第四話 10人の冒険者とホテルオープン!part7〜喋れば喋るほどのいい男と黙ってればギルド1の色男
祥は、非の打ち所がない美しい微笑みのまま、彼女たちの生生しい熱視線をさらりと受け流した。
「お気になさらないでください。
今回は皆様にこの宿の居心地を評価していただく『モニター任務』、つまり立派なお仕事です。
後から不当な金銭を要求するようなことは、当ホテルの信用に関わりますので誓ってございませんし、金銭がないからとはいえ、皆様のような美しいお客様に『身体で払う』なんて下衆な事は、絶対に致しません。
……それに、当ホテルの防犯セキュリティは万全。
どんなトラブルがあろうと、女性のお客様が心身を損なうような物騒な事態になることも、絶対にございませんよ。
どうぞ、王女様になったつもりで、遠慮なくお布団を独り占めしてくださいね」
そう言うと非の打ち所のない、ビジネススマイルを、優しげな笑みに変えた。
「支配人さん……っ♡」
その完璧すぎるジェントル対応に、ミーナとマイナの瞳に一瞬でハートマークが浮かばせる。
サラやソラ、エルダとエルマは残念そうな表情を顔に浮かべるが、色に溺れないその完璧でスマートな躱し方に燃え上がっていたやる気がさらに燃え上がり、『やっぱり欲しい!!絶対に手に入れてやる!!』と決意した。
だって、この男、喋れば喋るほど良い男なのだ。
こちらが誘っているのだから、適当につまみ食いだって出来るはずだし、自慢ではないが、自分たちの容姿が評価されていることも自覚している。
なのにそれを断ったのだ。
しかもスマートに。
見目やスペックに引き続き、中身もいいとなれば、欲しくない女などいないだろう。
そんなギラギラというどころか、祥を燃え上がらせるのではないかというほどの熱量だった瞳をさらにメラメラと燃やす女性陣の後ろで、男たちは顔を驚愕に染め上げていた。
「…………マジか、あのエルダさんとエルマさんの誘いを断ったぞ、あの男……?!」
ガイルが愕然とした顔で言った。
エルダとエルマはアウステル国において、一等美しいと持て囃され、傾国の美女とまで言われた王女に次ぐ美貌の持ち主だ。
平民ということもあり、手が届きやすいとある意味王女よりも人気だったりする。
その彼女たちの誘いを断ったのだ。
妹分のミーナとマイナだって、同世代の中ではファンクラブが出来ている美少女だ。
彼女たちが冒険者になる時は、変な虫がつかないようにと大変な思いをしたし、珍しくレオンも真顔で対応していた。
それに身内贔屓かもしれないが、共に戦うクランのサラとソラだって、ギルド屈指の美女として有名である。
………認めたくないが、その弟のラルクだって黙ってれば、ギルド一の美丈夫なのだ。
黙ってさえいれば!!!
愕然とする男性陣を後目に、エルダが仕掛ける。
「………本当に良い男ね。
貴方、王女様のようになんて言うけど、じゃあ、私たちをエスコートしていただけるのかしら?」
そうエルダが挑発的で蠱惑な笑みを浮かべ、祥に手を伸ばした。
他の女性陣も祥へと近づく。
先程スマートに断られた女性陣だがアウステル国の女性冒険者は強かなのだ。
この極上の男を手に入れるためにまたも仕掛けようと行動した。
しかし、祥がその程度の誘惑の罠に引っかかるはずもない。
「ええ。
と言っても、私の手は2本しか御座いませんので、手を引くのは我がホテルの優秀なホテルマンになりますが─────。」
祥がそう言った途端、わらわらよちよちとケットシーやフェンリルの赤ちゃん従業員がやって来た
口々に(おきゅくちゃま、えちゅこーとちゅる!!)と言って、モフモフの手で彼女たちの手を掴んだ。
「〜〜〜〜〜っっっ!!可愛すぎる……っ!」
「ちょっと、これじゃあショウ様の手が狙えないじゃない……っ!」
そうは言いつつも、女性陣は悶絶し、エルマなど、その愛くるしさに辛抱たまらず従業員を抱き上げ、ムギューーーーっとその豊満な胸へと抱き寄せている。
みゃーっと間抜けな愛らしい鳴き声をあげるケットシー。
そんなケットシーに皆頬を緩め、空気が軽くなった。
─────若干一名、男性陣の中で血の涙を流さんばかりにそれを凝視しているのが気になるが。
…………言わずもがな、縄を解いて最速でカプセルベッドを陣取っていた、あのギルドで一番(※黙ってさえいれば)の美丈夫・ラルクである。
「…………ラルク顔、顔。」
「───あのモフモフ許すまじ!!!!
エルマさんの魅惑の双丘に何ということを!!!」
「ラルク、後のシバキが本当にヤバい事になるから、やめなって。
しっかし、ショウさん、本当スマートだなぁ。」
「あの野郎……。
ギルドの美人どころにモテやがって………しかも、極上の美女まで隠し持ってやがる………!!!
許さん!!!!!!!!!!」
「お前の女性限定のアンテナ何なの??」




