第七話 異世界ギャップ〜レジ編 part4〜「こんな性能が良いものを使い捨てとか………。 あー……これが、ショウさんの常識なんだな?」
「────計〇〇リェンだみゃ! お会計はカードみゃよね?」
トラが誇らしげに合計を告げ、ガルの方を伺うと、ガルは懐から薄いプラスチックのカードキーを素早く取り出し、レジへと近づける。
「いや、お前どんだけ早く食いてぇんだよ………」
あまりの素早さにガイルが突っ込むが、相変わらずのガルは無視し、センサーへカードをかざした。
シャリーン♪コンビニ内に、電子音が響き渡り、ガルの甘味の山の合計金額が一瞬で『0』へと切り替わる。
それに満足そうに頷くと、トラから荷物を受け取り、後ろへと下がった。
「あ、チュプーン。」
ハッとトラが気付いた顔をし、慌ててレジ下の引き出しを開け、スプーンを取り出した。
「なんだ、これ………?」
「スプーン、よね?」
取り出されたスプーンに戸惑った顔をする冒険者たち。
それもそうだろう、この世界ではあり得ない、プラスチック性能、使い捨てスプーンなのだから。
「はい、そちら使い捨てスプーンとなっておりまして、使い終わった後、プリンの容器と共に破棄していただいて結構です。
それでは、ガル様、ありがとうございました。
プリンは冷たいうちが一番美味しいので、よろしければ、そちらのイートインすぺーゆっくりお召し上がりくださいね。」
「こんな性能が良いものを使い捨てとか………。
あー……これが、ショウさんの常識なんだな?」
祥がニッコリと笑いガルに一礼すると、その様子を見ていたガイルが諦めたように呟いた。
無理もない。ガルが手にした、使い捨てプラスチックスプーンは、驚くほど軽いくせに、この世界の職人が数ヶ月かけて作り上げた金属製のスプーンよりも滑らかで、一切の歪みがない。
このようなものを作れるのは、アウステル国では、国が抱える錬金術師くらいのものだろう。
それこそ王族の使われるようなそんな至高の物。
それを使い捨てだと言う祥に、ガルを除いた冒険者一同は声もなく、ただただ脱力するしかなかった。
そんな周囲の硬直を他所に、ガルは我慢の限界を迎えていて、祥に案内されたレジ横のイートインスペースの椅子へと腰掛けると、そっと焼きプリンの蓋を開けた。
その中から現れたのは、ツヤツヤと輝く黄金色のカスタードと、底に沈む濃厚な漆黒のカラメル。
鼻腔をくすぐるバニラエッセンスの甘い香りに、ガルの喉がゴクリと鳴った。
もらった使い捨てスプーンを使い、そっと口へと運んだ──その瞬間。
「…………ッッッ!!!???」
卵と牛乳の濃厚なコクが、舌の上でふわりと信じられないほどの滑らかさで溶け、そこに絡みつくほろ苦くも甘いカラメルソースの絶妙なアクセントとなり、ガルの味覚を刺激する。
さっきのアイスも凄まじかったが、本物の破壊力は完全に次元が違った。
ガルの日頃の命懸けの冒険の疲れが、その甘さのおかげで溶け出していく。
「……美味い、美味すぎる。
いくらでも食べられる………。
ああ、キラ……愛するお前にも今すぐこれを……」
「ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!甘い物食べるか、惚気るかどっちかにしてもらえませんかねぇぇぇぇ?!?!」
「あー……ガルさん、ラルクがまたうるさいから、キラさんの話はまた今度ね。」
ガルの惚気混じりのプリン対するコメントに、先程荒ぶっていたラルクが凄まじい表情で反応し、レオンが口元を引きつらせた。
そんなラルクに祥は眉を顰めた。
(コイツ、一応モテてるんだよな?
さっき受付嬢に人気あるって言ってなかったか?
猫被ってモテてるつってたよな?
何でこんなモテない男の僻みみたいな反応してんだ?)
もうコイツ呼ばわりである。
完璧にラルクを見下している祥。
それを出すことはなく、祥は笑みを崩さず、口を開いた。
「ガル様、お気に召して何よりです。
エクレアやロールケーキも絶品ですので、後でお部屋でもゆっくりお召し上がりくださいね。
──さて、レオン様、お待たせいたしました。どうぞこちらへ」
「はーい! 待ってました!」
キラキラと瞳を輝かせた、レオンが楽しそうに自分のカゴをレジ台へと置き、ニッコリと微笑んだ。
本日、皆さまのおかげで無事に10万文字を突破することができました!
いつも見守ってくださる方、本当にありがとうございます!引きこもりたい主人公と、もふもふ達、そしてイケメン幼馴染の開拓生活を、これからも応援していただけると嬉しいです。少しでも気に入っていただけたら、下の【☆】や【ブクマ】で評価していただけると励みになります!これからもどうぞよろしくお願いします。




