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Confession phobia  作者: nEin
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15/28

15.お弁当


お弁当、美味しそうに食べている人っていいですよね.

女性にしろ、男性にしろ、たくさん食べている人を見ていると

何だか元気が出るような気がします.


自分が作ったお弁当なら尚更.

喜んで食べてもらえたら嬉しいものなんでしょうね.


うんしょ、うんしょ.

今朝方、頑張って3階まで上ったのも束の間.

私は今、苦労して上ってきた階段を下りている.

理由は簡単. 犬島が今朝の約束を果たしに来たからであった.


「猫乃先輩.ご飯の時間ですよー!」


一応、他の上級生の前では私のことを苗字+さん付けで呼んでくるあたりがいやらしい.

犬被りめが.

っていうか、まるで猫をご飯に呼ぶときみたいな言い方するな.

ふと、そんなことを思い出して、なんとなく一段下の階段を下りている犬島の背中に頭突きをした.

犬島が手に持っているお弁当がグラりと揺れる.


「∑うぉう!!?危ないよ笑ちゃん!」

「良いじゃん、私のお弁当なんだし.」

「え、俺の心配は??」

「ありんこ程もしてない.」

「えぇー!!ありんこ位は心配してくれたっていいじゃん!」

「えーっと、屋上に行くには….」

「うわー、笑ちゃんお得意のもろシカト攻撃キター.」

「はいはい.」


犬島を追い抜いて廊下に出たら、通路を右に. 突き当りをまた右に.

ずーっと行って、職員室の前の階段を上り切った先に屋上がある.


「よ、いしょっと.」


重厚な作りの扉.それのノブをゆっくりと回す.

見た目に反することなく、十分な重さの扉を、肩を使って押し開ける.


「うわー….」


背後から、感心したかのような声が聞こえてきた.

今日は天気が良いおかげで、空が近い.

この光景を見たら、きっと誰もが犬島のような反応をするだろう.


「隅っこのほうでいいか.」

「あ、うん.」


隅っこにレジャーシートを敷く.

ちょっとだけ、遠足のようだと思った.


「俺弁当買ってくるから、先に食ってていいよ.」

「大丈夫.」

「ん?待っててくれるの??」

「や、そっちの大丈夫じゃない.」


私の言葉を聞いて、途端に怪訝そうな顔つきになる犬島.

あれだな、何か. 近所の犬も時々そんな顔して蝶を眺めてる時があるな.

――…じゃなくって.


「お弁当、犬島の分も作ってきたから.良かったら食べて.」

「え、え――――!!」

「うるさい.」

「んどぅふ!!?本当にいいの?」

「いろいろ、お礼.」


溝乙を殴ったにも関わらず、コイツは普通に会話を進めてきた.

しかも目を輝かせながら.

やめてくれ. 何だか凄く自分が悪い人間のような気がしてくる.

いや、実際良い人間でもないんだけどさ.

というか、コイツを殴った拳がジンジンする.


犬島が持ってくれていたお弁当の包みを開く.

大きいお弁当箱のほうが、犬島の分. 一回り程小さいお弁当箱のほうが、私の分.


隣を見ると、犬島はきっちり靴を揃え、シートの上に正座をしていた.

デカい男の正座姿というのは、なかなか面白い.


「お茶は??」

「飲む!」

「はい、どうぞ.」

「ありがとー.」


水筒のカップに、お茶を煎れて渡してやる.

温かい、なんて言いながら嬉しそうに笑う姿は、無邪気な子どものようで.


「ね、もう食べていい??」

「うん、いいよ.」

「いっただっきまーっす!!」


寒空に届くくらいの大きな声を出し、犬島は勢いよくお弁当を手に取った.



■□■□■□■□■□■□■□■□゜。・☆


パシャ

パシャ、パシャ


かこかこかこ


パシャッ


「おい、」

「んー??」

「んー?じゃないわ. いい加減に写真撮るのやめて食べろ!」

「だって、初めて笑ちゃんが作ってくれたご飯だよ??記念にあと1枚….」

「よーし、今日はお昼ご飯いらなかったんだな.」

「∑いる!!いりますいります!!」


少し脅したら、やっとケータイを置いた.

まったく….

そんなに写真を撮るほどのものでもないと思うんだけど.


「いただきます.」

「いただきます.」


私に続いて、改めて手を合わせ、犬島はおかずを口に運んだ.

ここまでかかった時間.

何と23分.


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