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第四話 10人の冒険者とホテルオープン!part5〜「んー??もしかして狩りの最中????」

そんな女子たちの一見華やかに見える笑顔と相反する肉食獣の気配とは裏腹に、ガイルとガルの空気はガチギチに張り詰めていた。


(……クソっ、何だこの男は……!!)


ガイルは背中に冷や汗が流れるのを止められなかった。

副官のガルも、大盾を構えたまま指一本動かせない。

彼らは宿に敵意がないことはもう分かっていた。

女性陣と同じ結論、罠ではないという結論に至っていたし、純粋に楽しみ、体験してギルドに報告するのが、自分たちの使命だということも理解している。

目の前のフロントマンの技量に引っかかりを覚えるが、女性陣たちも目の前にいるフロントマンの技量は分かっている。

しかし危険性はないと、そう結論付けたから、女としての狩りを始めようとしていることもガイルたちは察していた。

彼女たちは優秀なのだ。

自分たちも同じ結論だが、しかし男同士だからこそ気が抜けない。


性差別ではなく、注目するところが違うのだ。


この男は衣服に魔力をいっさいつけていない。

そのくらい、新人冒険者でも見抜ける。

つまり、バフも何もないままでこのオーラなのだ。

武術は習っていても、戦闘職ですらない人間がこのオーラを纏っている。

その異常性が同じ男として警鐘を鳴らすのだ。


(武器を持たぬ構え、戦闘に慣れていないにもこれほどの圧………!

今、戦えばおそらく我らが勝つだろうが………いや、違う、この男は戦いの中で成長するタイプだ。

もしも、隠しスキルがあれば、我らの足止めは容易くなる。

その戦闘中に成長されれば、間違いなく、こちらが負ける。

俺たちは間違いなく首を飛ばされるだろう………。)


男性陣は、祥の潜在的なオーラに武人としての本能的な恐怖と戦慄で身体を硬直させていた。


有り体に言えば女性陣は強さを『魅力』として歓迎し、男性陣は強さを『脅威』として警戒していたのだ。


レオンとラルク(「姉ちゃん達、猫被りすぎだろ!!!このゴリっ」と言った瞬間に、凄まじい速さで粛清されていた。)以外の全員が、それぞれの理由で脳内を大混乱させていたが、それに構う事なく、祥は口を開いた。


「皆様、長旅でお疲れでしょう。

まずはロビーのソファーでおくつろぎくださいませ。

その間に館内の説明、そしてその後、館内のご案内をさせていただきますね。」


祥が優雅に招いた先には、純白の肉厚な革で作られたラウンジソファーが配置されている。


その王族すら御目にかかれるか分からない、

美しい椅子に再び全員が感嘆の息を漏らし、女性陣は絶対に手に入れるという気持ちが強くなった。


「ふわぁ……。これ、マジで天国空間じゃん……」 


一番最初に動き、その白い椅子に座ったのはレオンだった。

ソファーにドサリと腰を下ろすと、身体が深く沈み込む圧倒的なクッション性に「はぁ…極楽、極楽……」と完全に骨抜きである。


そんな極上の座り心地に身を委ねながら、レオンはのんきに周囲を観察していた。


(あはは、女性陣のさっきからの見事な猫被りっぷり。面白いなぁ……。

さっきの一瞬で髪を整えて、身なりを整えたあのスピードもマジで戦場並みに素早かったよなぁ。


何か、あのコンビニ?っていう商店とかラア麺?ソバ?ってお店も凄いなぁ、あのお店の前のガラスの中にあるのがソバとか、ラア麺なのかな?

見たことない食べ物だけど美味しそう。

あんな綺麗なガラス初めて見たなぁ。

あの中って時間停止機能でも付いてるの?

あのままだったら腐っちゃうよね………。

ん?何かニャンコが持ってきた。


…………冷た!!!え、こんな冷たい飲み物が売ってるの?

それにこの冷たい食べ物は何?……え?!これ、アイスクリームじゃない?!

王族すらとても食べられないっていうやつ!!

すごい技術………。


………大丈夫かな、この男の人、ショウさん?だっけ?

こんな物見せられたら、ほら、女性陣の目が狩りをする肉食獣通り越して、ヤバい事になってるよ?)


ケットシーがコンビニから購入した、アイスクリームを、サービスとして渡すと、全員から感嘆と驚愕のため息が漏れる。

受け取ったアイスクリームを見て、女性陣の目がギラギラどころか、祥を焼き尽くすんじゃないかというくらい目を光らせる横で、レオンの眠そうな視線が祥へと向けられた。

レオンの瞳に祥の姿が映る。


今まで、ラルクや女性陣に気を取られ、きちんと見ていなかった彼を、改めてきちんと瞳に収めたその瞬間、レオンの脳内で、あの手紙の『魔力の残り香』が完全に繋がった。


(…………あー。あの手紙に染み付いてた、生真面目な上級商人の気配と、あの強烈な『恋の匂い』はやっぱりこのショウさんのものだったんだぁ。

同じ感じするもん。


ん〜。……わざわざ最初に『オーナー接近禁止』なんてルールを作るってことは、もう一人、奥に隠れてる『死ぬほどズボラな人間』がショウさんが他の男を一切近づけたくないほど大切な守りたい女の子、その子がオーナーってことだよなぁ。


…………んーウチの女性陣と先輩クランの女性陣たち大丈夫かなぁ。

何か出る幕ないそう。

愛人とかもいらなさそうだよね、この人。

こんなに愛されるなんて女冥利に尽きるでしょー。

でも、いくら眼中になくても、正妻の立場からしたら、この女性陣は嫌だよね、ってあれ?

んー??もしかして狩りの最中????

そんな感じがするんだけど……?

まさかねぇ、こんな男から見ても極上の男の人がねぇ???

俺の勘、やっぱり当てにならないのかなぁ?)


レオンがのんきに苦笑いを浮かべている横で、女性陣が凄まじい闘気を宿している………。

とんでもない温度差である。




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