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第四話 10人の冒険者とホテルオープン!part6〜彼の心には鈍感スボラお布団お化けの居座るスペースしか存在しない

(──────ふーん………流石、強者が集まるって言われてる、アウステル国冒険者ギルド………その中でギルド長が推しているクランなだけあるな。)


レオンの推察や男性陣の警戒、女性陣のさりげないアプローチを気にすることなく、朗らかにもてなし、チェックインをしながら、祥は自身のスキル【ログイン】を発動させていた。


表では冒険者たちの相手をしつつ、思考は彼らのスキルへと流れる。


(精霊魔術師に、剣や大剣使い、弓師に回復術師……ヒーラーってやつか。


……ん、レオンってやつは魔法感知能力が凄まじいな。

本人は勘だと思ってるみたいだけど。

使えるな。これ。


まぁ、全員、優秀な冒険者だし【コピー】と。)


秒速で十人全員の最強スキルを完全コピーし終えた祥、説明も終え、何事もなかったかのように美しい一礼を施した。


「チェックインが完了致しました。

お待たせして申し訳御座いません。

では、まずは一階の【エコノミーフロア(カプセルホテル)】からご案内させていただきます。」


ガチャリと重厚な扉が開かれ、冒険者たちは目を見開く。


「こちらのフロアは男女完全隔離のセキュリティを導入しておりますので、女性のお客様がお一人でお泊りしていただけるようになっております」


説明する祥だったが、目の前に現れた空間に目が釘付けとなった、冒険者たちは言葉を失っている。


「……な、何だこの部屋は……!?」


やっと言葉を発したガイル。

そこは、宇宙船の内部を思わせる、近未来的な白いカプセルベッドが整然と滑らかに並ぶ異空間。

魔力も魔法陣の気配もないのに、頭上の白い板(LED照明)からは太陽のごとき清涼な光が降り注いでいた。


唖然として動けない、冒険者たち。

そんな中、レオンがひょこひょことカプセルの中に這い入り、フカフカの敷布団の上に寝転がり、足をパタパタさせて遊び始める。


「おー、狭いけど秘密基地みたいで落ち着く〜。

布団も気持ちー。

王様でも中々寝られないよーこんなの。

みんなも入ってみなよ。」


「お前、また………!!!」


ガイルが弟の無防備さに頭を抱えかけた、その時だった。


「うっわ!!立てるぞこれ!!

それに、なんだこの薄い天幕は!!

こんなに薄いのに、周りの音が聞こえなくなる!!

こんな快適な宿初めてだ!!」


「ラルク?!お前いつの間に縄解いたんだ?!?!」


ガイルが目玉が飛び出さんばかりに声を荒らげる。

ロビーの隅でモフモフたちに縛り上げられていたはずのラルクが、いつの間にか自力で縄を解き、ちゃっかりレオンの隣のカプセルを陣取って大はしゃぎしていたのだ。

これには、さっきまでお淑やかな猫を被っていたはずの姉のサラとソラも「……は?」とドスの聞いた声を出し、一瞬で般若の表情に戻る。


そんな姉の様子に、ヤベっという顔をして、固まるラルクだが、レオンがそれとなく庇うように口を開いた。


「ねー、サラさん、ソラさん早くー。

これも調査対象でしょ?

ラルクは後でシバけばいいからさ。」


………いや、庇っていないかも知れない。

ラルクはそれを聞いて、一瞬喜んだが、最後は絶望した顔をしている。


レオンの言葉に一理あると思ったのか、サラたちは渋々といった風にカプセル内の布団に手を触れた。


「……!!!こ、これ……っ!?」


促されるまま、その布団に触れたサラたちは至福の感触に、顔を驚きに染める。


「な、何この柔らかさ……!

雲を触っているみたい……!

アウステル国最高級の王宮の寝具でも、こんなに滑らかじゃないわよ……!?」


精霊魔法の使い手として最上級であるが故に、王宮で宿泊したことのあるエルダとエルマ。

そんな彼女たちでさえ、現代日本のフカフカのベッドは凶器に等しかった。


寝具など、藁にシーツをかけたものが一般的で、一番寝心地が良いベッド。

後は木に申し訳程度の布を敷いた物、そんな寝具しか経験のない、サラやソラ、ミーナとマイナはその感触に天上の物を触っているのではないかとそんな錯覚を起こしている。


「ねぇ、支配人さん、こんな快適な物私たちみたいな平民が使っていいの?」


ベッドに触れながら、ミーナがポツリと呟く。


「そうだよね、こんな王女様みたいな………。

しかも、女の子と男の人別なんでしょう?

ものすごく安全だよね。

モニターって言っても、本当に泊まって大丈夫なの?

後でお金なんて言われても無理だよ?

私たちこんなすごい部屋借りるお金なんてないもん………」


続いてマイナもすっとベッドから手を離し、不安そうに言った。

出来れば泊まりたい、だがこんな王族すら泊まれないだろう、宿に泊まって、もし請求でもされたら…………。


上手い話は裏がある。

冒険者ギルドは信用しているが、それはそれ。

自分で警戒し、対処できなければ、冒険者は名乗れない。


「………そうね。

確かにそんな話はゴロゴロあるわ。

若い女の子冒険者を、格安宿って売り文句で嵌めて、その後………ね?


でも、心配いらないんじゃないかしら?

ねぇ、ソラ?」 


「そうだよね、お姉?

そうなったら、まぁ身体で払うのが一番って事になるけど、払う相手が相手だもん、むしろラッキーだったりして?フフ♡

エルダさんもエルマさんもそう思いません?」


「ええ。思うわよ。

むしろこんなに良い思いをさせていただくんだもの、お支払いしたいくらいだわ。

ねぇ、エルマ?」


「はい、姉様。

いくらモニターとはいえ、ショウ様からのご招待に対する対価には、私たち六人のご奉仕がちょうどいいかと………。」


「「………!!!!」」


不安そうな、ミーナとマイナだったが、年上のお姉さんたちの言葉に顔を真っ赤にして、祥を見る。

何処か期待しているミーナとマイナの視線と意味ありげなサラとソラ、エルダとエルマの視線。

それを受け止めた祥は、困ったように、しかしこれ以上ないほど、爽やかな笑みを浮かべる。


あからさまなお誘いだが、地球時代、高校生の身でありながら、若きエリート秘書として、大人たちが開く魑魅魍魎の夜の社交界を渡り歩き、年上のお姉様方からの数々のお誘いを鉄壁の笑顔でさらりとかわし続けてきた祥(他の兄弟も同様※犯罪です)である。


女性陣からのこの手のお色気交じりの駆け引きをかわすなど、彼にとっては呼吸をするよりも容易いことだった。


本人の心には、最初から、あの鈍感スボラお布団お化けの居座るスペースしか存在しないのだから。



ご覧いただきありがとうございます。

これからもストックが続く限り投稿させていただきます。

よろしくお願いします。



追記


ブクマをくださった皆様ありがとうございます。

とても励みになります。

お読みいただきありがとうございます。


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