22.前進
人は、絶えず成長していくものです.
(自分は今停滞期ですが(笑))
今回のお話では、笑が自分の気持ちに気づきます.
どのような気づき方をして、どのような反応をするのでしょうか?
皆さんの中にも、笑に共感してくださる方がいるやもしれませんね.
「ねぇ、」
「いつになったら、振り向いてくれる…?」
心細そうに聞こえた、悲しそうな声.
まだ起きてるのに.
私が起きていることに気付いていないのか.
早く寝てしまえば良かった.
犬島はその後は一切喋らない.
背中に寝てる人間を背負った状態で、話し続けるはずもないか.
バカ.
私の気持ちも知らないで.
早鐘を打つ自分の心臓を何とか鎮めようと頑張る.
まぁ、結局は空しい結果で終わってしまったんだが.
おんぶしてくれると言ってくれた時、本当は断るつもりだったんだ.
でも、ここで断ってしまったら前に進めないような気がして.
犬島の傍にいたい、
いつも耳を塞いでいた、心の中の小さな声に耳を傾けた.
アイツの近くにいられるように、少しでも前に進みたいと思った.
だから、
『そうしてくれるとありがたい.』
って言ったんだ.
手を握ってくれた時、何だか嬉しかった.
恥ずかしさが上回って、犬島を傷付けるようなことを言ってしまったけれど.
少しずつ、少しずつ.
今まで知らなかった温かな気持ちを知っていく.
それはきっと、つい最近始まったことではないのかもしれない.
自分でさえも気づかないうちに、私の中で徐々に犬島の存在が大きくなっていたんだろう.
これが、好きって気持ち、…?
疑問符を浮かべた所で、誰が答えてくれるわけでもなく.
頭に浮かんだ疑問は、ぐるぐると頭を廻る.
いつもなら無理やりにでも押し込めてしまう感情.
でも、もう、逃げたくない. 自分の気持ちを大切にしたい.
犬島がしてくれたように、私も正面からぶつかっていきたい.
私は、犬島のこと、どう思ってる?
犬島のことを考えるとドキドキする.
犬島が笑ってくれたなら、頑張ろうって思える.
犬島が抱えている悲しいことも苦しいことも、受け止めたい.
そう思ってる.
他の男に対してもそう思う?
思わない.
こんな気持ちになるの、犬島に対してだけ.
つまり、そう思うということは?
犬島は、私にとって特別な人だということ.
「そうか、これが、好きってことなんだ….」
私をおんぶしてくれている彼に聞こえないくらいの声で、思わず呟く.
分かってしまったら簡単で.
無性に愛しくて仕方なくなる.
好き、
好き、
胸がキュウッと切なくなる.
何故だか涙が零れそうになる.
「はぁ….」
恋の病にかかると、溜息が出てしまう.
今まで、そんなのはただの迷信だと思っていたのに.
本当だったんだ.
処理しきれない感情が白い蒸気となって、冷えた黒い空に浮かんだ.




