第六話 異世界ギャップ〜コンビニ編 part2〜(なるほど、オーナー権限そんな風に使うのか。さすがは祥ちゃん。)
「それでは皆様、こちらの商品カゴをお持ちください。これより当ホテルの『コンビニ』の利用方法を説明いたします。」
そんな祥の言葉を聞き、もふもふたちは冒険者たちに店のロゴが入ったプラスチックのカゴを配る。
全員に行き渡ったことを確認した祥は、コンビニの買い物システムを説明し始めた。
「この『コンビニ』と呼ばれる我が祖国が誇る商店ですが、このカゴの中に皆様が自由に欲しい商品を入れ、買い物をしていただきます。
そして、お支払いですが、最後にあの『レジ』と呼ばれる魔導器に部屋のカードキーをかざしていただきくことで、それだけで、現金のやり取りなしで買い物が完結出来る仕様となっております。
もちろん、現金も取り扱っておりますが、財布持ちたくない、荷物を少なくしたいという方には画期的なサービスかと。
注意していただきたいのは、後払い、ツケだということだけですが……。
今回はモニターですゆえ、私ども、この当ホテルがお支払いいたしますので、皆様お好きなだけご購入下さいませ。」
(コンビニとか、さっき調べたら分かったことだけど、飲食店はオーナー権限で俺たちの購入分はタダだしな。
俺たちにつけとけばいいだろ。)
顔に笑みを浮かべながら、祥はそう考える。
宣伝と総合的な未来を考えた上のこのサービスなのだが、祥とルナからしてみれば、懐は全く痛むことのない、効果的な宣伝と言える。
そんな祥にモニタリングしていたルナは関心し褒める。
(なるほど、オーナー権限そんな風に使うのか。さすがは祥ちゃん。)
そんなルナと祥の思惑と考えを知る由もない冒険者たちの空気は、祥の悪魔の囁きのような魅力的な宣告がコンビニ内に響いた瞬間、空気が一変した。
まず動いたのは、温泉のシャンプー、そしてパウダールームで既に美への情熱に火を灯されていた女性陣だった。
彼女たちの目が、獲物を捉えた肉食獣のようにギラリと怪しく光る。
「……ショウさん、今『お好きなだけ』って言ったわよね?」
エルダが、細い指先で旅行用のシャンプーとコスメのミニボトルをそっと掴み、美しい笑みを浮かべた。
「ええ、嘘偽りはございません。どうぞご随意に。」
祥がエルダの美しい笑みに返すように、にっこり微笑むと、女性陣の理性のタガが外れた。
全員、目当ての棚に突撃していく。
「エルマ! 遠征に持って行けるこの素晴らしい化粧水や乳液、洗髪剤全部タダよ!!
持てるだけ、許す限りいただいていくわよ!」
「はい、姉様!!」
「ねぇ、ソラ!この透明な箱に入ったイチゴのロールケーキ?ってお菓子も貰っちゃいましょ!」
「きゃー! この漫画?っていうやつ?
キュンキュンする!!これもカゴに入れちゃうね!お姉!」
スイーツ、ジュース、そしてミニコスメや漫画の棚へと、突撃していく女性陣。
やはり世界や時代は違えど、「タダ」という言葉の前では、女性たちの物欲はブラックホールのように膨れ上がるようだった。




