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第五話 地下大浴場とモフモフスパの始まりpart5〜「もしかしたら、あのエルマさんやエルダさんからも………グフフフっ」 「ラルクちゃ、もっかい、おふりょ、ボボンちゅる?」

【パウダールーム:男湯】


一方、男子側では、祥ともふもふたちがスキンケア用品を持ち、ガイルとガルを壁打ち際に追い詰めていた。


「ほら、ガイル様、ガル様も。

上がったらすぐにこの化粧水を塗ってください。

使い方が分からなければ、もふもふたちがお手伝いしますから。

レオン様とラルク様はもうもふもふたちにしてもらってますよ。」


ジリジリとにじり寄る彼らに、ガイルとガルは顔を引きつらせる。


「いや……な?ショウさん?

俺たち男が肌の手入れとかするのはおかしいと思うんだが………」


「…………!!!(コクコク)」


必死の抵抗を試みるガイルの横で、ガルの首が千切れんばかりに激しく縦に振られる。

この世界では、肌の手入れなど女性、それも貴族のような一部の限られた者しかしないのが常識なのだ。

無骨な冒険者である彼らからすれば、男が顔に何かを塗るなど、おかしい以外の何物でもない。


しかし、現代を生きる男子高生である祥にとっては、風呂上がりのスキンケアなど呼吸をするのと同じくらい当たり前の常識。

祥の目は一切笑っていなかった。


「なりません。お風呂上がりのスキンケアは男女関係なく必須です。」


「しかしだな……そんな面倒なこと……」


「ここのオーナーのようなこと、おっしゃらないでください。

面倒だとおっしゃるなら、なおさらもふもふがいたします。」


((………ここのオーナー、面倒くさがりなのか………レオンの言ってたズボラって、そういうことか………?))


「兄貴もガルさんも、いいじゃん顔の手入れくらい。

気持ちいいよー。」


一方、すでにモフモフたちに髪を乾かしてもらいながら、顔をペチペチと化粧水でパッティングされていた。

こちらはガイルたちと違い全く気にしていない様だ。

まぁ、髪を乾かすのは、こちらの世界では地球よりも面倒くさい作業である。

魔法を使えば楽にはなるが、精密な魔力操作が必要となる。

それを自分ですることなく、プロ並みの腕前の可愛らしいもふもふにしてもらえるのだ。

レオンからすれば、それと並行して肌を手入れされることなど、些細なことである。


そして、先程もふもふたちの飛び蹴りにより、湯船に沈んでいたはずのラルクはといえば、「肌が綺麗になる、そしたら女の子にモテる!!!」という極めて不純で現金な動機から、自ら進んで嬉々としてモフモフたちにスキンケアを施されていた。


「ふふふ、これで俺は益々モテモテ………。もしかしたら、あのエルマさんやエルダさんからも………グフフフっ」


「ラルクちゃ、もっかい、おふりょ、ボボンちゅる?」


「あ、いえ、すんません。」 


………すっかり躾蹴られてなによりである。

地獄はまだ待っているが。


そんなラルクに呆れつつも、未だに「男が肌の手入れなど……!」とジリジリ後退りし、何とか逃れようとするガイルとガルの2人。


そんなついに、にじり寄るモフモフたちの忍耐と集中力が切れた。


「お顔、かちゅの!!!」


「きれい、きれい、ちゅる、みゃ!!」


「!? !?」


「待てッ、さすがに、武骨な俺たちに手入れは……ぶふっ!?」


逃げ腰の2人にモフモフたちの容赦ないスキンケア攻撃が炸裂する。盾職にありがちな体型、屈強な体格のガルが、モフモフに顔面をがっちりホールドされて身動きを封じられる。

力は弱く、振りほどくのは容易い。

しかし優しい彼にはそのようなことはできない。

……か弱く可愛らしい生き物に弱いのだ。


もう一匹のモフモフも化粧水をたっぷり染み込ませたコットンを手に、ガイルの顔面へダイブ、こちらも根は優しく、可愛らしい生き物が実は好きなので身動きは取れない。


2人とも出来るのは顔を背けたり、口で説得するくらいである。


そんな2人の最後の抵抗を見た祥はにっこりと笑い、追撃する。


「ガイル様、ガル様、動くと目に入りますよ。

あ、ガル様、口を開けると化粧水が入ります。

お口は閉じて、いい加減、観念してください。」


その言葉に二人は固まり、諦めたように身体の力を抜いた。


もふもふたちの完全勝利である。


男湯のパウダールームに、もふもふたちの肉球によるパッティングの音と、ヘアオイルの肉球に出す音、ドライヤーの音が鳴り響いた、

数十分後、そこには抵抗を諦めた結果、もふもふたちのゴッドハンドによって髪をサラサラに乾かされ、お肌を限界までモチモチに仕上げられた、無骨なベテラン冒険者2人の姿があった。


「……疲れた………」


「(コクコク……)」


げっそりとしたガイルとガル。

そんな2人にレオンは笑いながら近づく。


「なぁに疲れてんの、兄貴、ガルさん。」


くふくふ笑いながら近づく弟をガイルはジロリと見つめ、口を開いた。


「………何で、お前はケロッとしてんだ。」


「俺からしたら、何で兄貴たちはあんなに嫌がってたんだって思ったけどね?

いやあ、マジ、至れり尽くせりってやつ?気持ちよかったぁ。」


「俺のイケメンフェイスが益々魅力的に!!!俺、いい男だなぁ!!!」


「ラルク、お前、この世に残す最後の言葉それでいいの?

そろそろお前の姉ちゃんたちもお風呂上がるんじゃない?

相棒のよしみとして、最後の言葉聞いといてあげようと思ってたんだけど。」


「あ。」


──────こうして、男湯のパウダールームの激闘(?)は幕を閉じた。


(「え?!俺、本当に今日、命日?!?!」


「骨は拾ってやるって言っただろ?

頑張れ。」


「「ラルク」」


「ぎゃぁぁぁぁぁぁあ!!!!姉ちゃん、許し…………」)


…………若干1名、これから本当の地獄に直行する変態がいるのだが、まぁ、それは置いておこう。)


お風呂も上がり、心身ともに綺麗になり(一人ボロボロたが………)、かつお腹が空いている10人は、いよいよ祥の案内で、お待ちかねの夕食が待つフード&コンビニエリアへと向かうのだった。


(第五話・完)

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