表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/81

第3章 [24]

 


(今日は少し動きを大きめに、ひとつひとつを丁寧にしよう。)


 ひとつ息を吐くと、サティアナは型を取り始めた。


 サティアナの剣は両刃の細剣なので、サティアナの剣術には突きが大きな要素を帯びてくる。敵の攻撃をかわしたり往なしたりしながら刺突して敵を倒すスタイルだ。

 型の中で剣を振り上げたり振り払うことは有れど、剣を振り下ろす動作が数回しか見受けられない事はその特徴のひとつであり、サティアナの型を初めて見た男子生徒達はまずそれに気付き驚くのであった。



 一の突き、二の突き、三の突き――正面を向いて剣を構え、そこからあらゆる方向へ三段階で突きを繰り出す。

 一の突きは両手で腰を使い力強く突く。二の突きは片手で低い姿勢から突き上げる。三の突きはスピードを付けて跳躍し突く。跳躍力とその速度が半端ない。



 その技はただ力強さを求めるのではなく、しなやかさと速さを、身体全体を使って繰り出すものだった。



 前半の型が終わると、後半は剣舞の様な型になっている。

 敵との剣戟を想定した動きで構成されており、より広範囲に動きまわる。流れる様な剣筋で敵の攻撃を往なしているのかと思えば、突然ピタリと止まってそこから攻めに転じている。体術も交えながら敵を追い詰めていくその動きには、そこにいる誰もが魅入られていたのだった。


 型は終演に達し、最後は鋭い跳躍からの突き上げで幕を閉じた。


 サティアナは弾む息を少しずつ調えると、王子に向かって一礼の後、皆に向かって一礼した。


「皆さま有り難うございました。」


 サティアナが挨拶を終えると観客達は惜しみない拍手を彼女に送った。



「アンハードゥンド君、今日の剣舞も大変素晴らしかった!皆もそう思わないかね?誰か、自己紹介がてら今の彼女の演武について感想を言ってくれる者はいるかな?」



 はい!と真っ先に挙手したのは、紫旗隊でサティアナの班の班長を務めたピーター・ノーズであった。


「おおっ、元気が良いな、ピーター。ではそなたを指名しよう。」


 サティアナが思うに、アーサーとピーターの間にはすでに浅からぬ面識がある様であった。


「はじめまして皆さん、私はピーター・ノーズ。幹部騎士養成修養クラスの2年生です。アンハードゥンド嬢とは紫旗隊で面識がありますが、とても素晴らしい型を見せてもらい感激しております。私も身体が大きくない方でして、それを補うために筋力の強化などを続けておりましたが、彼女の型を拝見し、新しい可能性を見出すことが出来そうな気がいたしております!」



「それは良いな。私にもその可能性とやらをこの後ぜひとも教えてくれ、ピーター。」



「はい、よろしくお願いいたします!」



「他には誰かどうかな?せめてもうひとりくらい。」



 はい、と手を挙げたのは先ほどナギアが走り寄って行っていたあの先輩だった。


「君は…」


「彼女は騎士養成学部3期生のコリンナ・アンギュラー嬢です。来年からクリスティーネ王女殿下の護衛任務を仰せつかりました女性です。」



「そうか、君が!あのクリスティーネに大層気に入られた逸材だとか。期待しているよ。」


「殿下にその様におっしゃっていただき大変恐縮です。はじめまして、コリンナ・アンギュラーと申します。皆様もはじめまして、よろしくお願いいたします。先ほどの演武を見させていただき、特に遠距離への踏み込みは大変勉強になりました。ぜひあの瞬発力の出し方などをお教えいただき、我が物にしてクリスティーネ様を御守りしたく励ませていただこうと思います。」


「うむ!頼んだぞアンギュラー嬢。そしてあの踏み込み、私にもぜひ教えて欲しい!そうだな、私も含め己の成長を目標にしてこれから皆で頑張っていこうではないか!挙手してくれた二人に礼を言おう。拍手を!」



 二人への拍手が落ち着くと、オルシュ・テンパーが前に出て剣究会のメンバーを1人ずつ紹介していった。紹介された人は前に出て一礼し、拍手を受け取ると群れの中に戻った。


 サティアナはすでに一度紹介されたので今度は皆に向かって拍手を送り続けた。

 ラウラが紹介された時はひときわ大きな拍手を心の中で送っていた。(実際は見惚れており指先が重なるくらいの小さな拍手だった。)


 そうして全員の紹介を終えるとオルシュは下がり、代わりにアーサー前に出た。



「みな、これからお互い仲良く剣術の探究に勤しんでいこうではないか。剣と言えば、私はこの剣を使っているのだが、皆の武器も見せて欲しい。私は武器を観るのも好きなのだ。皆の中でも同じ様な武器を使っている者がいればお互いに探究もしやすかろう。さあ、皆剣を抜き私に見せてくれ!」



 この言葉を受けて、サティアナはもう一度剣を抜き軽く構えたり小さく振ったり、剣を持ち替えてみたりしていた。


 アーサーとオルシュは順番に会員達の武器を見てまわりひとりひとり平等に話しかけた。話しかけられた会員達は恐縮しながらも王子と話すことができ、とても満足そうだった。


 この【剣究会】、初回の集まりとしては内容的に大成功と言えるのであった。


 ナギアと一緒にいたサティアナの所へも王子が訪れ、ふたりとも武器を王子に見せた。


「ふむ。レンジ嬢は双剣なのだな。戦い方の特徴などはあるのかな?」


「あ、は、はい!えーと、その、この武器は短いので、えーと、取りまわしが楽に出来るので、あの、その…」


「ふむふむ。」


 緊張でうまく話せないナギアに助け舟を出すサティアナである。

「戦ってる間にもよく持ち替えたりしているんだよね?だから間合いが変わったり動きが少し変わったりするので、相手はなかなか攻撃しづらいですよ。」


「ほほう!なるほど。レンジ嬢、手元だけでも少しその技術を見せてはくれまいか?」



「あ、はい。では…」


 王子とサティアナから少し距離をとるとナギアは軽く構えながらチャキチャキくるくると武器を取りまわし、持ち替える。持ち替えると軽く構え直す。


「なるほどなるほど…。これを戦いながらやるのか?たしかにこれではなかなか攻撃に転じられんな。」



「えへへ…」



「ナギアは、武器の扱いと身体の動かし方がとても上手なのです。」



「ほうほう。努力の賜物なのだな。素晴らしい!」



 王子に褒められてモジモジしているナギアを優しく見守るサティアナであった。




更新が遅れぎみですみません。

累計ページビューが1万ビュー、ユニークアクセスが5千を超えました。

皆さまのご訪問嬉しく思います。ありがとう!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ