゃ???」 「お前、さっきから辛辣じゃない????」

「それでは、女性陣の皆様、ありがとうございました。

商品はすべて、先ほどの代車がついた棚にお乗せください。

ガイル様たちもどうぞ。

後ほど、私どものモフモフたちが責任を持ってお部屋へと運びますので、どうぞご安心ください」


そう言って、祥がにっこりと微笑み、一礼して女性陣をレジ前から手を指し示し、エスコートする。

それを受け、ウキウキした様子で旅先用のミニコスメや、シャンプーのボトルが入った大袋を抱え、女性陣は移動し、それに呆れた顔のガイルと苦笑いのレオンも後に続く。

そんな周囲の盛り上がりを他所に、他の冒険者たちと違い、生物しか買っていなかったガルはというと、祥の「プリンは冷たいうちが一番美味しい」という言葉を受けて、回りに構うことなくイートインスペースの椅子で一心不乱にプリン(その他のスイーツも)を爆食していた。

戦場のような圧を放ちつつも、何処か花が舞うような雰囲気のガルは、スプーンを高速で動かしていて、ある意味、魔物と戦う時よりも覇気が出ている。

その姿にさしもののガイルたちもそっと目を逸らすしかなかった。


そんなカオスな店内を見渡した後、祥はコホンと小さく咳払いをした。


「──さて。残るはラルク様、あなたお一人ですね。どうぞ、こちらへ」


祥の視線が、カゴの中身の青年誌(本人曰く聖典、ただのエロ本である)を眺めては鼻の下を伸ばしてニヤニヤとデレデレしていた、今日一命知らずな男──ラルクへと静かに注がれる。


ラルクを見ている祥は美しい笑みを浮かべているものの、その瞳の奥は1ミリも笑っていない。

祥の視線の先を追って冒険者一同もそちらを見る。

そして一心不乱にスイーツを食べるガルを除いた男性陣はラルクを呆れたように見つめ、女性陣はゴミをみる目で見た。


だが、彼、ラルクはクラン一番の懲りない男、全く気にすることなく浮足立ってスキップしたままレジへとやってきた。


「よし!頼むぞ、トラ!!!」


そう言うと、ラルクはカゴをレジ台へとドンッ!! と置く。


………普通は内心恥ずかしいのを出さず、素知らぬ顔で一冊を素早く買うものだと思うのだが、この男、この量の青年誌をカゴに積み上げているのに、顔色一つ変えず、とてもいい笑み(顔がいいので腹立つ)を浮かべている。


(………ラルクさん最強だな、オイ)


(後ろのサラさんとソラさん見えてないのか、ラルク………あんだけしばかれたのに………。)


あまりの量のエロ本にモニタリング中のルナはドン引き、祥はチベスナ顔を浮かべ、呆れる。

ラルクの背後に立つサラとソラはもう般若と笑顔という相反するものが同居していて、それなのにも関わらず、それを一切無視するラルクは、心臓がオリハルコンなのではないだろうか。

コイツへの対応はもう天丼を通り越している。

いい加減にしてほしい。


レジ台のカゴを見たトラは、さっきまでエルマに「エルマちゃ」と甘えて、可愛らしく目をキラキラを輝かせていた、その瞳から一瞬で光を消した。


完全なゴミを見るような、もふもふがしてはいけない顔、チベスナ顔&ゴミを見る目(極)再来である。

その顔を見て、祥が変わろうとするものの、もふもふの中で一番のレジ打ちのプロフェッショナルとしての意地、そして同じ種族である祥は未成年なので、レジ打ちはさせられないと(ルナと祥の影響で人間の理、倫理観は育っているものの、もふもふからしたら、人間で言うところの動物が写った写真集と相違ない)いう考えで、レジ打ちをボイコットしないものの、商品自体に嫌悪感はないが、持ってきた男に対する凄まじい嫌悪感で、触りたくない気持ちが先行する。


「………なんか凄まじい顔をトラがしているが、俺は何を言われようとも、この本を貰う!!!

それが男だからだ!!!!!!(キリッ)」


背後に立つ姉たちの凄まじい殺気を一切無視し、「むしろこれが男だ!!」「これは漢の義務だ!!!」と堂々と胸を張って言い放つラルク。


そんなラルクにトラはもはや恐怖すら覚えた。


(………コイツ、ヤバい、みゃ………。

はひゃく、おわりゃせりゅ、みゃ………。)


そしてトラは、危険人物をロックオンするかのようにガン見し、そのまま顔を動かさず、その状態を維持して、手元を1ミリも見ることなく、高速で青年誌をセンサーへと流し始めたのだ。

………どう見ても危険人物扱いをされている。

トラは手元を見ないまま通すという神業であるにも関わらず、本の角を折ることも擦ることもなく、正確無比にバーコードだけを捉えて次々と『ピッ』『ピッ』と高速で流していく。


─────ピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッ。


その視線をラルクから動かさず、正確に読み込ませるレジ打ちに、冒険者一同はどよめき、ラルクはトラと目線を合わせながら呟いた。


「………あのな、トラ。

さすがの俺もその反応は心にくるぞ………?

俺もな、人間だからな、お前みたいな、可愛いもふもふに露骨に不審者扱いされたら、傷つくんだぞ………?」


「ラルクちゃ、きずつく、こころあっちゃ???」


「お前、さっきから辛辣じゃない????」


恐怖を覚えたトラの反応にさすがに思うところがあったのか、ラルクが呟くと、ずっと側でラルクを監視していたフェンリル───太郎がズバッと呟いた。


さすが飛び蹴り、監視、通報準備をしていただけあって、辛辣である。




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