第四話 10人の冒険者とホテルオープン!part11〜(………こういうパターンって小説だったら、なんか勘違いされてるよね??? え?これ大丈夫か?????)
「わぁ……、本当にお姫様みたいに部屋だねぇ、もしかして、ここって、お貴族様とかが使う部屋?」
驚いているガイルの横から、ひょいとレオンが顔を出し、祥に聞く。
「ええ、とりあえずは。」
「とりあえず?
どういうことだ?」
読めない笑みを浮かべた、祥が頷く。
しかし、その後に続けられた言葉にガイルは怪訝な顔をした。
他の冒険者たちも怪訝な顔や不思議そうな顔をしている。
「我がオーナーは、このホテルを一般向けの物と考えております。
この部屋こそ城並みの贅沢に見えますが、何分我々の故郷では、ごくごく普通の一般的な家庭の方々が少しの贅沢で泊まるものだったのですよ。
ですので、しばらくはこの部屋は貴族の方に泊まっていただきますが、追々は新人冒険者の希望の物としたいのです。
ホテルの名前のように。」
「「「「…………っ!?!?!」」」」
祥が何でもないことのように微笑みながら放ったその言葉は、ほーっと感心したように祥を見るレオンを除いた九人の脳天を、それこそ金槌で叩き割るほどの強烈な衝撃だった。
お金があまりない平民の新人冒険者すら、王宮を遥かに凌駕する、こんな素晴らしい部屋に泊まれる国。
そんな想像を絶するほどの豊かな国からやってきたのが、この神藤祥という男。──そして、その男がフロントマンとして恭しく仕える、このホテルの最高権力者であるオーナー。
(……なるほど、そういうことか。
宿に驚くあまり見落としていたな………。)
ガイルたちの目が感嘆と警戒染まる。
常識的に考えて、これほどの国家規模を超える財力と未知の技術を統括している黒幕が、ただの人間であるはずがない。
間違いなく、祥以上の圧倒的なカリスマと豪腕を誇る、底知れない大商人、それも国王すら頭が上がらないであろう傑物が奥に控えているのだと、レオンを除いた男性陣は確信していた。
それは女性陣にとっても、全く同じ──否、別の意味で凄まじい衝撃だった。
(……!!!!ちょっと待って……!?
見落としていたわ……!
彼は自分の事をフロントマン………従業員と言っていたわね………!
こんな皇太子と見紛うほどの極上の男がオーナーではない………?
ということは、彼を凌駕する人物がいる!!!
それってつまり!!!!!)
女性陣の頭の中に一斉に雷が落ちた。
(このホテルには……もう一人、超優良物件な良い男が、いるってことじゃないの!!!)
奥にいるオーナーがもしも男であり、そして正妻がいないのであるならば、彼を落とせば間違いなく正妻になれる。
目の前の祥を落とせなくても、彼よりも権力があるもう一人の良い男が控えているのだ。
彼を落とせば、この部屋のような一生、大国の王妃様以上の暮らしができる。
しかもこれよりも素晴らしい宿が控えているというではないか。
目の前の祥は見目も中身も良い男。
しかし控えている男はこの世界中、何処を探しても御目にかかれない大商人。
しかも正妻枠が空いている。
肉食女子たちの目が光った。
相手にとってどちらも不足なし。
絶対にどちらかの妻の枠に入ってやる。
ギラギラした女性陣の執念の炎が、限界突破で大炎上していくのだった。
───一方その頃。
(………?あれ、何か冒険者のお姉さま方、目が輝いてね?
何だか嫌な予感がするんだが?
なんかオーナーって言葉で空気変わったよね。
………こういうパターンって小説だったら、なんか勘違いされてるよね???
え?これ大丈夫か?????)
ベットに寝転がりながら、冒険者たちの様子をウォッチングしていたルナだが、オタクの勘が働きまくり、戦慄していた。
…………女性冒険者陣には残念なお知らせだが、出てくるのはハーレム物に有りがちな、勘違いスローライフ主人公の男、などでなくただのお風呂大好き、ズボラお布団お化けである。
そんな部屋の外のすれ違いというか誤解というか、勘違いものの宿命というか、はたから見たら愉快な惨状を置き去りにしたまま、祥 とモフモフたちの優雅なエスコートに導かれ、一同はさらにそのフロアの、一番奥まったひときわ重厚な扉の前へとやってきた。
そこで祥がすっと立ち止まり、穏やかに、しかし何処か信念を感じる圧を纏って一礼した。
「──さて、皆様。館内のご案内は以上となりますが、最後に一つ、当ホテルの最重要ルールを説明させていただきます。
こちらの扉からその先は──ホテルのオーナーのプライベートルームとなっております。
どのようなお客様であっても、この部屋への立ち入りは許されておりません。
許可なく立ち入った場合、それ相応のペナルティがございます。
そして、もしも、故意に破った場合、このホテルを永久に出禁とさせていただいております。」
「立ち入り禁止……?ああ、なるほどそういうこと。」
不思議そうなしかし、すぐ納得したような顔をしたレオン。
「俺のレーダーがビンビン鳴ってるんだが……」
何かがレーダーに引っかかったような顔をしたラルク
「「……………」」
その2人を無視して、ガイルとガルの目が鋭くなる。




