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第一話 好々爺な神様とスキル名【オタク】part4 〜「先に言ってくださいよ!!!」 「勝手に盛り上がった私たち、バカじゃん!!!!」


「いや、どう説明したものか………」


祥ちゃんの言葉に、おじいちゃん神様が、苦笑いをしながら、気まずそうに目を泳がせた。


その姿に、さっきまでのシリアスな雰囲気が一瞬でなくなる。

どうしたの?おじいちゃん。


「………なんです?

まさか、ルナに変な呪いのスキルでも掴ませようってわけじゃないですよね?」


祥ちゃんが不審そうに目を細め、空気が凍ってゆく。

そんな祥ちゃんに、顔に浮かべていた苦笑いを深め、言いづらそうに口を開いた。


「いや、スキルはとても良いもので、ルナちゃんや祥くんを守り、人生を謳歌するもんなんじゃがな?

一つ言い忘れた事があってのう………。」


「……はい?」


神様の言葉に空気の冷たさはなくなり、かわりに困惑したような空気が漂う。


?言い忘れた事?


「……いや、あの…のう?ルナちゃんや、祥くんの兄弟はすぐ気づいて、聞いてくれたから、説明した気になっておったんじゃが……」


「いや、だからどうしたんです?

はっきり言ってくださいよ。」


気まずそうに目どころか顔を明後日の方に向け、歯に物が挟まったような言い方をするおじいちゃん神様に、流石の祥ちゃんも苛立ったのか、語尾がキツくなる。


そんな祥ちゃんに腹を括ったのか、大きく息を吐き、口を開いた。


「…………実はこの異世界転移、普通にいつでも地球と行き来できるし、なんならお主らの親にハンコ付きで承諾書、とっくの昔に貰ってあるんじゃよ……」


「は」


「は」


「「はあああああ!?!?!?」」


マジで?!


「いや、未成年を勝手に連れて行く事は出来んじゃろ。

親御さんの承諾が必要じゃて。


親御さんも、『365日24時間ストーカーに囲まれる変態バイオハザードな毎日よりは、島を開拓したり、異世界で商売した方が精神的にずっと健全だし、帰って来れるなら、長期休暇がてら行って来たら』ってすぐ快諾しよったわい………。

契約書にもすぐハンコ押したしの。


だから、心配せずとも良かったんじゃよ………。


帰りたかったら、直近までおった時間に戻れるしの。」


…………って事は祥ちゃんと私の早とちり???


姉妹たちや祥ちゃん兄弟は、すぐ気づいてた?



…………私たち、恥ずかしい奴????


「先に言ってくださいよ!!!」


「勝手に盛り上がった私たち、バカじゃん!!!!」


かおを真っ赤にして祥ちゃんが吠える。

多分、私の顔も真っ赤だ。


「いや、本当にすまん………あまりにシリアスしとるから、口を挟めんかった………

他の子ら、慌てる事なく、『もう帰れないんですか?』『あ、帰れるんですね、分かりました。』って言って、親の承諾書持って、もうとっくに、異世界に向かっとるしの。」


「私たち、まさかの最後だった?!』


もう、異世界行ってるの?!

早くね?!


「…………まぁ、 結果オーライじゃろ!

お互いの気持ちも分かったここじゃし!!」


冷や汗を拭いながら、おじいちゃん神様が「良かったのう、祥くん、いい感じにまとまって!!!」とか「小さな頃から見守っておったから考え深いわい!!!」とか「お祝いせねばのう!!!」とか言いつつ、ホッコリと、とても嬉しそうに微笑む。


だが、私はその言葉に首を傾げ、おじいちゃん神様に聞いた。


「お互いの気持ちって何?」


「え?」


おじいちゃん神様が、本気で何を言っているんだこの子は、というような顔で私を凝視した。


「え?」


私も、神様が何を言っているのか本当に理解できなくて、同じように神様の顔を凝視する。


お互いの気持ちって何なの??

そんな話してた????

あっ、幼稚園の約束を思い出したってこと??????

ンンンンンン??????


「すみません、そこ、今後の攻め方を模索しながら、均衡を保ってるデリケートな所なんで、深掘りしないで貰えますか。(早口)」


「えぇ…………。」


隣で祥ちゃんがもの凄い早口で神様の言葉を遮った。

おじいちゃん神様は、私に「お前マジか……」という目を向け、祥ちゃんには「祥くん、お主………本当に大変じゃな……」という深い同情が入り交じった目を向けながら、なんとも言えないドン引き顔になっている。


…………いや、だから、お互いの気持ちって何。

何で私を置いて2人で通じ合ってんの。


「………(ボソッ)まだ、狩りの最中じゃったかぁ………」


「なんて?」


「いい加減にしろよ、爺。」


ボソッっと何事か言う、おじいちゃん。

聞き取れなくて、首を傾げると、祥ちゃんが怒りのオーラを浮かべながら、珍しい口調でおじいちゃんに言った。


本当に何言ったの?

祥ちゃんが目上の人間に、こんなこと言うなんて、珍しすぎるんだけど???


「ま、まあまあ! 本当に結果オーライじゃったんじゃから、良かろうて!!


さて、ルナちゃんが一生だらだら極楽スローライフを送りつつ、神々を満足させるリゾートを開拓できるよう、最高特級の全部乗せチートスキルを授けるから許しておくれ!な?!」


おじいちゃん神様は「この話題はこれ以上突っ込んだら地獄を見る」と察したのか、冷や汗をかきながら、強引に話をそらしてきた。


「……ほう。で、その最高特級とやらは、どんなスキルなんです?」


神様がボソッっとなんか言った後から、なんか機嫌悪い祥ちゃん。


めっちゃ、低音ボイスなんだけど………。

本当、何言ったんだ、このおじいちゃん。


「ひぇっ……! いや、そのな、10人分のチートスキルを個別に1から考えるのが、面倒く……いや、大変じゃかったから、お主たち10人姉妹全員に同じものをコピペしておいたぞい! ……名付けて、スキル【オタク】じゃ!」


「速攻で手抜きを自白したな!?」


「しかも、スキル名ダサッ!!!」


思わず祥ちゃんと突っ込む。

こいつさては、オタクだけじゃなくて、ズボラも私と同類だな?!



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