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第十七話 二日酔いとしじみ汁

Side 第三者視点


大したトラブルもなく────いや、ルナの予想通り、案の定というか、美味しいもの同盟のシロとガルが再び、コンビニへと突撃するという、ドン引き案件は起きていたが。


昨夜に引き続き、コンビニのホットスナック&甘味を爆買いし、在庫切れを起こした上に、ロボ太にコンビニキッチンでホットスナックを追加で揚げさせるという案件を再び起こした。


………まぁ、揚げる前のホットスナックよストックは、自動で無限に補充されるので、他の冒険者一同に迷惑は掛けないし、シロもガルもそれを分かっているから(シロは従業員だから、ガルはシロから教えられたから知っているのである。)、爆食しているのだが。


一応、フォローさせていただくと、ガルは元来、無口だが、クセは強いが、常識人で空気も読め、気が使えて良識ある男なので、他の客に迷惑になる買い方はしないし、おそらく本オープン後に、このホットスナックの買い方はしないだろう。

自分が買い尽くせば、買えない人間が出てくるのだから。

それくらいのことを、きちんと考える良識はある。

そもそも、この深夜の爆食も皆さん、ご存知の通り、シロが唆しているものだし、ガル一人なら、こんなロボ太に負担のかかり、人に迷惑をかけかねない、やり方はしない。


…………まぁ、あらかじめ、この数を買いに行くと予約をして、爆食はするかもしれないが。


なのでガルのことを嫌わないでいただきたいし、シロに関しては、そもそも従業員で福利厚生として、どん引かれつつも許容されている上に、もふもふは正義なので、無罪放免、ご容赦をいただきたい。



さて、そんな食いしん坊どもの暴走はさておいて。


夜が明け、太陽が昇った朝食のバイキング会場。

そこには、昨夜の賑やかさが嘘のような、重い雰囲気が漂っていた。


「……………皆様、大丈夫ですか?」


バイキング会場に集まった冒険者一同を視界に入れた瞬間、祥は苦笑いを浮かべて言った。


祥の自然の先の冒険者一同はというと。


「………………。」


「レオンちゃ、あたま、たいたい??

らいじょうぶ?」


無言で突伏し、顔すら上げられないレオンとそれを心配して、慌てる五郎。


「……あ、頭が割れるぅぅぅぅ……。」


「いくりゃ、ミケちゃとごろうちゃの、おちゃけ、おいちいかりゃっちぇ、のみすぎ。」


頭を抱え呻きながら悶えるラルクと、呆れたように優しく、背中を擦る太郎。


この二人は特に重症者だが、サラやソラなどの女性陣も、いつもより顔色が悪く、お付きのもふもふたちから心配されながら、バイキングの列に並んでいる。


───────皆さんお察しの通り、完全に二日酔いである。自業自得だ。


そんな死屍累々のバイキング会場でも、すっかり調子を取り戻し、体調的には元気いっぱい、精神的にはやや不調(端的に言えば、機嫌が悪い)の男と、いつもと変わらず、コンビニで爆食したのにも関わらず、山盛り持ったバイキングのご飯をシロと共に吸引している男がいた。


普段は常識人、嫁が絡むと嫁バカ味覚バカ、その上自業自得とはいえ、酒の席に誘われなかったガイルと、二日酔い知らず、爆食吸引器食欲魔人ガルである。


「………酒なんか飲むからだろうが。

しかも俺に黙ってよ………。

酒量も分からずに、二日酔いとは情さけねぇ………」


ふくれっ面でボヤくガイル。

そんなガイルに、二日酔いで満身創痍の冒険者一同からの怒りの大声の(ただし頭痛に響かない程度の)ツッコミがハモった。


「「「「辛いものを無茶食いして、お腹壊したアンタ(兄貴、ガイルさん)にだけは言われたくねぇよ(わよ)!!!

この嫁バカ味覚バカ!!!!」」」」


そんな声が会場に響くと同時に、一番カクテルを飲んでいたはずのガルが、ケロリとした顔で朝から爆食していることにもドン引きし、代表してラルクがツッコむ。


「つーか、ガルさん、よく食えますね?!

あんだけ飲んだのに?!

一番飲んでましたよね?!?!?!」


「あれくらい、何ともない。」


「………コイツ、冒険者ギルドで一番の酒豪だぞ。

どんなに飲んでもケロリだ。」


どうやらウワバミ、いやザルだったらしい。

ご飯吸引器は酒吸引器でもあったのか。


そんなざわつく、カオスなバイキング会場に、いつの間にか、裏へとワゴンを取りに行っていた祥が、それを押しながらやってきた。


「皆様、こちら『しじみ汁』です。

二日酔いによく効きますので、温かいうちにお飲みください。」


そう言って、祥が差し出したお椀からは、どこかホッとする、磯の香りと濃厚な出汁の湯気が立ち上っている。


冒険者一同が配られたお椀を抱え、その温かい、しじみ汁に口をつけた。

その瞬間――。


五臓六腑にしみわたるしじみの圧倒的な旨味が、身体中に広がり、冒険者一同はほっとため息をつく。

冒険者の中で、ガイルが最初に口を開いた。


「ほう、美味いな。

磯の匂いがするが、全く臭みがない。

このホテルの飯は本当にハズレがないな。


………んで、ガル、飲みすぎんなよ?」


グビグビグビグビ………


「おかわり」


「聞いてねぇな………。ハァ………。」


一口すすり、感心したように落ち着いて、コメントをし、ガルに釘を刺すように言うガイル。

しかし、ガルには響かず、貰ったしじみ汁を飲み干し、早速おかわりを要求していた。


どうしようもない男である。


他の冒険者一同はというと、ほっとため息を吐いた後、全員何故か涙目になっていた。


二日酔いの身体を、優しく癒す、しじみ汁の味に思わず涙目になってしまったらしい。


こうして、しじみ汁の効果か、冒険者一同は元気になり、会場の雰囲気はにぎやかなものとなった。


さて長い間続いた、このモニター宿泊だが、少しの朝食休憩後、いよいよチェックアウトのお時間である。

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