第六話 異世界ギャップ〜コンビニ編 part3〜聖典(青年誌です。)とラルク終了のお知らせ
一方、そんな凄まじい女子たちの熱気に圧倒されつつも、男性陣はといえば、一様に「えっ、本当にいいの……?」と驚きつつも、どこか嬉しそうな顔で祥を見た。
「おいおい、本当にいいのかよショウさん……。」
「ええ、勿論。」
「じゃあ、俺はこのガラスの箱の中の、美味そうな匂いを放ってる、からあげ?って肉を貰うぞ!
あと、この冷えたエールに似た『びーる』って酒も!」
先程まで中堅冒険者のリーダーの顔をしていたガイルが、祥の言葉に子どものような顔をして嬉しそうにホットスナックとお酒をカゴへ納める。
その近くのお菓子コーナーでは、祥の言葉を聞いて素早くそこに移動したガルが直立不動になっていた。
実はさっきウェルカムスイーツで配られたアイスを食べた時も、実は無口な表情の裏で大変感動していた男である。
生クリームの乗ったプリンやエクレアを見つめ、普段はほとんど喋らないが、今日はよく喋るガルが、ボソッと呟いた。
「……全部食べたい……が、まずこれをもらおう………」
「!ガルがまた喋った……! しかも嬉しそうに甘いもん両手で抱え込んでるぞ!」
驚愕するガイルを無視して、ガルはいそいそとプリンのタワーをカゴへとそっと収めていた。
「いや、入れすぎだろう?!
少しは遠慮しろよ?!」
「ガルさん甘い物好きだったの?」
「……ああ、普段は食べてたらおかしな目で見られるからな、だが、ショウさんの祖国では男が甘い物を好むのは当たり前だと……このホテルで滞在中は好きなだけ食べて良いそうだ。
だから食べる………。
………それにガイル、俺は遠慮しているぞ。
あそこで目を光らせている女性陣よりはマシ。」
「いや、あの女性陣と比べてどうすんだ!!!
ショウさん、こいつも女性陣も甘やかさなくていいからな?!」
「ハハッ、ガルさん、本当に今日よく喋るね。
こんなに喋るガルさん、俺、初めて見たかも。
あ、兄貴、それより、これ見てよ面白そう。
俺、この『全◯中の呼吸』ってセリフが出てくる本貰おうかな。
これ、戦闘の参考になりそう。
……あ、このポテトチップスってお菓子、美味そうだなー」
ワイワイ騒ぐガイルとガルにのんきに笑いながらも、レオンは味見と立ち読みをさせてもらったコンビニスナックと漫画にドハマりし、嬉々としてカゴを満たしていく。
そして、健全に楽しむ男たち、そんな男たちにに構うことなく、ラルクはある一点を凝視し、早くも鼻血をダラダラと流して硬直していた。
「タ、タダなら、この布の面積が少なさすぎる服を着た女性の精巧な絵が乗ってる聖典(青年誌です。)もカゴに入れていいんだよな。ショウさん!?
………18歳以下禁止?
よっし!!!!!俺18!!!!ギリギリイケる!!!!! 俺、これ一生大事にします!!」
鼻血を拭いもせず、嬉しそうに青年誌をカゴに宝物のように、そして大量に入れるラルク。
その彼の足元では、お目付け役のもふもふのフェンリルが、(マジでどうしようもねぇな、こいつ……)とでも言いそうな完全に光の消えたゴミを見るような目+チベスナ顔で見上げている
そんな様子をモニタリングして、ルナは顔を引きつらせて、笑っていた。
(いや、顔、顔、ラルクさんについてるもふもふちゃん、もふもふにあるまじき顔してんだけど?!
っていうかラルクさんって18歳なの?
もう少し年上かと思った。
ということは、あのグラビア青年誌はギリギリ合法なのか…………。
………いや、いくら合法でも、嬉々として鼻の下伸ばした上に、鼻血垂れ流しながら籠に入れてる姿、絵面ヤバすぎでしょ…………。
地球だったら、通報待ったなし……あ、ラルクさんのお姉様方気づいてるわ。
化粧品物色しながら、米神に青筋作ってる。
さっきボロボロにされたのに懲りないな………ラルクさん………。)
鼻血を垂れ流しニヤニヤしている弟と手に取る雑誌に対して、汚物をみるような目で見るサラとソラ。
その様子でルナはラルクの行先を察した。
(………終了のお知らせというやつだな、これ。南無南無。)
ラルクの身を一応案じつつも、ルナは救いようがないという風に手を合わせ、何事もなかったかのようにモニタリングを続ける。




