24.キス
ちょっとしたイチャイチャでも、自宅の前でするのは危険です.
なぜなら、そこには自分のことを大切に想ってくれるあまり敵(?)になってしまう存在がいるからです(笑)
イチャイチャする際には、背後にご注意を.
「……ごめん、」
「うん、ちょっとね、俺も傷付いた.」
「だ、だって//!キスって、付き合ってから2か月くらい経ってからするもんだろう//!?」
「……ぷ、」
おろおろする私を見てなのか、何なのか、口に手を当てて顔を背けられた.
おい、バカにすんな.
「ふ、ごめんごめん. 笑ちゃんてさ、彼氏いたことある??」
「ないけど….」
「キスは??」
「彼氏もいたことないのに、したことあるわけないだろ.」
思わずムッとしてしまう.
遅れてて悪かったな. 初恋もまだだよ. ていうかお前だよ初恋の相手は.
「あのさ、笑ちゃん.」
「何.」
「俺の彼女になって?」
「え…、∑えっ//!?」
「そういう感じで好きって言ってくれたんじゃないの?」
「そ、そこまで頭回らなかった.」
「何それ. おっかし…、//」
またクスクスと笑われる.
自分の気持ちが分かっただけで満足してたんだろうな.
「じゃあさ、これ笑ちゃんの宿題ね. 明日までに考えておいてよ.」
「彼女になるかどうか?」
「うん. 絶対大切にする. 泣かせたりしない.」
「男の人が怖くても?」
「俺が守るよ. キスが嫌なら、しなくたっていいし、無理強いもしない.」
私、犬島なら怖くないよ.
キスだって、犬島とならしてもいい.
そう言いたいのに、何かが邪魔して言えない.
きっと、今のこの雰囲気に呑まれてる.
「ね、おでこにキスして.」
「∑へっ//!?」
「2度も言わせるな. 私の彼氏なんだから、それくらい察してくれ//」
「“私の彼氏”…. あ!」
「…ほら早く//」
「はーい//」
目を閉じる.
頬に触れてくる温かい手.
おでこに触れる柔らかい感触.
ちゅ、
初めて耳にするリップ音.
柔らかいものが離れたところで、うっすら目を開く.
「はぁ、//」
溜息が聞こえたと思ったら、肩に頭1つ分の重さがかかった.
綺麗な黒髪を撫でてあげると、腰に手を回された.
心なしか呼吸が乱れてる気がする.
「大丈夫?」
「笑ちゃんさ、キス我慢させといて目閉じるって、ほんと、もう//」
「ああいう時って、目は開けておいたほうがいいのか?」
「や、そういうわけじゃないんだけど…//」
「ん?」
「我慢するのも大変だからさ…//」
「あ、ごめん.」
「魅力があり過ぎるっていうのも、困りものだね.」
ぎゅ、
優しく微笑みながらも、私の制服を握りしめて必死に何かを堪えてくれている.
ごめんね、私の気持ちばかり優先させてしまって.
甘えているのも分かってる.
でも付き合ったその日にキスするのは不健全な気がする!!
「笑ちゃん、良い匂い….」
「柔軟剤かな?」
「多分違うんじゃないかな. 笑ちゃん自身の匂いっていうか….」
「どんな匂い?」
「何か甘い、ホットミルクみたいな…赤ちゃんみたいな匂い.」
「赤ちゃん….」
「俺、笑ちゃんの匂い大好き. 落ち着く.」
「それは何より//」
そのまま10分くらい犬島の頭を撫でていた.
少し身体が冷えてきた頃、後ろから声がかかった.
「アンタたち、こんな所で何してんの?」
「「!!?」」
パッと顔を上げる犬島.
後ろを振り返る私.
そこにいたのは、買い物袋を提げてキョトンとしている母だった.
一番見られたくない人に見られた.




