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第五話 地下大浴場とモフモフスパの始まりpart3〜 「はんじゃい、らっきーちゅけべ、いっちょ、ちない、ないない!!」 「いっちょ、らめーーー!!!!」

そんなレオンを見送ったラルクは、少しの間を置いた後、ニヤリと笑う。


(フフフ、フロントマンよ、この宿のセキュリティがいかに凄かろうと、この薄い壁で隔たれただけのエデン……アヴァロン………それを見たいという男のロマンだけは、防げまい……!)


「(目指せ楽園─────!!!!)」


そうラルクが黒い笑みを深め、壁を登ろうと壁に駆け寄った瞬間─────。


「みゃ!ふちんちゃ、はっけん!!」


「とちゅげきー!!!」


祥と共に男性陣の補助をしていたモフモフ二匹が音もなく駆け出しそのまま跳躍、空中で前回りをすると足を伸ばし、重力のままラルクの顔面に、吸い込まれるように向かった。


重力をも味方にした凄まじい飛び蹴りの炸裂である。


「ぶふぉぉぉっっ!?」


ドッバシャーーン!!!盛大に湯船に吹き飛ばされ、激しくお湯をぶち撒けながら湯船に落ちるラルク。


そんなラルクを見下ろし、腰に手を当てモフモフたちはフンスとばかりに息を吐く。


「はんじゃい、らっきーちゅけべ、いっちょ、ちない、ないない!!」


「いっちょ、らめーーー!!!!」


プンプンという擬音が聞こえそうなほど可愛らしい怒り方をするモフモフ。


祥の変態は容赦なく潰せという言葉と、ルナのラキスケは滾るけど、犯罪とラブコメのスパイスを一緒にすんなって話だよねー。

ラブハプニング的な事故と故意の犯罪は違うんよ。という言葉を覚えていた結果だ。


奇跡のマリアージュで出来上がった治安維持モフモフである。


「いきなり飛び蹴りするなよ!!!」


バシャっと音を立てながら湯船から起き上がり、飛び蹴りしたモフモフに吠えるラルク。

そんなモフモフと変態(ラルク)のやりとりを見た祥が、目が笑ってない冷ややかな笑みで言い放った。


「当ホテルのセキュリティは万全だと申したはずですが?

舐めないで頂きたい。

そのモフモフたちは私自ら鍛えた精鋭部隊ですので……ああ、今の音とラルクさんの雄叫び、壁伝いに向こうのソラさんたち女性陣に聞こえたようですよ?」


祥の言葉にラルクは固まる。


「………え?俺心の中で叫んだだけ………。」


「目指せ楽園とか叫んで、走っといてそれは無理があるよ、ラルク…………。」


「口にも出てたわ、この馬鹿野郎。

ウチの弟の相棒で、うちのクランのメンバーとア(・)イ(・)ツ(・)の弟がこれかよ…………。」


「…………冒険者ギルドの受付嬢とうちの嫁には見せられないな…………」


「お前のあまりにも酷い変態性のせいで、ガルが喋ったぞ………。」


「………もう相棒やめたほうがいいかな………」


あまりにも酷いラルクの惨状にレオン、ガイル、ガルは頭を抱えながら、突っ込む。


これでも新人の中ではレオンと共にダントツの実力者で、冒険者ギルドの受付嬢の中にはガチ恋している者もいるのだ。

…………世の中分からないものである。


「…………ラルク、アンタ後で覚えてなさいよ。」


「大丈夫だよ?せめて苦しくないようにいかせて上げるから。」


「ヒィィ………。」


女湯の方から、先程まで蕩けた声を上げていたはずのサラとソラの地を這うような低い声が聞こえた。


「お風呂上がりが楽しみですね」


「…タ…タスケテ……。」


祥はにっこり笑いって言い、ラルクは自身の運命を察してガタガタと震え出した。


自業自得である。



((…………というか、ガイルさんとガルさん奥さんいたんだ………。))




【サイド:女湯】


髪の毛、そしてマッサージをしながら身体も優しく洗い上げ、いよいよ先ほど感嘆した温泉の湯船へと向かう女性陣。


ザバーーッと水を贅沢に溢れさせながら体を沈め、皆ふぅ~と息を吐く。


広々とした空間は極上。

身体の芯から疲れがこぼれ落ちていく……そんな感覚に蕩けそうになる女性陣。


先ほど壁の向こうのラルク(バカ)に向かって地を這うようなどす黒い声とオーラを放っていたサラとソラも、湯船の圧倒的な心地よさを前に、そんなことは一瞬で頭の隅へ追いやられてしまう。


「うわぁ、あったか~い、お肌ツルツルになってきた!」


「本当! 身体が芯からふにゃふにゃにほぐれていくみたい!」


「気持ちよくて泳いじゃいそう!」


日頃の苦労や冒険者稼業のあれこれを、綺麗さっぱり忘れた彼女たちは、楽しそうにキャッキャとはしゃぎ、日々の冒険の疲れを洗い流してくれる至福の時を過ごしていくのだった。




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