↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
53/118

第七話 異世界ギャップ〜レジ編 part2〜「今、トラを見た時、誰を思い浮かべたか聞いたほうがいいか?」 「………いいえ、お気になさらず。」

「おいおい、ショウさん。

あのケットシー……トラだったっけか?

からあげをじっと見つめて『みや…』って可愛い声を漏らして、俺をチラチラ見てるんだが………。

俺はこれ、どうすればいいんだ?

渡していいのか?

勝手に飯をやるわけにはいかないだろう?」


可愛すぎるもふもふの、可愛いらしいおねだり視線に完全にオロオロしているガイル。


祥はそんな一人と一匹に苦笑いをこぼし、トラの頭を優しくポンと叩いた。


「コラ、つまみ食いはダメだぞ、トラ。

これはお客様の。

お前にはまた後でちゃんとあげるから、頑張れ。」


「みゃ………ごめんにゃしゃい、みゃ………」


しゅんと耳をイカ耳にし、トラはガイルに謝る。

そんなトラの謝罪に祥は優しく微笑み口を開く。


「………食い意地張ってるとこといい、おねだり上手なとこといい……。

んで、ちゃんと謝ることといい…………。

本当、アイツによく似てんなぁ……」


クスクスと笑い、そう言った祥のトラを見る目はとても優しく、明らかに誰かを思い出している瞳と優しげな微笑みに、女性陣は顔を赤くし、ラルクを抜いた男性陣は苦笑いをこぼし、ラルクはメンチを切り出した。

そんな冒険者一同にさすがの祥も自身の考えていることを見抜かれたと気づき、少し顔を赤らめ、咳払いをして口を開いた。


「……失礼、まだ子供ですので、美味しい匂いには勝てなかったようです。

ガイル様、どうぞお気になさらず、後できちんとご褒美をあげますから。」


「ああ、ならいいんだけどもよ、今、トラを見た時、誰を思い浮かべたか聞いたほうがいいか?」


「………いいえ、お気になさらず。」


「そうか?」


祥の反応にラルクを抜いた冒険者一同はニヤニヤと口元に笑みを浮かべ、ガイルの言葉は明らかにからかい混じりで、それに祥は憮然とした表情を浮かべた。

今までのそつない祥の行動と違い、年相応な反応にガイルはおかしそうに微笑み、それと同時に思考する。


(………この反応……見た目は若いが、俺と同じくらいか、年上かと思ったが、見た目通り、ガキに近いようだな………。

もしや、レオンより若いかも知れん。

若いマレビトは今まで、勇者やら魔法使いやらになっていたと聞くが………。

商人は初めてかもしれん。

ギルドマスターに報告だな。)


祥をからかいつつも、冒険者としての調査を忘れず、しっかりと情報を抜き取るガイル。

さすがは、中堅冒険者というべきだが、そんなガイルに祥もまた気づいた。


(あー……人をからかったりしてるけど、ガッツリ探ってんな。

まぁ、こっちの想定通り動いてくれてるが……。

レオンさんといい、侮れない人かもな。)


と静かな攻防をしている、ガイルと祥。

そんな2人をモニタリングしているルナはと言うと。


(〜〜〜〜〜〜トラちゃん、可愛い!!!!!!からあげの匂いに釣られるとか!!!それでも、我慢してお仕事しようとしてるとか、でも本能でおねだりしちゃったりとか!!!!!

ああああああ!!!!もう可愛い───!!!!)


トラの可愛さに画面越しに悶絶していた。



………2人のシリアスな空気が台無しだし、ルナは祥のセリフをよく考えたほうがいい。


────そんなやりとり(とルナの悶絶)を尻目に、からあげの誘惑を断ち切ったトラが、可愛いケットシーの赤子から、プロのコンビニ店員へと思考を切り替え(頭のすみでは「こりぇ、終わっちゃら、からあげ………」と渦巻いているが。)、ガイルの商品のレジ打ちを完了させた。


「〇〇リェン────計〇〇リェンだみゃ!

お会計は、現金ちょ、カードどっちに、すりゅ、みや?」


短い腕をパッと上げ、合計金額を告げるトラ。

そんなトラにたじろぎつつも、関心したように、ガイルはトラを見て、マジックバックを開いた。


「お、おう、じゃあ、現金(リェン)で──」ガイルがマジックバック内の財布に手を伸ばした瞬間、祥がそれを制した。


「いいえガイル様。先ほど申し上げた通り、今回はモニタープランですのでお代は全額、当ホテルが負担いたします。

ですのでこちらの魔導器に、お部屋の『カードキー』をそっとかざしていただけますか?」


「ああ!そうだったな、すまん。

………これでいいのか………?」


戸惑いながらガイルが祥の案内通りに、ルームキーである、薄いプラスチックの板を示された場所に近づけた、その瞬間。


──シャリーン♪コンビニ内に、なんとも澄んだ、美しい電子音が響き渡った。


「…………っ!?」


金貨や銀貨のやり取りが本当に1枚もないまま、レジの液晶の合計金額が『0』へと切り替わる。


「………え?」


「はい、こちらで会計は終了となります。

ガイル様、もうこちらはあなたの物ですので、開封していただいて、結構ですよ。」


「マジか………」


「ほ、本当に、板をかざすだけで、お会計終わっちゃった………」


呆然とつぶやくガイルとそれに続くミーナ。


あまりにも違う普段との買い物の違いに、冒険者一同は呆然としている。


そんな冒険者一同の硬直は、ガイルの後ろに並んでいたガルへの祥の声かけで解けるのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。