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第15話 ダイニングバーともふもふバーテンダーpart7〜【ピカドール】とルナのモクテルと約束

さて、ラルクとのそんなやり取りは、横に置いといて。


食が絡むと暴走する問題児ども(シロとガル)が何をしているかと言うと─────。


ゴォォォォォォォォォ…………ングング………。


「……………(モグモグ)」


グッヒュオォォォォォォォォォ…………ンごンゴンゴ…………。


(……………モグモグ)


先ほどまで、トイレの住人だったのにも、かかわらず、和牛のステーキを、今までの食事と同様、吸い込むように食べて、いや飲んでいた。


昨夜や朝昼との、唯一の違いは、夢中で食べているせいか、喋りすらしないことだろうか。


むしろ、無言すぎて怖いまである。

目も深淵を覗いているのかと言いたくなるほど、かっ開いているし。

そもそも、他の冒険者一同よりも多めに、いや、大量に盛り付けられていたはずなのだが…………。

酒を飲む前に


「いや、しゃべれや!!ガルさん、シロ!!!」


「相変わらずの食いっぷりだよねー………。」


あまりの食いっぷりに、ナレーションに突っ込んでいた、ラルクがギョッとした顔をして一人と一匹を見て、突っ込み対象を変え、レオンも苦笑いと遠い目を一人と一匹に向ける。


そんな状況を変えるように祥は咳払いをし、ガルとシロに向かって、口を開く。


「……ガル様、シロ。

美味しいと思っていただいて、そこまで夢中に食べてくださるのは嬉しいのですが…………。

………他のお客様が以前と比ではないくらいに、引いておりますので、少々手心を加えていただけますと……………。」


苦笑いをしながら祥が軽く一人と一匹に注意をすると、ガルもシロは吸い込みを止めて、顔を上げ、祥を見る。


「モグモグ…………ゴクン…………しょうちゃ。」


「ショウさん」


「どうなさいました、ガルさま。

そして、なんだ、シロ。」


祥を見たまま、口を開く一人と一匹に祥も答える。

そのまま二人は同時に口を開き、


「「おかわり。」」


「まだ食べるんですか。」


本当、どこまで食べるのだろうか。

あまりの一人と一匹の食欲にドン引きしながらも、なおも祥は口を開く。


「………とにかく、お出し致しますので、先ず、五郎が作ったカクテルを飲んで頂けますでしょうか。」


「ああ、勿論。

それが楽しみだったのだからな。」


「……………そうですか。」


真顔でそう言うガルに、若干引きつつも祥はそう返し、シェイカーから、カクテルをチベスナ顔のまま、五郎はグラスへと注ぎ、その冷えたグラスをカウンターへ置く。


置かれたロックグラスのカクテルは香ばしい香りを放つ黒い液体に大きな氷が浮かんでいる。

そのバーの照明を反射する黒は、どこか力強く思えた。


「───ガル様には、【ピカドール】を。


闘牛の先陣を切る『槍撃手』の名を冠した、力強いコーヒー風味のカクテルでございます。


カクテル言葉は――『不屈の精神』、そして『復活』。


……………お腹を壊しても、すぐ回復されたガル様にぴったりかと……………。」


「「それな」」


「「「「「「それね。」」」」」」


苦笑交じりの祥の言葉に、冒険者一同はコクリと頷く。


腹を下した後にこの食べっぷり。

本当に人間じゃない。


ドン引きする周囲に構うことなく、ガルは渡されたグラスを傾けた。


その瞬間、ガツンとくるテキーラの熱い刺激とコーヒーの濃厚な甘みと香ばしさが、口に広がる。


「…………美味い…………。

これは、コーヒー、か。」


これまで香りと味の良いコーヒーがあるのか、コーヒーというものは酒にも合うのかと、ガルは目を丸くした。


そんなガルの表情を見ていたシロが、祥に向かって口を開く。


「しょうちゃ、シロちゃちも、のんれいい?

おいちちょう。」


「…………自分で作るなら良いが、モクテルにしとけよ。

酒はまだやめとけ。」


「あい。ミケちゃと、すごいの、つくる。


ル……オーナーも、のんれる?」


「ああ、そろそろ飲み終わるだろうからって、トラがおかわりを持っていったよ。」


「シロもオーナーに、つくりゅ。」


「ああ、次のやつ、作ってやってくれ。

あ、でもモクテルな?

俺が指定するから。」


「あい。」


そう言ってシロが嬉しそうに尻尾を振りながら、椅子から降り、バーカウンターに回った。



─────一方、ルナであるが。


「んー………やっぱり、祥ちゃんセレクトのモクテル美味しいなぁ。

えーっと?なんてモクテルだったっけ?


………あ、そうだ。

シンデレラ、バージン・ブリーズ、キールのノンアルコール、フロリダ、サマー・ディライト、だっけ?


美味しいよねぇ。

成人したら、祥ちゃんが初めて飲むカクテル作ってくれるらしいし。


楽しみだなぁ。


最初はこのキールのお酒ありとでブルドッグで、私がお酒飲めたら、ブルームーン、サイドカー、XYZ作ってくれるって言ってたなぁ。


………なんで、これなんだろ?


………まぁ、祥ちゃんセレクトは外れないからいいか!!!」



そう一人ゴチていた。


そんなルナに追加のシャーリー・テンプルを持ってきていたトラは、チベスナ顔を晒し、心のなかで呟いた。


(たぶれっと、かくてる、こちょば、ちらべにゃよ、じれっちゃい……………。)


調べれば一発である。








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