第十四話 昼食の極上和牛ステーキpart2〜肉の旨味を極限まで閉じ込めた香ばしさと旨味、芳醇な香りに満ちた、ミディアムに焼かれた至極のステーキ。 飯テロ注意
日本が誇り、ステーキの発祥の地の現地の方すら賞賛する、我が祖国が誇る牛肉────和牛。
その香しい香りが充満する中、香りを嗅いだ冒険者一同は口の中に溢れ出た唾液をゴクリと飲み込み、焼かれる和牛に釘付けとなっている。
「…………おいちそう…………。」
「いいにおい………。」
「がまん!!あとで!!」
「「「あーい………。」」」
人間である冒険者一同がそうなっているのだ。
嗅覚が何万倍もあり、基本的に肉食なもふもふたちからすれば極楽であり、地獄だろう。
………まぁ、猫まっしぐらのようになった、昨日の出汁、鰹節を前にしたらケットシーたちよりマシだが…………。
そんな人間と、もふもふたちの熱い視線が突き刺さる中、一つまばたきをし、動物としての本能を押さえた、もふもふたちが、一斉にプロのシェフの動きを見せた。
小さなお手てでコテをつかみ、カチャカチャと音を鳴らしながら、いい焼き目に焼き上がった和牛を絶妙なタイミングでひっくり返していく。
ジューッ、とさらに弾け、食欲をそそる極上の脂の音。
そして、仕上げとばかりにおもむろに、ワインのボトルを手にしたもふもふシェフが、蓋を開け、お肉にサッと回しかけた。
──その瞬間。
ゴォォォォォッ!!!!!!
鉄板の上に、天井に届かんばかりの鮮やかな赤、青、オレンジのグラデーションの炎が爆発するように燃え上がった。
「「うおっ!?!?」」
「「「「「「きゃあ?!?!」」」」」」
突然の炎に、カウンター席のレオンやラルク、そして女性陣が一斉にのけぞって悲鳴を上げる。
「あっぶね?!」
「もふもふちゃんたち!大丈夫?!」
あまりの炎に冒険者一同は、調理をしているもふもふたちに、心配そうな声を上げる。
「らいじょうぶ、ふらんべ、っちぇ、いうの。
おいちく、できたよ。」
そうもふもふを代表してトラが言った瞬間、その炎は一瞬で消え去り、あとに残ったのは──肉の旨味を極限まで閉じ込めた香ばしさと旨味、芳醇な香りに満ちた、ミディアムに焼かれた至極のステーキ。
目の前の鉄板に輝くように鎮座する、その至極の逸品に、冒険者一同は目が離せない。
そんな冒険者一同を後目に、もふもふたちは器用にきり分け、皿に盛り、4つに分かれそれぞれ、塩とワサビ、ステーキソース、醤油が入った横長い皿と共に冒険者一同の前に置いた。
置かれたのを確認し、祥もカトラリーを順に置いていく。
全員にカトラリーが回った所で祥が口を開いた。
「お待たせいたしました。
我が祖国が誇る黒毛和牛のサーロインステーキでございます。
どうぞ、温かいうちにお召し上がりください」
そう言って、微笑む祥。
しかし、極上のステーキを前によだれと食欲が抑えられない冒険者一同はそれに構うことなく、祥の言葉を合図にカトラリーを我先にと握り、ステーキへと手を伸ばした。




