第七話 異世界ギャップ〜レジ編 part5〜 (レオンさん?!何故ピンポイントでそこ行った?! その行き先は地獄だぞ?!)
受け取ったカゴの中の商品をトラがセンサーにかざして会計を進めていき、そんなトラを見ながら、面白そうにレオンが言う。
「いやぁ~、ショウさんの故郷には美味しそうなお菓子も、面白そうな物語も沢山あるんだね〜。」
今レオンがニコニコしながら置いたカゴの中には、いくつかのスナック菓子と、先ほど本棚からカゴに入れた何冊かの漫画が入れられている。
レオンはジャパニーズコミックとスナック菓子がお気に召したようだ。
そんな弟のカゴを覗き込んで、ガイルは首を傾げる。
「お?なんだこれ?
すごい精巧な絵だな………。」
「ショウさんの故郷の物語、漫画って言うんだって。
これなんて、見たことない風景だから、ショウさんの故郷なんじゃない?
それに、こっちはさっきの魔道具、テレビだっけ?に流れてたやつだよね?」
そう言って、レオンはカゴのなかに入っている銀髪の侍の漫画と錬金術師の漫画をパラパラとめくって見せた。
その漫画の中の生活様式などが分かりやすく、描かれているページを見せる。
「なんだと?」
「ショウ様の故郷?!」
それにガイルが反応し、他の冒険者たちも、これほどの宿泊施設がある祥の故郷の情報を掴もうとして、一斉に覗き込もうとする。
「いえ、あくまでそれは物語。
私どもの世界ではございませんよ。
随分と昔にいたという逸話はありますが、今は錬金術師もいませんしね。」
(二百年前に侍いたけど、宇宙人なんて来てねぇし、錬金術師はこんなバトルが出来る魔法みたいな感じじゃなかったらしいからな。)
(……レオンさん、銀髪の侍の漫画、選んだのか、色々、ネタが凄いけど、だいしょぶそ?)
間違った地球の認識をしないように、祥はやんわりと否定し、選ばれた一冊がパロディ多めの銀髪の侍の漫画だと分かったルナが苦笑いを零した。
「なんだ、物語かぁ……」
祥の言葉に残念そうにレオンは呟き、他の冒険者たちも少しつまらなそうな顔をした。
だが、残念そうにした後、レオンは何かを思いついたような顔をし、カゴからさらに別の漫画、鬼を滅する漫画と呪いを呪いで祓う漫画を取り出し、祥に向かってページをめくって見せた。
「ショウさん、この2冊の本も物語なの?」
「ええ、左様でございますよ。」
「えー、でもこの本に出てくる戦闘技術とかめちゃくちゃ参考になりそうなのに………。
まだあらすじしか読んでないけど、これ見たこともない特殊な呼吸術を極めて、戦う話なんでしょ?
俺たち冒険者が極めたら、ダンジョン攻略とかに役立つよね。」
「呼吸術?そんなことが載ってるの?」
レオンの言葉にサラが反応する。
ダンジョンにはゴブリンやオークがいて、女性の敵なため、ダンジョン攻略に役立つという言葉が気になったようだ。
その言葉にレオンは頷く。
「そうだよ、サラさん。
この本、凄い剣術が出てくるみたいでさ。
内容も面白そうだし、勉強にもなりそうだよね。
それにこっちの本は、身体に刻まれた強力な術式を使って戦うらしいし……。ほら、マイナとかが見たら、何か新しい術の参考になるんじゃない?」
「本当?じゃあ私も読んでみようかなぁ?」
「私も!なんか面白そうだし!」
「ほー……呼吸術っての、気になるし、俺も読んでみるか。」
マイナが楽しそうにレオンの言葉に乗ると、ミーナやガイルを始め、冒険者全員が興味を示したようだ。
そんな様子を別室で画面越しに見ていたルナは、ブッとコーラを吹き出した。
(レオンさん?!何故ピンポイントでそこ行った?!
その行き先は地獄だぞ?!)
ルナはその2冊が、推しがよく死んで、世のオタクの心を殺した漫画だと知り慌てる。
(その2つ、物語が後半に進んだら、愛着の湧いた味方キャラがバタバタ死んで、心が死ぬやつじゃん!!
私が過酷すぎて、著作権がOKでも行けないって諦めたとこじゃん!!
私、その2つ読んで、三日三晩寝込んだんだけど?!
祥ちゃん、レオンさんたちの心に一生消えない傷を負うやつだから、 止めたげて!!)
画面の向こうの冒険者たちをメンタルを本気で心配するルナであったが、そんなルナの言葉が冒険者たちや祥に聞こえるはずもなく。
レジでは、何事もなかったかのようにトラのレジの打ち込みが完了していた。
「────計〇〇リェンだみゃ! 」
トラが合計を告げ、先の2人の会計を見ていたレオンが迷うことなく、カードキーをセンサーへと近づけた。
シャリーン♪コンビニ内に美しい電子音が響き渡り、レオンの漫画とスナックの合計金額が一瞬で『0』へと切り替わる。
「おー! やっぱり 凄いし、便利だなぁ。」
感心したように笑うレオンに祥も微笑み、礼をする。
「レオン様、ありがとうございました。
──さて、お次は女性陣の皆様、どうぞこちらへ」
「待ってました!!」
「早く買って開けたかったのよね!」
「誰から行く?」
「エルダさんか、エルマさんがいいんじゃないかな?」
祥の言葉に反応した女性陣が、ミニコスメやスイーツのが山のようになったカゴを抱えてレジへと一斉に押し寄せるのだった。




