第五話 地下大浴場とモフモフスパの始まりpart2〜「なんか絵面大丈夫か?」
「みーな、あちゃま、かちて。ごちごち、ちゅる。」
「エルマちゃ、こち、あちゃま、ちょうらい、みゃ」
トコトコと肉球の音を響かせ、頭に小さな手ぬぐいを乗せたケットシーとフェンリルの赤ちゃん(モフモフ2匹)が現れ、器用に座りながら、人間だったら膝に当たる部分をポンポンと叩いた。
「え? 何、フェンリルちゃん!!
頭洗ってくれるの?
嬉しいなぁ。
ありがとう!!」
「フフ、癒されそうですね。」
元気いっぱいのミーナが、椅子に座り、フェンリルの足へと頭を差し出し、エルマもミーナと同様に頭をケットシーへと差し出した。
実はこの2匹、主のルナが寝落ちする横で流していた動画、超高音質・熟睡ヘッドスパASMR動画をガン見していた。
あまりにも気持ち良さそうな人間に首を傾げ、同時に流れてきた犬猫マッサージに目を輝かし、お互いに見様見真似でしてみた結果。
─────ルナと祥の知らぬ内に、凄腕スパリスト兼マッサージ師となっていたのである。
趣味が高じてとんでもない技量となってしまったケットシーとフェンリル。
モフモフスパ部隊の結成の瞬間であった。
モフモフたちはミーナとエルマの髪質を鋭く見極め、それぞれ、スパ用シャンプーを選ぶと、蓋を開き頭にかけだした。
シュワシュワシュワ……。
現代日本の最新技術による「もこもこ濃密炭酸泡」がミーナとエルマの頭を包み込む。
泡が行き渡ると、絶妙な力加減で頭皮を肉球でシャカシャカ、グッグッと洗髪とマッサージをし始める。
いつかルナと祥にしてやろうと鍛錬していた腕前は相当なもので、的確に汚れを掻き出し、痒いところを攻め、ツボをゆるやかに押していく。
「あ、あ、頭の芯が、とろける……!
脳がとけそう……気持ちいいいいぃぃ」
「ミーナ?!顔、顔!!とけてる!!
見せられない顔になりかけてる!!
ヤバイよ?!」
「あぁ…、気持ちいいいいいぃぃ」
「エルマ?!しっかりしなさい、エルマ?!
とんでもない顔になってるわよ?!」
「ボク、ちゃちも、おちえて、もらっちゃ、ように、やりゅぞー。」
「「「おー。」」」
「えっちょっと待っっ………あ」
「きゃああ」
「ふぁぁぁ」
「はぁぁぁぁ」
とてつもない気持ち良さにご乱心のミーナとエルマ。
そんな2人にツッコミを入れていた、エルダとマイナだったが、そんな2人もモフモフたちのゴットハンドの餌食となる。
ツッコミを入れなかったサラとソラも同様だ。
そんな騒がしい様子を見つめる人間が一人。
(ほー………全員結構なプロポーションで。眼福眼福。
………つーか、モフモフちゃんにあんな技術があったとは………是非やってもらいたい。
………っていうか、いかがわしいことやってないけど、なんか絵面大丈夫か?
え?未成年見ちゃいけない系?
マッサージしてるだけですけども?)
同性特権だとしげしげと見つめているルナである。
ちなみにルナの魅惑の双丘もH超えなので、お前が言うなという話だし、何処のすけべ親父だという話である。
──【サイド:男湯】
一方、男湯の洗い場では、ガイルやガル、レオン、ラルクの4人が、祥から丁寧なレクチャーを受けていた。
「すごいなこのお風呂!」「このジェットバスっての、背中が最高だぞ!」と純粋にお湯を楽しむガイルたち。
そんな中、壁の向こう(女湯)から聞こえてくる「ひゃんっ」とか「ふわぁぁ」とかいう、いつもは聞かない女性陣の声に、ガイルたちはピシリと固まり、顔を真っ赤にさせた。
「な、な、向こうで何やってんだ?!?!」
「まっちゃーじ。」
「もみもみ、ちゅる。」
顔を真っ赤にして叫ぶガイル。
そんなガイルに側にいたフェンリルとケットシーが答える。
(マッサージ?いつの間にそんな技術会得してたんだ?コイツら)
唯一顔を赤くしてなかった祥が内心そう思い、首を傾げる。
この男、ルナ以外の女性にはどんな事があっても、それこそ裸を見ても赤面しないのである。
紳士的に対応するだけだ。
興味も欠片もない。
………まぁ、ルナ相手だったら、項が見えただけでも赤面するが。
そんな祥の横を一匹のトテトテと通り過ぎ、シャンプーを手に取った。
「ボクちゃちも、できりゅみゃ。
あにょこちゃち、ほどりゃ、にゃいけろ。」
「やりゅ?」
「「「遠慮させていただきます。」」」
「何が悲しくて、男の声聞かなきゃいけねぇんだ!!!
せっかくのエデン邪魔すんな!!!!」
「ラルク、お前本当に死にたいの????」
目を血走らせて、鼻血を出していたラルクが吠える。
そんなラルクにレオンはマジかコイツという目で見た。
「なんとでも言え、レオン!!
男にはなぁ、自分の欲望に忠実にならなきゃいけないときがある!!!
今がその時だ!!!
美しい女性たちの艶声を今聞かずにいつ聞く!!!!」
「お前、本当に突き抜けてるよね。
俺、知らないからね???」
ラルクの言葉につける薬無しという顔をして、ラルクから離れ、レオンは髪と身体を洗いにシャワーへと向かった。




