第四話 10人の冒険者とホテルオープン!part8〜「神に誓ってないと断言させていただきます。」 「「「「!!!!!」」」」
「……ねぇショウさん?
防犯セキュリティってどんな事が出来るのかしら?」
サラがモフモフに手を引かれながら、血の涙を流している、ラルクに一瞬目をやり、質問した。
質問の意図が丸わかりだが、これから説明しようと思っていたことなので、あえて触れずに、笑みを浮かべたまま祥は口を開いた。
「ご質問ありがとうございます。サラ様。
当『ファーストキャリア雪月花』が誇る防犯セキュリティシステムについて説明させていただきます。
アウステル国の基準から見れば、未知の防御壁のように感じられるかと思われますが、どうぞご安心ください。
お客様の心身を害するものでは御座いません。
皆様に危害を加えるなどということは、神に誓ってないと断言させていただきます。」
「「「「!!!!!」」」」
祥の言葉に息をのむ冒険者の面々。
神に誓うという言葉に全員驚愕しているのだ。
アウステル国及びこの世界において、神に誓うという言葉は死よりも重い。
神殿があって、毎年のように神より神託を賜わるのが当たり前。
7つより下の子どもは神殿に近寄れば、好々爺としか言いようがない神様が遊んでくれる(ここにいる冒険者一同全員、7つまでは神に遊んでもらっていた、今思えば恐れ多いことである。)、神と密接関わる、そんな世界なのだ。
その世界で神に誓うということは、自分のすべて、今世も来世もその先の天運、自分の魂すべてをかけて誓うというとてつもない覚悟なのである。
そんな狂ったとしか思えない誓いに、冒険者たちは二の句が告げられない。
ただ、分かった事はこのホテルや従業員に自分たちが損なわれる、そのような事が天地がひっくり返ってもないということだ。
「勿論、お客様とも思えない方は別ですが…………皆様は大丈夫でしょう」
祥がさらりと口にしたその一言に、サラたち女性冒険者たちの脳裏で、先ほどの『それに、当ホテルの防犯セキュリティは万全。
どんなトラブルがあろうと、女性のお客様が心身を損なうような物騒な事態になることも、絶対にございませんよ。』という言葉が浮かび、結びついた。
危害を加えないのは、あくまでルールを守る『お客様』に対してだけ。
もし一線を越えてオーナーやホテルの風紀を脅かせば……あの笑顔のまま、神に誓った覚悟で不審者や不届き者を徹底的に排除する。
あらかじめ、自分たちに笑顔で断言していたのは、甘い綺麗事ではなく、ホテル側が『敵』とみなした瞬間に、その美しい微笑みで
冷徹に徹底的に叩き潰すという、絶対的な自信の裏返しだったのだ。
女性陣は、そのあまりにも合理的で冷徹な防衛システムの凄まじさに、恐ろしさを通り越して、全幅の信頼を寄せ、益々異性としての魅力を感じた。
そんな彼女たちの納得と熱い視線を前に、祥は手元の魔力端末タブレットを優雅に操作しながら、穏やかな笑みを浮かべたまま防犯セキュリティの説明の続きを始めた。
『そして、この防犯セキュリティですが、すべて手元のこの板……タブレット端末というもので一元管理しております。
具体的な機能としては、大きく分けて3つございます。
まず1つ目は、【一階カプセルホテルにおける男女フロアの完全隔離システム】です。
お客様にはチェックインの際、こちらの薄い板……『カードキー』をお渡しいたします。
このカードは、ご利用いただく、ご自身の客室および共有スペース以外の扉を一切開かないよう、個別に魔力設定されております。
カードキー以外では何人たりとも通る事は許されません。
つまり、女性専用フロアのカードを持たない男性のお客様は、物理的な力はもちろん、空間転移や透過といったいかなる高等魔法を用いても、廊下の隔壁を1ミリたりとも突破することは不可能です。
夜中に不審者(※ラルクをチラリと見る)がいたとしても、文字通り鉄の壁に阻まれて終了となりますので、女性のお客様も夜は安全お休みいただけます。
2つ目は、【客室個室の『絶対聖域化』】です。
2階のビジネスフロア、および3階のデラックスフロアの客室は、すべて内側から強固な電子ロックがかかる仕組みになっております。
外側からは、適合するカードキー、あるいは私ども管理者が持つマスターキー以外では、いかなる手段を使っても絶対に開きません。他の宿にありがちな申し訳程度のかんぬきとは違います。
一度部屋に入って鍵を閉めてしまえば、そこは誰にも侵されない、お客様のためだけの完全に安全なプライベート空間となります。
そして最後、3つ目は【二十四時間体制の常時監視と、モフモフ警備員の即時派遣】です。館内の通路や共有スペースは、すべて私の手元のモニターでリアルタイムに監視されております。
万が一、不審な動きやルール違反……例えば、禁止されている『オーナーの部屋』への接近などを検知した場合は、即座にアラートが鳴り響きます。
その際は、先ほどのように、私が仕込んだ精鋭の従業員を秒速で現地へ派遣し、排除させていただきます。
そして、ブラックリスト入りさせていただき2度とホテルはご利用いただけません。
なので、お気をつけくださいますようお願い致します。」
「そうね、気をつけさせるわ。
せっかく信頼してくれてるんだもの。
ここまで素晴らしい防犯セキュリティだから、大丈夫だと思うけど………その前に汚物(弟)は消毒するから、安心してね?
みんな♡ 」
「ナチュラルに汚物扱い。
ソラ姉ちゃん酷い、俺女の子には紳士だぞ。」
汚物扱いがブレないラルクは、姉たちの冷たい目を浴びながらも、どこか遠くを見つめたが、紳士発言に嘘をつけという目で、レオンを除けた全員から見られる。
もちろん、女性陣をエスコート中のモフモフたちや、エルマの豊満な胸にムギュッと抱きしめられているケットシーからすらも、冷ややかな視線を向けられていた。




