第十八話 遭遇フラグ回収part4〜(……………いや、本当それな?!)
Side ルナ
ラルクさんと目があった私は慌てて、もう一枚のシーツを目深に被る。
────ヤバいヤバい!!!
今までの人生、男(愛妻家、心の底から愛してる相手がいる男は除く)と目が合って、良いことがあった試しがない!!!
しかもラルクさんは、ミスター揺りかごから墓場までを豪語する、生粋の兵!
そんな兵とエンカウントとかなんちゅー、フラグ立ててくれてんだ、ナレーター!!!!
なんて、頭の中でナレーターにクレームをつけながら、目深に被ったシーツの隙間からチラリとラルクさんを伺うと、ラルクさんは真顔で私をガン見している。
………いや、怖いわ!!
というか、祥ちゃんは…………。
あ、うん、見せられない顔してんね。
この変態、何かやりやがったら、殺すって顔してんな…………まぁ祥ちゃんだから、殺しはしないけど、それくらいキレてるって感じ…………。
うーん、これ、私より、ラルクさんの身の安全の確保が先だわ。
多分、ラルクさんがここに運ばれたのって、発端は駄女神、それを先にナレーターが立てたフラグで、一番マシなルートに落とし込んだって感じだろうし、おじいちゃん神様の口ぶり的に。
つまり、駄女神の狙いは私たちと冒険者一同のトラブル。
ここで、ラルクさんを必要以上傷つけたら、駄女神の思い通りだろうし。
祥ちゃんもわかってるだろうけど、地球の時みたいなバスターゴリラぷり、発揮して、いちゃもんつけられてもな…………。
いや、ガイルさんたちは、状況でちゃんと判断してくれるだろうけど、国とか冒険者ギルドがなぁ…………。
良い国で賢王、良い王族って言われてても、その国の国民じゃない私たちが、庇護を受けれるとは限らない。
だから庇護を受けれるように立ち回らなくちゃいけない。
それに冒険者とのパイプだってほしい。
祥ちゃんだってそう考えて、ガイルさんを見てたんだろうけど、女性陣や愛妻家の2人は、私の変態ホイホイの流れ上、八割の確率で大丈夫。
地道に信頼を積んでいって、私を紹介してくれるつもりだったんだと思う。
それでも、ラルクさんには紹介するつもりはなかったんだろう。
────なのに、ナレーター(あのクソが!!って声とおじいちゃん神様の口ぶり的に、私たちをおじいちゃん神様と守ってるのは、ナレーターなんだろう。感謝の気持ちはあるけど、この状況はないでしょうが?!)と駄女神のせいで!!
そんな恨み節を心のなかで毒吐きつつも、私をガン見するラルクさんから、目が離せないし、祥ちゃんもジリジリと下がり、ラルクさんがどういう行動をとってもいいように、立ち位置を調整している。
そのまま二人でラルクさんを警戒していると、スッとラルクさんが一歩踏み出した。
祥ちゃんがいつでも飛びかかれるように腰を落とし、私は知らず知らず身体を強張らせた。
それを見て私を真顔で、見ていたラルクさんの眉がピクリと動き、私の1メートル前で立ち止まる。
ジッと私を観察するように見つめていたラルクさんだったが、ふと私から視線を外し、祥ちゃんをチラリと見た後、今度は私と祥ちゃんを一緒に見つめた。
しばし私たちを見つめ、いい加減焦れったくなって来たその時────
ラルクさんがスッとその場で跪いた。
「「え?」」
突然のラルクさんの行動に私と祥ちゃんの口から、驚愕の声がこぼれ落ちる。
そして─────
ガチャ、バン!!
「ラルク!!!!!」
驚きで声を漏らした後動けない私に、跪いたラルクさんが、まるで貴公子のような笑みを浮かべた瞬間、冒険者一同が扉を明け放ち、ラルクさんの名前を呼ぶ、ガイルさんの声が私の部屋に響く。
息を切らした冒険者一同が部屋になだれ込んだ、その時。
「失礼いたしました、レディ。
レディの寝室に無断で立ち入るなどという無礼、いくら故意でなくとも許されるものではないでしょう。
御心を乱してしまいまして、誠に申し訳ございません。」
まるで人が変わったようなラルクさん美声が私の部屋に響き、この部屋の空気が固まる。
私や祥ちゃんを始め、冒険者一同もポカンと目と口を見開き、硬直してしまった。
…………えーっと…………?
「…………誰だ?」
絞り出したような呆然としたガイルさんの言葉が、部屋に響く。
……………いや、本当それな?!




