20.微熱
皆さんこんにちは.
今回のお話は一視点です.
一視点は今回で2回目ですね.
笑と一の考えていることの違いをご堪能ください.
「は――…//」
走っていく笑ちゃんの後ろ姿が見えなくなった途端、溜息が出た.
周囲に訝しがられないように、口元は隠しておいたけど. それでもやっぱり、隠しきれなかったみたい.
チラ、とこちらを見てくる人も数人いた.
「笑ちゃんの私服姿なんてなかなか見れないもんなぁ….」
っていうかスカート着てくれてた….
アレって、俺の言ったことを考えてくれたって思ってもいいんだよね.
期待、しちゃいそうだ.
「可愛いー….」
犬島殺しだよ、まったく.
下心が出ちゃいそうで怖い. だって可愛いんだもん.
好きな女の子に下心が出そうになる気持ち、男性諸君になら分かってもらえると思う.
きっと女の子も同じ気持ちになってくれる、よね??
好きなんだから仕方ないよ!うん!
好きだから手だって握りたいし、キスだって、それ以上のことだってしたくなるわけだし!
や、でも俺が経験した子たちは… うーん….
ぴとり
「∑ぬぁ!?」
頬に冷たいものが当たって、反射的に身体がビクッとなった.
振り返ると、スポーツ時に愛用する飲み物を手にした笑ちゃんが立っていた.
俺の反応が楽しかったのか、クスクスと悪戯っぽく笑っている.
足、速いのかな?
っていうか、こういう所、子どもっぽいよなぁ.
「少しは赤みが引いた?」
「あー、うん. だいぶ.」
「そうか. まぁ、買っちゃたからあげる.」
「ありがと.」
「どういたしまして.」
こういう所、お姉さんっぽい.
好き. 子どもっぽい所も、お姉さんっぽい所も.
全部全部、俺のものにしたい.
「何か、アレだな. 小腹が空いたな.」
「もう?? さっき食べたばっかりじゃん.」
「デザートなしじゃ満足できない身体になってしまったんだ.」
「待って. 一体誰にそんな身体にされたの.」
「アイス食べたい!!」
「たまには俺の話聞いて!」
その後も、笑ちゃんがアイスアイス言って聞かなかったので、仕方なくアイスクリームショップに向かった.
■□■□■□■□■□■□■□■□゜。・☆
♪~♪♪~
「美味しい??」
「ん、美味しい.」
笑ちゃんは満足そうに鼻歌を歌いながら、大きなアイスを頬張っている.
やっぱり女の子だなぁ.
じっと見つめていると、笑ちゃんの目線が俺のアイスに向かっていることに気が付いた.
「どうしたの??」
「犬島のアイスって、何味だっけ??」
「チョコミント.」
「そうなんだ.」
答えをあげたのに、じっとアイスを瞳に映し続ける笑ちゃん.
これは、もしかして….
「……食べる??」
「いいのか!?」
「そんなに物欲しそうな目で見られて、あげないわけにはいかないから.」
「私のもちょっとあげる.」
「笑ちゃんのは何味??」
「テュットロベリー…」
「ん?もう一回言って??w」
「う、うるさい!! 誰だって噛むことくらいあるだろ//!」
「はいはい.」
「くっそー….」
何か楽しいな、こういう会話.
っていうか笑ちゃんの揚げ足取るのが楽しくて困る(笑)
クスクスクス、
ひとしきり笑った後に、苺アイスを食べようと視線を落とす.
が、そこにピンク色のアイスはなかった.
あったのは、茶色の逆三角形のサクサクしたクッキー生地のものだけ.
あれ? アイスどこ行った??
「ん、ありがとね.」
「あ、うん.」
きっとこれが彼女なりの復讐だったんだろう.
俺の元に返ってきたアイスも、同じようにただの逆三角形になっていた.




