第十三話 それぞれのホテルの楽しみ方part10〜自業自得な雄叫びinトイレ
『『グオオオオオオオオオオオ…………!!』』
『ミャアアアアアアアア……………。』
こちら、医務室横、トイレ前の廊下。
ドア越しに聞こえる雄叫びがヤバいです。
あの後、もふもふちゃんたちに医務室に運ばれたんだけど。
運び込まれた直後から、電撃というか、濁流というのか、お通じの波が来たらしく、二人と一匹、全員揃って、医務室横のトイレへ直行、そのまま、籠城、トイレの住人となった。
………というか、すごい声出してるね???
漫画みたいだわ。
………でも、リアルにああなるんだよなぁ。
祥ちゃんと祥ちゃんの兄弟もそうだった………。
「ルナ?」
「サーセン。」
だから、思考読まないで祥ちゃん。
天丼だよ、これ。
何回、天丼すればいいんだよ………。
あ、ちなみにだけど、彼らのうめき声以外聞こえてないから、安心してね。
ずっとオ◯ヒメ流れてるから。
ちゃんとプライバシーは守られてるよ。
『………じごうじとく………。』
『…………もふもふには、きついみゃ…………。くちゃい………。』
トイレ前にスポドリ持って、待機してくれてる優秀な、もふもふちゃんたち。
脱水は怖いもんね。
あぁ、でも、ごめんね。
そりゃそうだよね、人間の嗅覚の何倍もある君らには、この待ち時間、辛いよね………。
『シロちゃ、おちり、ばくはちゅ?!
ちんだ?!?!』
『クロちゃ、なんれ、まいかい、ちんだか、きくの…………?
ころちたいの?????』
シャムちゃんに同意、クロちゃん、君、何かあったら死んだ????って聞くけど、君、殺したいの????
つーか、何処で覚えた???
「…………お前の見てたアニメのせいじゃね?」
「アニメ?どれだっけ??」
「……… 銀色の髪の侍が暴れるSF時代劇ギャグとか、歴史の偉人たちがシュールに自爆するあの日常ギャグ日和ってやつとか、砂漠のサーカス団でウサギと狼が物理的に殴り合うあの不条理な3Dアニメとか………。」
「最後だけ、ジャンル少し違わない??
というか、あのもふもふ、トラウマのアニメ、見たんか?!」
嘘でしょ?!あの子供が見たらアカンアニメ見たのか?!いつ?!
「いつって、こないだお前がタブレットでアニメ、爆音で流しながら、寝落ちしてた時だよ。
お前、動画見ながら寝落ちするクセあるだろ。
それで、もふもふたちが、マッサージとか美容関係の知識仕入れたの忘れたのかよ。
んで、視聴履歴から飛んだのか、いつの間にか、あのウサギのトラウマアニメが、かかってたんだよ。
んで、もふもふたち、ひきつつも、画面見つめてて、クロなんか、狼が爆弾投げつけられるシーンで目ぇ輝かせてたぞ………。」
「私のせいか?!
って、目ぇ輝かせてた?!やばくない?!」
さすがに、それはダメだ。
いや、あのアニメ自体は素晴らしいけど、視聴者の個人差というか、個体差というか、確実にクロちゃんには早かった。
ちょっと、教育的指導がいるね?!
「ルナちゃ、らいじょうぶ。
トラ、まかせて。」
「トラちゃん?!」
「ちゃんと、きょういく、ちゅる。
ふぁんたじー、げんじつ、ちあう。
らっきーちゅけべ、いっちょ、おちえる。
らっきーちゅけべは、ちあう、クロちゃ、わかっちぇるけど、ぐろ、わかっちぇなかっちゃ。
きょういくてき、ちどう、がんばりゅ。」
「めちゃくちゃ、理解してんね?!
トラちゃん。」
なんという、頼りがいがあるもふもふ。
役に立たない、主でごめんよ…………。
「俺もトラと頑張るから、落ち込むな。
お前の寝落ちで、トラたちも美容とマッサージを覚えて、ホテルに貢献したわけだしな。
全部悪いわけじゃない。
ほら、自分のやらかしに頭抱えてないで。
ガイルさんたち出たみたいだぞ。」
「え?」
祥ちゃんの慰めの言葉とモニターの実況中継に思わず、俯いてた顔を上げる。
直後、ガチャリと音を立ててトイレのドアが開き、魂の抜けたような顔をしたガイルさんたちが扉の隙間から、ズルズルと這い出てくる光景がモニターに映った。
『みゃー……ポンポンいたい………。
だりぇか……たちゅけて……みゃ……』
壁に張り付きながら消え入りそうな声を出すシロちゃん。
………可哀想なんだけど、でもなぁ。
『じごうじとく。』
『あい、シロちゃ、じゅーちゅ。
ちゃんと、のんれ。』
『シロちゃ、おちり、らいじょぶ?』
『らいじょぶ、ないない、ばくはちゅ…………。』
『やっぱり、ばくはちゅ、ちゅんの?!』
『………クロちゃ、ありぇ、あにめ…………。
ばくはちゅ、ないない。』
………そんなに爆発させたいの、クロちゃん。
モニターの向こうで、クロちゃんが、どこか期待に満ちた目でらシロちゃんのお尻を凝視してる。
そんなクロちゃんをモニター越しに見ながら、私は深くため息をついた。




