第七話 異世界ギャップ〜レジ編 part3〜「いつものお前の聡さはどうした。 バカになったのか?」
「それではガル様、次はあなたです。
どうぞ、こちらへ。」
呆然としている冒険者一同に祥は声をかけ、ハッと全員が正気に戻り、ガルが少し焦り気味にカゴをレジ台へと乗せた。
そのカゴには、生クリームの乗ったプリンが大量に、そしてエクレアなどの甘いスイーツがこれでもかと積み上げられていた。
甘味で山が出来ている。
「おまっ!また増やしたのか、ガル?!」
そのカゴの状態を見て、ガイルが引き気味に突っ込むが、ガルは素知らぬ顔でトラを見ている。
「いくらタダでも増やすなって言っただろ?!」
「………俺も言っただろう、ショウさんの世界では甘い物を男が食べるのは普通だと。
だから今日は沢山食べる。」
「みゃぁ……あまいの、いっぱい、みゃ……しゅごい………」
トラが少し引きつつも甘い香りに羨ましそうにカゴを覗く。
そんなトラに祥はまた耳元で「頑張れ、後で俺おすすめの美味しいスイーツやるから」と呟き、その言葉にトラは気合いを入れたかのように「みゃ!」と返事をし、カゴの山からプリンを取り出し、レジに通し始めた。
──ピッ。
「えくれあ、一個、みゃ」
──ピッ。
「プリン、一個、みゃ」
「ろーるけーき、一個、みゃ」
──ピッ。
「ぷりん、一個、や、ちあう、2個目、みゃ」
──ピッ。
「ぷりん、3個目、みゃ」
──ピッ。
「ぷりん、………いっぱいみゃ………みゃあ……えっちょ………」
トラが短く可愛らしいお手てで素早くスキャンしていき、お菓子を流していく。
その流れていくお菓子の内訳に、横で見ていたガイルの顔が引きつり、トラが困った顔をした。
「ぷりん、30個、みゃ。
いっぱい………」
「おい、ガル。
エクレア、ロールケーキ、プリン、プリン、プリン……って、お前………。
この菓子たちが、どんな菓子かは分からんが、お前が買うってことは甘いもんなんだろう。
さっきのお前の口ぶりで、お前がこの宿泊モニター中、全部網羅したいのも分かった。
つっても、いくら何でもプリンって菓子多くねぇか!?」
「……全部違う、お前は何を見てるんだ。」
ガイルの至極真っ当なツッコミに対し、ガルは無表情のまま、ガイルへと顔を向け、普段の無口さが嘘のような早口でボソッと反論した。
「さっき配られたあのアイス(たまたまプリン味のアイスだった)を食った時、俺の魂は震えた。
あの冷たくて甘い至高の菓子をまだたべたいと。
食べるために探した、そしたら、本物がこの棚にあった。
そんな素晴らしい物を見つけて、我慢出来るはずがないだろう。
その素晴らしい物、これらの菓子を見てお前は気付かないのか、
全部同じ物だと?
お前の目は節穴なのか?
これは『焼きプリン』。
こっちは『とろけるプリン』。
そして一番大きいのは『なめらか大容量プリンだ。
全く違うものなのに、いつものお前の聡さはどうした。
バカになったのか?」
「いやここで熱弁すんな!! しかもしれっと悪口言いやがって、お前どんだけ、プリンにハマってんだよ!!」
頭を抱えるガイルを無視して、ビニール袋に一生懸命スイーツを入れているトラを、ガルは大真面目な顔でじーっと凝視している。
プニプニの肉球によってプリンが潰されないよう、見守るというか、監視しているようだ。
(ガルさん、プリン圧ヤバッ………すごい量買ってる……。
トラちゃんすら引いてんじゃん………。
ってか、ケットシーちゃんて猫なのに、スイーツ食べれるってすごいよなぁ……。
異世界の魔獣だからかな?
というか、祥ちゃんセレクトのスイーツって、絶対に美味しいやつじゃん!!
祥ちゃん舌肥えてるし、スイーツ男子だもんね、ガルさんほどじゃないけど!!!!
私も食べたい!!!
絶対、教えてもらおう!!!)
別室のルナはガルの様子に引きつつも、祥とトラのやりとりを羨ましそうに見て、絶対におすすめを教えてもらおうと誓った。




