第十四話 昼食の極上和牛ステーキpart6〜(…………私の死亡フラグが立ったな。)
「もっちぇ、きちぇて、よかっちゃ…………。」
はぁ………とため息を吐きつつ、ラルクに口を開くように言い、手袋をはめた前足で口の中に薬を塗り込むシャム。
シャムがマイナのために、焼いていた肉は、トラがエルマのおかわりを焼きつつ、そちらも焼いている。
「シャム、お前、よく持ってたな?
それ、傷や火傷に効くやつだよな?」
感心したように言う祥。
「…………シロちゃ、バクバク、じぇったい、やけど、ちゅる…………。
もっちぇた。
あと、ワクワク、ちゅごい、クロちゃも。」
「……なるほど。」
(…………シロちゃん、めちゃくちゃ食べるもんね………ケットシーなのに、熱いものも吸い込むように食べるし…………。
心配するよね。
………というか、なんか、口開くたびにもふもふたちの個性が、どんどん出てきてるっていうか……………。
性格が変化してるっていうか…………。
……………行き当たりばったりのプロットのせいなのか、冒険者一同に触発されてるのか。
クロちゃんなんか、女の子にめっちゃ紳士なこと言ったけど(マイナさんに太っても可愛いって言って、祥ちゃんの影響ってマイナさんから言われて、祥ちゃんが驚いたのが今朝のハイライトだよね。つーか、なんで祥ちゃん驚いた???確実に貴方の影響でしょうが。)、好奇心旺盛で、某ウサギが出てくるサーカス団のCGアニメやギャグみたいな漫画な日和のオタクみたいになってるし。
そこんとこどうなんだろ?)
お前からの多大な影響も忘れるなという話である。
「あい、ぬり、おわっちゃよ………。
ちょっと、まっちぇ、たべにゃいでね。
たろうちゃ、やくの、まっちゃら、ちょうど、いい。」
ラルクの口から手を離し、手袋を外しながら言うシャム。
「あ……っが。
サンキュー、シャム。
良い感じにガードしてくれそうだな。」
大きく口を開けていたのを、ガクンと戻し、礼を言うラルク。
その二人の会話を合図にして、太郎は新たな肉を焼き始める。
「いい匂いすんのに、味が分かんなくて、切なかったんだよなぁ。」
太郎が焼いている肉をワクワクした顔で見つめるラルク。
それに構うことなく、他の冒険者一同も、お肉のおかわりを美味しそうに食べている。
そんな一同を微笑ましげに眺めていた祥に、トラが声をかけた。
「しょうちゃ、こりぇ、る…オーナーにもっちぇっちぇ。
ステーキ、どん。
しょうちゃ、ぶんも、ある、みゃ。
おひる、たべてきちぇ。」
声をかけたトラに祥が振りかえると、いつの間に焼いていたのか、丼用の器に白米と特製タレをまぶしたステーキ、白ごまネギがかかったステーキ丼と、みそ汁、キュウリの浅漬けを乗せたトレーを持ったトラとミケがいた。
ちょうど、彼らがもてなしている、エルダとエルマ姉妹がステーキをゆっくり味わって食べているために手が空き、夜用のストックとルナと祥の分を作ってくれたらしい。
「ありがとう、トラ、ミケ。
でも俺にも仕事が………。」
「おもてなち、トラ、みんな、れきる。
れも、ル…オーナー、おちぇっきょう、しょうちゃ、しか、れきない。」
「あいあんくろー、やっちぇきて。」
まだ冒険者たちをもてなす、仕事が残っているため、祥は断ろうとするが、トラとミケはそれを止め、昼食がてら、お説教をしてこいと言っているようだ。
それに祥はフッと微笑み、二人からトレーを受け取り、口を開く。
「………そうか、ありがとう。
ありがたくいただくよ。
説教もしっかりしておく。
じゃあ、後頼むな?」
そういって、祥はトレーを抱え出でいった。
それをモニタリングしていたルナは遠い目をして呟く。
(…………私の死亡フラグが立ったな。)
正確にはアイアンクローフラグである。
「………な、なぁ、太郎、ショウさんが持っていったアレってなんだ?」
焼き上がったステーキを皿に盛ってもらいながらも、祥が手にしていたトレーが気になるのか、ラルクは太郎に問いかけ、太郎はきょとりとした顔で口を開いた。
「ステーキどん。」
「ステーキドン?ってどんな料理なの?」
一人と一匹の会話が気になったのか、レオンも話に入ってくる。
「ステーキ、らいちゅ、のちぇる、たべりゅ。
ラルクちゃ、ちてみりゅ?」
「する。」
コテンと首を傾げながら言う太郎に、ラルクは即答する。
このホテルの食事で、ライス───白米の美味しさと魅力を冒険者一同は、重々理解しているのだ。
それの上にこの極上ステーキを乗せるのだ。
美味くないはずがない。
「俺もそれで食べたいな!」
「「「「「「私も!!!!」」」」」」
レオンと冒険者一同も食べたいとラルクに乗り、用意されたステーキ丼に歓声を上げ、舌鼓をうち、おいしさに半泣きになるラルクを見て笑い、一通りステーキを焼き上げ、自分たちの分も用意して乱入したもふもふたちと、食卓を囲むという、とても穏やかな空気が流れた。




