18.しょっぴんぐ
皆さんこんにちは.
皆さんは、制服デートなるものをしたことがありますか?
自分は…まだありません.
(あれ、あったかな?)
ともあれ、制服デートというのは人生の中でも期間限定のものですし、
叶うものならしてみたいものです.
さて、制服デート真っ只中の2人は、どんなショッピングをするのでしょうか?
プルルルルルル
プルルルルルルルルル
≪通話≫
「もしもーし!!笑ちゃん何処にいるの?!」
≪切≫
さっきから、アホからの電話が途切れない.
いっそ着信拒否にしちゃったほうがうるさくなくていいのかもしれない.
こっちはわざとアイツから離れた所まで歩いてるっていうのに….
少しくらいは察してほしいもんだ.
私は今、ショッピングモールの南側の3階に来ている.
先程までヤツと2人でいたテーブルは、北側の1階.
私に対する犬島の貧乳発言にイラッとしたから、わざわざここまで移動した.
横を見ると、ショーウインドウに自分の姿が映っていた.
漆黒のセーラー服に赤いリボン. 金髪の髪.
うーん…不良生徒に見えないことも、ないような….
一枚の薄いガラスの向こうにある洋服が目に入る.
あー、何か可愛いな.
女の子って感じの洋服が沢山並んでいる.
そういえば、最近制服以外でスカート穿いてない気がする.
「こういうの、穿けるのも今のうちなのかな….」
「確かに、おばあちゃんになったら着られないかもしれないよね.」
!!!!!??
耳元で、聞き慣れた声が聞こえた.
ぎぎぎ、と首を横に回すと、そこには茶髪男子の顔が.
「うわーーーーっ!」
「うぇえええええ!!?何、どうしたの笑ちゃん!」
「いきなり現れるな、気持ち悪い!!」
「∑気持ち悪い!!?」
「鳥肌たったわ!何でここが分かったんだお前!」
「ん?子どもに『黒いセーラー服着た金髪の子見なかった??』って聞いたら教えてくれた.」
教えたヤツ出て来い. お姉さんが血祭りにあげてやる.
「くそ.」
「良くも悪くも目立つんだよ、君は. っていうか女の子が『くそ』とか言わないの.」
「私はお前から離れたくて、ここまで来たんだ!」
「どうして俺から離れたかったの??」
「…私のこと、貧乳だって言うから….」
「……ぷっ.」
「??」
「アハハハハハハ!」
こ い つ
人が落ち込んでるのに笑いやがった.
「ちっとも反省してないじゃないかバカ!!」
「ち、違うんだよ笑ちゃん. ふふっ.」
否定しながらも笑いを堪えきれていないところに余計腹が立つ.
人のコンプレックスを聞くのがそんなに楽しいのかコイツは.
「何が違うんだ. 馬鹿にするのも大概にしろ!」
「や、何か可愛いなって思って.」
「は?? 胸がなくて可愛いってことか?」
「違うよ. 笑ちゃんにもコンプレックスがあって、それを気にしてるところが意外で.」
可愛いなぁって、思った.
笑いすぎの余韻によって瞳を潤ませながら、犬島はそう続けた.
犬島の言っている意味がよく分からなくてヤツの顔を見上げていると、髪をぐしゃぐしゃと乱された.
よっぽどマヌケな顔をしていたのかもしれない.
「ねぇ、笑ちゃん.」
「何だ.」
「俺は、君がどんな見た目だって、好きだから.」
「そんなの、綺麗事だと思うけど?」
「そうだね. でも、」
「でも??」
「君のことが好きなのは、変わらないから.」
いつになく真剣な表情で頬を包まれる.
コイツの想いは強すぎる.
どうしてそんなに好いてくれるのか、どうしてそこまで自信をもって好きだと言えるのか、
私には分からない.
だって、人を好きになるって難しいことだろう??
「私は、犬島の気持ちには応えられないぞ.」
「うん、分かってる. 今はそれでいいよ. 笑ちゃんのペースに合わせるから.」
ニコッ
私の名前と同じような効果音が付きそうな笑顔を浮かべた後、犬島は私の顔を放した.
「じゃあ、ちょっと気分を変えまして笑ちゃんに問題です!!」
「∑え!?」
「俺たちは何のために学校を抜け出して来たんでしょーか??」
「サボるため?」
「ぶー!デートという名の校外学習だって言ったでしょ.」
「あー、確かそんなこと言ってたな.」
「忘れてたの; いいけどさ…. でさ、制服デートも良いと思うんだけど、せっかくだから制服じゃない笑ちゃんとデートしたいな.」
「そんなこと言われても….」
「先生に見つかる心配も少なくなるよ??」
「よし、着替えよう.」
そういった経緯で、私たちはいったんそれぞれ分かれ、洋服を買うことになった.
集合時間は1時間後. 北側の1階、最初にいたテーブルの所で.
そういうわけで…解散っ!




