第六話 異世界ギャップ〜コンビニ編 part5〜(もちもち、ポリチュメン?ってちたほうがいいかにゃ、ルナちゃ?) (そんな、言葉何処で覚えてくんの、もふもふちゃん………。)
そんな2人を眺め、祥は首をかしげ、ガイルに尋ねる。
「アイナさんとは?」
「ミーナとマイナの従姉妹だ。
ラルクとレオン、ミーナとマイナの一個上だな。
受付嬢の中では珍しく、ラルクに興味示さなかった女性だ。」
「………ラルクの猫かぶりは凄まじい……。」
「だな。大体騙されるんだがな。
見る目がある女性だよ。
レオンも果報者だ。」
しみじみというガイル。
そんな言葉を聞き、ラルクは妬み嫉みのオーラを纏いながら、ぐりんっとガイルに顔を向け、血を吐くようなおどろおどろしい声で叫んだ。
「何が果報者っすか、ガイルさん!!!!
コイツは俺らのアイドルと付き合ってるんですよ!!!
コイツとアイナちゃんの交際情報回った時、何人が泣いたと思ってんすか!!
闇討ち上等のやつもいて大変だったんですよ!!
俺だって、ギルドのアイドルが、相棒と付き合ってるなんて、情報回ってきて泣きたかったのに!!!
アイツら俺ごと奇襲かけてきやがって!!!
なんで俺まで?!?!?!」
おどろおどろしい声で叫んだ後、きぇぇぇぇぇぇえと奇声を発するラルク。
まるで、ルナちゃんが見てたアニメのどこぞの雷の剣士みたいだなぁと考えつつも、肉球で端末を握り、チベスナ顔もここに極まれりという顔で、ラルクを見上げるもふもふ。
(もちもち、しょちゃん?ってちたほうがいいかにゃ、ルナちゃ?)
(そんな、言葉何処で覚えてくんの、もふもふちゃん………。)
勿論、ルナのタブレットからである。
赤子というものは知らず知らずのうちに、色々覚えているものだ。
ルナは気をつけたほうがいい。
「…………お前の本性知らない女性たちからモテてるからじゃないか?
これ幸いと奇襲かけたんだろ。」
もふもふに通報されかけているラルクに引きつつも、ガルが答える。
そんなガルにガイルも続けた。
「ガルの言う通りだろうな。
お前も今みたいな僻み根性出すならわかるだろ。
モテない男どもの黒い感情の結果だよ。
俺らが嫁さんと結婚した時もあったしな。」
「…………カラとキラもギルド指折りの美女だ。
あの時は大変だった……。」
「今も、だろガル。」
「だな………」
ガイルとガルがそう掛け合うように会話をすると、深くため息をついた。
そんな彼らをみて、祥は思考する。
(…………ガイルさんとガルさん、レオンさんも大変だったみたいだな。
まぁ、俺もルナといてやっかみとかあったし、そんなもんか。
しかし、良いことを聞いたな。
さっきのあの惚気話といい、それを話してた2人の表情といい、ガイルさんとガルさんは奥様にベタ惚れ、レオンさんは分かんねぇけど、ガイルさんの言葉とラルクさんとの会話を見ている限り、彼女がいるのに、他の女に現ぬかすような感じじゃないな………。
まぁ、レオンさんは様子見として、ルナの家系の特性考えると、ガイルさんとガルさんは安全牌か…………。
既婚者、しかも愛妻家だったら、ルナの美貌に引っかからないし、大体人格者だしな。
しかもガイルさんは俺たちの背景に気づくくらい、頭の回転がいいようだし。
冒険者ギルドの後ろ盾は勿論、冒険者クランとも個人的に交流があったほうがいい。
それなら、この人たちのほうがいいだろ。
女性陣も切れ者が多いようだしな。
まぁ。ラルクさんだけはないけどな。)
そう心の中でつぶやきつつ、祥は表面上は笑みを浮かべるのだった。
そんなレジ前の一連のカオスをカメラの画面越しにモニタリングしていたルナは、顔を引きつらせながら、心の中でつぶやく。
(わー………ラルクさんの発狂ぶりというか、色々ヤバいな…………
っていうか、青年誌のこと、なんで祥ちゃんに聞くのか…………。
私ら、まだ見れる年じゃないし、そもそも祥ちゃん含む神藤兄弟、何でかそれ系に興味ないみたいだしねぇ。
まぁ、うちのお父さんもそんな感じだけど。
神藤兄弟の中でも、特に仁平さんと令さん、祥ちゃんと真司が一番興味ないみたいで、祥ちゃんなんか、クラスの男子がコソコソ見てるの呆れて見てるし、ガイルさんもガルさんも、そっち側だったのか。
…………って、ちょっと待って?
血の涙流しながら、発狂してるラルクさんに笑顔むけてる祥ちゃん、ラルクさんたちが祥ちゃんを見てない時すごい顔してんだが?!
ラルクさんの足元のモフモフちゃんと全く同じ顔してラルクさんを見つめてるんだが!?
目がめちゃくちゃ冷たいんだが?!
さっきの飛び蹴り事件とか、もふもふちゃんの表情とか、通報しようとする感じ見て思ったけど、やっぱりモフモフちゃん、祥ちゃんが変態を見る時の顔を完璧に真似してるよね?!アレ……! 影響受けてるよね?!
というか、どういう表情筋してるの、あのもふもふちゃん?!)
もふもふと祥の表情が同じことに気づき、あまりのそっくりさともふもふの表情管理能力にドン引きするルナ。
───実際のところ、彼女が今一番、気づかなければならないのは、もふもふの表情管理能力などではなく。
なぜ、祥を含む神藤家の兄弟たちが、他の女性の露出に1ミリも興味を示さないのかという一点なのだが。
ガイルたちの惚気に触発され、せっかく祥の行動を客観視しかけていたのに、結局は、ラルクの奇行ともふもふの表情筋にすべてを持っていかれてしまった。
傍から見れば当然すぎる理由、それにさえ気づけば、攻めあぐねている祥も行動に移せるだろうが、それにルナが気づくのは、まだまだ先のお話である。
(第六話・ 前半完)




