第十六話 閑話休題〜ルナの独り言
Side ルナ
「ああ、美味しかった!」
あの後も祥ちゃんセレクトのモクテルを飲みながら、ポテチやご飯、和牛を食べつつ、監視カメラでバーをモニタリングしてたんだけど、画像内の冒険者一同はミケちゃんと五郎ちゃんに、カクテルを作ってもらったり、オススメのお酒を飲んだりしながら、飲み会を楽しんでいた。
盛り上がりまくり、歌えや踊れ。
そして、宴もたけなわではございますが……とキリのいいところで祥ちゃんが促し、宴会は収束した。
ほろ酔いで上機嫌な冒険者一同は、祥ちゃんに挨拶しながら、各々自分のホテルの部屋に帰って行った。
………結構食べて飲んでたから、今日は食いしん坊同盟も大丈夫かな。
…………いや、昨日もあれだけ食べて、お腹空いてたから、またコンビニに突撃しそうだな…………。
…ロボ太にもちゃんとボーナスあげなきゃね。
とそんなことを考えながら、モクテルを飲みほしていると、カチャリと鍵が開く音がし、見知った気配が入ってくる。
「ルナ。
一応大まかな片付け終わったぞ。
お前の食ったやつで最後だから、ほらこっち寄越せ。」
部屋に入って来たのは祥ちゃんで、入って来てそうそう、私に向ってそう言った。
どうやら持って行ってくれるらしい。
「ありがとう、祥ちゃん。
────ん、はい、これ。」
食べ終えたポテチの袋と、空になったモクテルのグラスを祥ちゃんに手渡した。
受け取る手際も無駄がないし、相変わらず手タレになれそうな綺麗な手をしている。
「ん、これで全部だな。
───それと、手がどうとかお前に言われたくないからな?
お前、まだマシな分類の変態だった、どっかの石油王から、「君の全ては、この世の全ての財宝、国宝すら霞ませる」って言われたくせに、俺の手が綺麗とか言ってんな。」
「祥ちゃん、やっぱりエスパー????」
祥ちゃんの私の脳内を見抜いたような言葉に私は疑問符が止まらない。
なんで私の思ってることが分かんの????
祥ちゃんはそんな私を見て、ため息をつき、口を開く。
「ハー………お前、いっつも俺がお前の思ってること言うと、そう言うけどな?
言わせてもらうと、顔と視線に全部出てんだよ。
何を思ってるかとか、何が言いたいかとか、全部ただ漏れだ。」
そんな出てる?
「ほら、今も、そんな出てる?って思ったろ?」
「祥ちゃん、やっぱりエスパーだ。」
モニター越しでも私のやってること見抜いたし、ずっと思ってること目抜いてたもんね。
この連載中もしょっちゅう。
「それからメタ発言もやめろって。
いい加減さぁ。」
「いや、無理でしょ。
この連載の醍醐味じゃん。
祥ちゃんのエスパー発言もそれに対する私の返しも。
良さがなくなっちゃう。」
メタと、もふもふと飯テロとスローライフが醍醐味でしょうが、この連載。
「………………一応、これ、主軸が俺とお前のラブコメなんだかな…………。」
「え?なんて????」
ボソリと呟く祥ちゃん。
何故かそれが聞こえなくて、思わず聞き返すと、祥ちゃんはまたハァ………っとため息をつき、切り替えたように私に声をかけた。
「なんでもねぇよ。
ホラ、もう遅いんだから、もう寝ろ。
明日になったら、またバイキングから飯持ってきていたやるから。」
「うん。
………あ、祥ちゃん。
明日の朝食、みんなお酒が残ってるだろうから、しじみ汁とかあったほうがいいかも。
ガイルさんもお腹悪いし、消化の良いものもさ。」
祥ちゃんの言葉に私は頷き、ふと思い浮かんだことを祥ちゃんに言うと、祥ちゃんも頷いた。
「ああ、分かってるよ。
もう準備してる。
……じゃあ、俺ももう寝るわ。
ルナも早く寝ろよ?」
「はーい、おやすみ祥ちゃん」
祥ちゃんはそう言うと、トレイを片手で器用に持ち、静かに部屋を出て行く。
その背中に私も声をかけ、出ていったのを見送ってから、布団に潜り込んだ。
「明日で、冒険者一同はチェックアウトかぁ………。
濃ゆかったなぁ…………。
でも、ヤバいトラブルは無かったから、それだけは救いだけど………。
さて、このまま何事も無く、終わればいいけど……………。」
余計な、トラブルは勘弁………………ってそういや、ナレーター、私が絶対ラルクさんに会わないって誓ったのに、序盤で、余計な遭遇フラグ立てて無かったか???
よく聞き取れなかったけども。
…………私は部屋から絶対、出らんぞ???
フラグ、折るからな?????
そんなことを考えつつも、私は深い眠りへと落ちていくのだった。
─────
「────私だって、立てたくはないんだがな?」
とある暗い部屋でパソコンのようなものをタイピングしつつ、ひとりごちるは、柴犬にも似た一匹の神…………いや、神未満の生命体。
そんな生命体がボソリとまた呟く。
「あの好々爺から、頼まれて、ルナと祥を見守り、この世界を紡いではいるが…………。
あのクソ女の干渉をどこまで防げるものか……………。」
末端であり、あの好々爺神様の部下でこの世界を紡いでいる、その者の表情は厳しい。
今現在、紡いでる間もちょっかいに近い干渉を受けているのだ。
全て躱しているが………
腹立たしい事に、あの女からしてみれば、お遊びですらないだろう。
「…………あの方も護ってはいるが、無駄にクソ女の地位は高い…………。
────私も力は尽くすが……………。
まぁ、この世界は私のフィールド。
先にフラグを立ててしまえばこちらのものだ。
いくら、あの女でも、物語の理は破れやしないさ。
だから、お前らはそこで馬鹿みたいにメタ発言しながら、笑ってろ。
この世界を管理するもの、この世界の作者として、精々足掻いて、守ってやるさ。」
そうその一匹は呟き、凄みのある顔で笑った。




